ありたい姿から逆算する。

未来はどうなるかわかりません。
わからないからという理由で計画やビジョンをもたない方もおられますが、
わからないからこそ、未来の自分のありたい姿を示す必要があるのだと思います。

未来の自分から逆算する。

未来と言うものは、誰にもわかりません。
ピータードラッカーも未来は予測できない、と言っています。
最もはっきりと予測できるものである人口ですら、
すでに生まれている人以降の人口予測は、これまでもはずしまくっています。
ですから
「そんな不確定な未来を予測して計画する意味はない」
「現在とごく間近な未来のあり方からその場で最も適切な行動を選択する」
と考えている方はおられますし、
一定の理解はできます。

しかしそれでも私は、10年・20年後の自分と会社の姿をイメージすることは
必要なんじゃないかと思っています。

確かに外部環境については20年後どのようになっているか、
全く想像はつきません。
ひょっとしたら世界大戦が勃発していて、
今考える将来イメージが意味のないものになっていることも充分に考えられます。

しかしそうじゃないかもしれません。
少なくとも、そこまでの外部環境変化を特殊事情と考えるならば、
外部環境とは別に、
自分自身や自社の将来あり方というものは、自分で決めて
そこに向けてできるだけ真っすぐ進んでいきたいものです。

自分の価値観も20年後には変わるかもしれませんが、
多少の変化はあるにしても、
根底からマルっとひっくり返っていることは少ないでしょうし。

現在の外部環境に合わせて行動することは、
環境適応ということから考えても大切なことです。
しかしそれだけに振り回されていると、
果たしてそこに自分自身はあるのか!、と感じます。
結果として20年後、
自分自身の全く求めていなかった姿になってしまっているかもしれません。

ですからそこは「自分の意志」として将来ビジョンを描き、
そのビジョンから10年後・5年後・3年後と逆算して、
外部環境の変化の中でそのビジョンに近づくにはどうしていったらいいのか考える、
というのがいいんじゃないかと思っています。

そうでないと、今踏み出す一歩に確信が持てません。
少なくとも「今」考えているありたい姿に向けて、
今の一歩は踏み出したいと思いますし、
それが自社や自身の豊かな将来を作り出していくのです。

逆算するからこそ、みつかる。

そんな私は20年後の姿を、プライベートの側面と会社・仕事の側面から描いて、
そこから逆算して今の経営を行っています。

今私の会社は、税理士業・コンサル業の傍ら、自社のスキル・強みを活かして、
京丹後市間人の経済活性化事業に取り組みつつあります。
これ自体は2年ほど前に私の頭の中に降ってわいたような話しです。

しかしこれも、いきなり何もないところから生じたわけではなくて、
「私がいなくても事業がまわり、社員さんを守れるだけの収益が確保できる、収益の柱を建てる」
「自分や社内メンバーがクリエイティブにいきいきとした仕事を楽しんでできる状態になっている」
というビジョンを思い描いて、
常にそれを頭の片隅に持ちながら、毎日の仕事・経営に取り組んでいるからこそ、
そういったご縁をいただいているのだと思います。

人間、常に頭の片隅に置いておくと、
自然とその方向に常にアンテナを張っている状態になりますし、
その実現のためにどうしたらいいか、という方向に自分の脳細胞を組み替えていきます。

神経線維研究の第一人者である、故 松本元 氏も言っていました。
「脳はある目的を設定すれば、
 その達成に向けて自ら回路をつくっていく。
 だから、こうありたいと強く思い続けることが肝心であり、
 一連の脳の働きは意欲によって活性化される」

『念ずれば、花ひらく』
というのは非科学的な自己啓発ではなくて、
案外、科学的なものなのです。

もちろん、そのビジョンに向かって
「絶対こうあるべきだ!」みたいな形で自分に過度な制約をかけてやっていくことは、
会社と自分を縛り付けているだけで本末転倒です。

目的は「豊かな会社のありかた」「豊かな人生」ですから、
その過程においても豊かでワクワクしていることが
大切なんじゃないかと思います。

未来からの逆算の方法。

それでは実際に未来からの逆算の方法です。
これは本当にいろんな人がいろんな手法を編み出しているので、
その中から自分自身のしっくりするものを選べばいいと思うのですが、
ここではあくまで私が独自に考えている方法を紹介します。

まず、現在の自分の大切にしている価値観・哲学・座右の銘など、
自分自身の根底をつくりあげている考え方のようなものを書き出します。
これがすべてのベースになってきますからね。

次に自分の強みや得意なこと、逆に弱みや苦手なことを書き出します。

そしてこれらを踏まえて、
およそ15年~20年後のイメージで、
将来ビジョンを思い描きます。

このとき注意すべきことは、
会社(仕事)面とプライベート面の両方でビジョンを描くこと。
そしてカッコつけることなく、自分の本音としてありたい姿を描くこと。
自分が心の底から本気で思っていないビジョンに意味はありませんから。

将来ビジョンを二つの側面で書き出すことができたら、
最後にそこから逆算して具体的なあり方をイメージしていきます。

15年~20年後、この状態であるためには、10年後どうなっていたいか。
その10年後のためには5年後どうなっていたいか。
その5年後のためには3年後どうなっていたいのか。
これで完成です。

この10年・5年・3年後についても
会社(仕事)面・プライベート面の両方で書いていきましょう。
特に経営者は会社とプライベートは人生の両輪ですから、
これが結構重要です。

仕事ばかりで家庭面がないがしろになってはいけませんし、
同じ時系列でその双方をイメージすることで、
より経営者自身のその時点でのイメージがしやすくなるだろうと思うからです。

この将来ビジョンが描けたら
これがそのまま自社の経営計画・経営指針へとつながっていきます。
この「ありたい姿」に向かって、心躍るような経営計画を策定しましょう。

何も、会社の売上がどんどん増えて
組織がどんどん大きくなっていく計画が優れているというわけではありません。
経営者にとってありたい姿。あろうとしている姿。
それをきっちりと反映したものが、
小零細企業にとっての生きた経営計画なのです。

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