地球連邦軍に学ぶ、現場の強さは標準化から。

私、ガチガチのマニュアル化は小零細企業には必要ないと思っていますが、
ある程度の標準化というものは大切です。
ということで、ガンダムネタ、第三弾。

V作戦の一環、ホワイトベース。

大企業病の地球連邦軍

一応基礎知識(?)として、
ファーストガンダム(以下「ガンダム」で統一します)は、
地球連邦政府と、それに対して独立戦争を挑んだジオン公国との
1年戦争を描いています。

地球連邦軍に対してジオン軍は国力・戦力の部分で圧倒的に劣るため、
ジオン軍の戦略から小零細企業が学ぶべきことはたくさんあります。
それを、ガンダムブログ第一弾第二弾で語ってきました。

そしてこれに対して地球連邦軍は大企業です。
例に漏れず大企業病に陥っています。

以前のブログでも触れましたが、上層部は現場を見ず、
ジャブローという地下の司令本部にもぐったまま。
現場からの声は基本的に煙たいものとして対処しています。

ホワイトベースに対して司令官のゴップというお偉いさんは、
「永遠の厄介者」とまで言い放ちます。

このトップの言動や行動はさておいて、
組織が大きくなると、ある程度大企業病に陥ることは
仕方のないことです。

大きな組織ほど仕組みで動かす必要があり、
その歯車ががっちり噛み合って動いていますから、
その仕組みの一部を急に変更すると、
その巨大な組織全体の動きが悪くなります。
歯車の一部の変更は、
その仕組み全体の変更になりますから。

ですから大企業は、「慣性の法則」に従うかのように、
その巨大な体を、
急に方向転換することはできないのです。

あげくそこに、現場の意見に耳を傾けない上官がいるわけですから、
開戦当初ジオン軍にやられっぱなしになってしかるべき、
ということです。

しかし地球連邦軍は、そんな腐った上層部を抱えながらも、
組織全体のあり方として、
現場の声をカタチにする仕組みがあったことが救いでした。

最前線で戦線を指揮し、自ら捕虜にまでなったレビル将軍が、
モビルスーツの威力・有効性についてジャブローの高官たちを説得し、
モビルスーツ開発を前進させる方向へ進みます。

これが「V作戦」と呼ばれるもので、
ガンダムはこの一環として開発されるのです。

V作戦とは何だったのか

普通にガンダムを見ている人は、
V作戦という言葉すら頭に残っていないかと思います。
そして、少しよく知っている人でも、
「ああ、ガンダムとかホワイトベースとかを開発するための作戦ね」
という認識ぐらいだろうと思います。

どうしても「ガンダム」「ホワイトベース」のキャラが尖り過ぎてますし、
アニメ番組構成上、そうせざるを得ないですから。
そしてその解釈自体は間違いではありません。

V作戦の内容は、
①モビルスーツの開発と量産化
②モビルスーツの運用を前提とする専用母艦の建造
ですから。

①では、ガンダムの開発とその戦場への投入を通して、
データと情報を収集し、それをGM(ジム)の量産へとつなげていきます。
ガンダムがどうしてもヒーロー扱いになりますが、
この戦争全体で考えると、単なる一兵器の一試作機に過ぎません。

そして②では当初宇宙戦闘機を搭載する宇宙空母が
V作戦の導入により計画変更され、改修されて
ホワイトベースが誕生します。

ただもう一つ忘れてはいけないのは、

③モビルスーツの運用方法の確立
です。

映画版でなくテレビ版を丁寧に見ていると感じることですが、
ガンダムはやむを得ず急遽戦線に放り込まれつつも、
その後いろんなトラブルに巻き込まれつつ、
メンテナンスが実施され、弾薬が補充され、
壊れたらメカニックによって修理が施されます。

モビルスーツをただ導入するだけでなく、
それを維持・運用するための仕組みがすでにある程度
できあがっているのです。

そして試作機(ガンダム)を通して
その仕組みをさらに強固なものにするのが、
V作戦の目的の一つなのです。

標準化が現場力を高める

兵器を適切に維持・運用するためには、
現場の力が必要です。
そして連邦軍は、この現場力が非常に強かった。
それは補給部隊であるマチルダが登場する回のときに
現場の人たちのモチベーションと使命感の高さから
感じ取ることができます。

そしてガンダムは主人公であるアムロという
スーパーニュータイプが操縦していることもありますが、
そのほかガンキャノン・ガンタンクというモビルスーツも戦線離脱することなく
(最後は破壊されますが)、
最後まで戦い続けることができています。

それもこれも、適切に補給・修繕・維持管理がなされているからこそ。

その実現のために、
現場の人材力はもちろん大切ですが、
その人材力は、そこに「標準化」という仕組み力があってはじめて
その本領が発揮されます。

人材の能力だけに依存し、属人的になっていては、
いざその人が動けなかったときに一気に破綻してしまいます。

さらに標準化が新たな人材の育成を促す側面も見逃せません。

V作戦はガンダムとホワイトベースの開発と運用を通してのデータ収集だけでなく、
それらを適切に運用するための標準化の仕組みを構築してこそ、
その完成だったのです。

実際の組織においても、
TOPが多少あほでも、現場力が優れていれば、
その会社はうまく回ります。
そのTOPに現場がいつまでもついていくわけではない、という現実はありますが。

そしてその現場力を属人的なものとしないためには、
標準化、マニュアル化が大切であるということを、
V作戦は教えてくれているように思うのです。

なお、冒頭にも書きました通り、
ガチガチのマニュアル化は、私は好きではありません。

マニュアルが複雑になり過ぎて、
マニュアル更新に手間がかかり過ぎて、
マニュアル自体が形骸化してしまったり、
適切な運用のためのマニュアルだったのが、
マニュアルのためのマニュアルとなってしまうからです。

何度かやれば、実行できる。
この程度のものがベストであると思います。

そのちょうど良い加減を見極めつつ、
標準化を通して現場力を高めることに、
ぜひ取り組んでいただければと思います。
それが組織の力を、きっと最大限に高めてくれます。

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