全体最適と根本治療。

人の体も、経営も、全体で考えることが大切です。
ある部分が、一見関係のないところとつながっていたりします。
問題が発生したときには全体を見てその根本的なところの改善が必要になるのです。

整体の不思議

私の仕事は、結構長い時間イスに座っていることと、
もともと姿勢にクセがあるものですから
(誰しも少なからずもっていますが)、
結構、体のあちこちが凝っていたり張っていたり
痛みがあったりしています。

外科手術的なもので治るものではないので、
基本、整形外科には行かず、
整体に行きます。

整体についても過去の経験から、
ある部分が凝ったりしているときに、
その部分自体に原因があるのではなく、
全然別のパーツのゆがみが、その凝りの原因になっていることが
多いように思います。

ですから整体に行ってその治療をお願いしたときに、
その凝りや痛みの部分を徹底的にほぐしたりするところへは
二度と行かないようにしています。

それは単なる対処療法であって、
根本治療にはいたらないから。

対処療法では、その時一時的に楽になったとしても、
近いうちに必ずまた同じ症状が現れます。
だから根っこから治療してくれるところへ通うようにしているのです。

痛みのあるところとは全然違う部位を整えていくことで、
不思議と痛みや凝りがなくなっていきます。
人間の体は本当に不思議です。

経営も、根本治療が大事。

これはそのまま経営にも当てはめることができます。
その会社が現在抱えている、ある問題があったとして、
その問題をカバーするために取り繕うような手を打っても、
一向にその問題が解決することはありません。

例えば社内のある社員が退社したとします。
するとその社員に替わる人を雇用することになるのですが、
その人もすぐにやめてしまって、
離職率の高い職場になってしまっていたりするケース。

対処療法では、その分の仕事を他の人にやってもらうため、
求人をひたすら続けたり、
場合によっては部署の配置換えを行ったりすることで
解決しようとします。

もちろん短期的な問題にも対処しないといけませんから
これ自体はとても大切なことです。

しかしそれでも次々と人が入れ替わっていくようであれば、
「なぜこんなにも人がやめていくのか」
という根本的な部分を解決しなければなりません。

新しく雇用し教育した人がやめていくことほど
大きな機会損失はありません。
成長が積み重なるどころか、その都度ゼロに戻るわけですから、
そんな組織が成長するわけがないのです。

だいたいこういった根本原因は
全く別のところにあったりします。

そしてそんな根本原因は多くの場合、
その解決が結構大変なことだったりします。

コミュニケーションの問題なのか、
組織編制の問題なのか、
ビジネスシナリオそのものの問題なのか、
はたまた経営者自身の考え方の問題なのか。

根が深いものほど解決はしがたいですが、
その解決に着手しない限り、
永遠にその問題は生じ続けます。

ですから、その根本的かつ本質的な問題にしっかりと切り込み、
着実に改善することが大切です。

ソフトランディングでも構わないので、
最終的にはその問題の本質が解決する道筋をちゃんと描いて、
少しずつ本来あるべき姿に近づけていく覚悟を持ちましょう。

全体最適を意識する。

このように会社の問題は、
会社のほんの一部分の原因に起因して
発生しているものではありません。

現状を野放しにすると大きな問題となってしまう場合にはもちろん、
一時的な対処療法は必要です。

しかし、ときには会社全体を眺めてみて、
どこかに歪みが生じていないか
確認するようにしたいものです。

人間の体の全体が整えば、体調も全体的に整ってくるように、
会社も、全体の整合性がとれている状態になれば、
自然と良い会社へとなっていきます。

問題が発生する部分部分へと意識がいってしまうのは
ある程度しかたのないことですが、
本来目指すべき状態は、「全体最適」です。

そして決して部分最適の集合体が全体最適ではありません。

全体でとらえて、全体で考える。
そのためには、経営の全体像とはどういったものなのかを
把握しておく必要があります。
ちょうど、整体の名医が
人間の体のつながりすべてを的確に把握しているように。

経営の全体とはどういったものなのか、
それをお話しするのはここでは余白が足りないのでまた別の機会に。

ちなみに癌が生じたときには迷いなく切除することが必要であるのと同様に、
経営も、部分に対して大手術が必要なケースもありますので、
そこは誤解のありませんように。

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