経営者の資質がない人は経営をやるべきではない。

あまりこういうことを言いたくはありませんが、
正直、経営者の資質がない人は、
経営をやるべきではないと思っています。

経営の資質がないとどうなるか。

経営者のあり方というのは、
100人いれば100通りですので、
それぞれの性格や才能や考え方によって、
それぞれの経営を行えばいいものですし、
それぞれにあった経営のあり方で進めていくべきです。

したがって基本的に、
「経営者に向いていない」という人はあまりいないとも言えます。

しかし、私が考えるに、
「こういうタイプは決定的に経営をやるべきではない」
というような類型があるように思います。

それが「経営者の資質がない」というところに当てはまってくるわけですが、
なぜ「経営をやるべきではない」とまで厳しい言い方をするかというと、
それは、
①多くの人を不幸にしてしまう
②自分をも不幸にしてしまう
というのが理由です。

経営者に向いていない人は、
高い確率で会社をつぶしてしまいます。
するとそこで働く社員さんやその家族、
そして取引先に大きな迷惑をかけてしまうことになります。

そしてこのように他人を不幸にするだけでなく、
自分自身の向いていない仕事をずっと続けることになる、という意味で、
自分も不幸になってしまいます。

経営者には大きな大きな社会的責任が付きまといます。
そしてこんな大きな責任を、
向いていない人がずっと背負い続けるのは、
めちゃしんどいことだろうと思います。

どれだけ責任が大きくても、
それが自分に向いている仕事であれば、
逆にそれをやりがい・働きがいとすることができます。

資質がないと考える人

私が、「こういう人は経営者にならない方がいい」と考える人は
次のような人たちです。

とにかく行動力がない

私も行動力があるとは自分では思っていません。
やりたくないことは、徹底的に動きませんし、億劫ですから。
しかしやらないといけないことは、しょうがなしにやりますし、
やりたいことは積極的に行動します。

この私の「やりたいこと」という部分だけを見て
私を行動力のある人と見る人もいますが、
これはたまたまやりたいことが多いだけで、
本質的には面倒くさがりです(笑)。

ただ本来やらないといけないことに対しても行動力がなく、
何につけても考えが後ろ向きで、なかなか動き出さない人は、
全く経営に向いていません。

経営は日々、意思決定・判断の連続ですし、
環境の変化に対してのスピードが問われます。
ですので、動かない経営者は、
結構容易に、会社をつぶしてしまいます。

やるべきことが決まっているのに、それを実行できない人は、
経営者になるべきではないでしょう。

向上心がない

前述のとおり経営は、
日々変化する環境の変化に対応する必要があります。
そういった変化に対応するためには、
まずその変化を掴む努力が必要ですし、
変化をするためには、自己研鑽が必要です。

また今日よりも明日、より良い経営をしようとするならば、
経営者自身が学ばなければなりません。
特に小零細企業においては、
人的資源が乏しいわけですから、
経営者がある程度なんでもできる状態になっておく必要があります。

例えば「私は営業が苦手」とか言って、
営業のことを何も学ばなければ、
営業の社員を雇用したとしても、
その社員に何も指示することができませんし、
マネジメントすることもできません。

自分がわからないから社員に仕事を丸投げして、
マネジメントもできずに成果があがらなくて、
「あいつは仕事ができない」というのは、違いますよね。

営業が苦手、というのであれば、
営業・マーケティングの勉強をすればいいのです。
ただそれだけのことができないのであれば、
経営者はやらない方がいいんじゃないかと思います。

経営者をやりたくない

これはある意味論外なのですが、
どういったケースでこんなことが生じるかというと、それは
事業承継で経営者の親族が何も考えずに経営を引き継いだようなときです。

自分は別に経営者になりたくない。
でも親がやっていたから何となく経営を引き継いでやっている。
その業界にも社員に対しても、さほど情熱はない。
こんな不幸なケースが現実にあるのです。

そして本人は当然のことのように経営を引き継いだものですから、
経営者になること自体が自然過ぎて、
本人が「実は自分は経営なんてやりたくなかった」ということに
気付いていないということもあります。

これは本人だけでなく
経営をやりたくない経営者の元で働く社員さんも含めて
本当に不幸なことですよね。

当然そのような会社の業績が上向くわけではありません。
2代目・3代目が会社をつぶしてしまう、
一つの大きな要因であると考えます。

親族承継が正義ではない

上記のようなことから、
経営はやはり、その資質がない人がやるべきではありませんし、
やりたくない人がやるべきものではありません。

その意味でこれまで当たり前のように行われてきた事業の「親族承継」というのは、
冷静に考えると、全く正義ではありません。

もちろん親族承継で、
その承継者が能力もあって、
その事業に対して熱意があるのでしたら、
こんなに素晴らしいことはありません。

しかしそうではないのであれば、
必ずしも親族が承継する必要はないのです。

というかむしろ、承継しない方がみんなハッピーです。

ただ廃業して社員さんや取引先などを路頭に迷わせるというのも、
特にある程度の事業規模があるのであれば、それは良くないことですので、
そんな場合には他人承継、つまりM&Aを
考慮に入れることになります。

これまでM&Aというのは非常に特殊な事例で、
そうそう見られるものではないというイメージでしたが、
最近ようやく国が日本の廃業問題に気が付き、
その対策に本腰を入れ始めたこともあり、
徐々に一般的になりつつあります。

確かにまだまだM&Aのイメージが
それほど良いものではないともいえますが、
事業を残すことを優先して考えるならば、
絶対に選択肢の一つに入れておくべきことかと思うのです。

親族の承継者が
「やりたくない」「興味がない」「能力がない」
ということであれば、
その承継者が引き継ぐことは不幸なことでしかありません。

そんな場合には無理に親族に引き継ぐのではなく、
ぜひ他人承継(M&A)ということを
視野にいれていただけたらと思います。

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