PDCAの問題点とPCDCの提言。

経営って結局は「問題形成と課題設定、そしてその解決」ということを
いつもお話ししているわけですが、経営の現場においては、
マネジメントサイクル(いわゆる「PDCA」)を
いかに高速回転させるか、がキモです。
そんなわけで今回はPCDAについての議論のバックナンバーです。

ーーーー以降、2021/12/19の記事より転載(一部改訂)ーーーー

ずっと昔からPDCAサイクルってサイクルしてないだろう、と思っていました。
その問題点と、PCDCサイクルの提言を。

PDCAはサイクルしていない?

みなさん、PDCAはご存じですよね?
P:Plan 計画する
D:Do 実行する
C:Check 検証する
A:Action 改善する
という流れです。

15年ほど前でしたら、
小零細企業の経営者でも半分以上は知らなかったものですが、
今となっては大概の人が知っていることだろうと思います。

そしてずっと前から私が抱いていた素朴な疑問は、
Actionって、行動を起こすという意味だから、
その後Planっておかしくない?
ということでした。
まぁActionを
「先のCheckの結果次の仮説たてて、それを踏まえて実行する」
というふうに理解すれば、ちゃんとサイクルになっているのでしょうが。
でも、そうであれば、そのActionは次のPlan-Doなんじゃはないの?
と思います。
ですからPDCAよりもシンプルに
PDCサイクルの方が私にはしっくりくるのです。

計画して、実行して、チェックしたら、
そのチェックを受けて次の計画です。
この方がわかりやすいですよね。

PDCは大切。

このPDCAはマネジメントサイクルとも呼ばれていたりします。
マネジメントをどこまでの範囲ととらえてのものかはわかりませんが、
このサイクルは会社のあらゆる面で必要です。

日々何も考えずに目の前の業務だけをひたすらやっているのは、
ただ「Do」しかやっていない状態です。
これでは何にも進歩を生み出さないわけですから、
なにがしかの改善を行っていく必要があります。
そこでまず「Plan」することとなります。
Planがなければその後の検証のしようがないわけですから、
まずはこの存在がキモです。

そしてこの「Plan」は計画というだけでなく、
仮説であり、目標です。
Planというのは結局、
「こうすればきっとこうなる!」
ということですから、
それが本当に正解なのかはやってみないと誰もわかりません。
だから「仮説」でもあるのです。

でもその「仮説」があるからこそ、
そのあとの「チェック(検証)」ができるんですよね。
どこに課題があったのか、どこが問題だったのか。
それを踏まえて次の仮説と計画と目標を設定するのです。

PDCAへの批判にたいする疑問

最近PDCAに対する批判も聞こえてきたりします。
私も先ほどちょっと批判したわけですが、
わかりやすく表現をしただけで、
その存在自体を否定しているわけではありません。
しかし、
「PDCAではイノベーションが起こらない!」とか
「これからの時代はOODAだ!」とか
いろいろ耳にする機会があります。

でもこれらをよく読んでみると、
結局それはP・D・Cのそれぞれで何を行うかの定義づけの問題であって、
基本的なサイクル自体はなにも変わっていないように思います。
「プランの前には、情報収集と分析が必要だ、だからPDCAは時代遅れだ」
とか言っても、
プランを立てるためには当然そういったことは行われるべきであって、
それも含めてプランなんじゃないかなぁと思っています。
本質的に変わっていないのであれば、その深堀りで済む話しですので、
勝手に時代遅れ扱いをして新しい言葉を作る必要はありません。

ですからあまりいろんな新しい言葉に振り回されないことが大切です。
基本は、
P:現状に基づき計画・仮説・目標を設定する。
D:Pに基づいて、実行する。
C:Dの結果をPに照らして検証し、次のPに活かす。
です。
イノベーションが起きないのも、
PDCAの責任ではありません。
Pを、単なる血の通っていない目標設定だけの場としてしまっている
企業側の問題です。
本来Pはイノベーションを起こして思い切った仮説を立てる場であると思うのです。

そもそも私がこの手合いの話しをはじめて聞いたのは、
20年以上前、大学の授業での
「Plan・Do・See」
でした。
これはPDCと一緒です。
PDCAという言葉も結局、
「PDCでは足りない!」とかいう理由でAが付け足されたのかなと思います。
あくまで私の想像ですが。

PCDCの提言

「新しい言葉に振り回されるな!」とか言いながら、新しい提言をするという、
自己矛盾になってしまっていますが(笑)、
「PDCA」ではない「PCDC」ということを私は意識しています。

これは私の経営コンサルの師でもある、
故・池田重樹氏によるもので、私が作ったものではありません。

先の「PDCA時代遅れ論」の中の一つに、
「現場の声を無視したPで現場が混乱」とかいうものもあるのですが、
やはり
「そんなのはPのやりかたの問題であって、その責任をPDCAに押し付けるな」
と思ってしまうわけでもありますが、
この池田氏の提言した「PCDC」は
その問題を解決したものです。

「PDC」と違うのは2つめのCだけ。
これは、
C:Cordinate(コーディネート:調整する)
ということです。

仮説であれ計画であれ目標であれ、会社としての実行方針が定まると、
それは当然のように会社内の各部署に多大な影響を与えます。
ただ実行部隊が実行するだけではないはずです。
営業部門だけに関わるような話しであったとしても、
それにより製造部門にも大きな影響はあるでしょうし、
もっと言えば総務経理部門にも影響があるでしょう。

経営は部分で動いているのではありません。
全体を把握し、全体で動かす。
これが経営です。

だからこそ実行する前に
これら各部署が有機的につながって適切な動きができるよう
「調整」をしましょう、
ということです。

結局これも実は、
「各部署がどのように連携して動くのか」というプラン部分の話しですから、
「PDC」の中で充分に納まっています。
しかしその中でも忘れられがちだから、
社内の混乱を生み出さないように池田氏は、
敢えてPとDの間に新たな「C」を入れ込んだということだろうと思います。
池田氏も「PDCAには問題がある!」とか言っているわけではないのです。


本質的には何も変わっていないのに
新しい言葉を生み出してあたかも新しいことをのように見せることは、
私は好きではありません。
今までやってきたことが否定されるようで、混乱してしまうからです。

なのでPCDCという言葉も、新しい言葉で混乱を生み出すだけですから
お客さんとの対話の現場で使うことはあまりありませんが、
この1つ目のCはとても大切なことですので、
Pの中で意識づけしていただくようにしています。

「経営者ともう一人」という2人の組織であっても
コミュニケーションによる調整は必要です。
計画をたてることで互いがどのように連携する必要が生じるのか、
その中で社員さんにどんな動きをしていただきたいのか、
ちゃんと伝える必要があります。
これがないと
「社長またなんか考えて勝手に動き出したわ」
ということになってしまうのです。

「Cordinate(調整)」は必要なことです。
ぜひPlanの段階で強く意識していただけたらと思います。

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