「標準化」という仕組み。

ほとんどの会社が、
最初は経営者一人もしくは数名の会社から始まったものかと思います。
そんないわゆる「ワンマン会社」から脱皮して、組織化していくにあたり、
「仕組み」の構築はとても大切です。

効率化と標準化

最初、経営者が一人で事業をしているときは、
標準化などが行われることは普通ありません。
自分一人ができればそれで良いわけですから。

そこから2人3人くらいの社員が増えたとしても、
経営者自身と直接指示命令を受けることができますし、
同じ仕事の現場に入って日常のコミュニケーションを行うことができますから、
この段階でも標準化がされないことが多いだろうと思います。

しかし問題は現場を人に任せ始めたとき。

経営者と全く同じことができる必要はないかもしれませんが、
極端にクオリティを落とすわけにもいきませんし、
同じ仕事内容でも人によってやり方が違う、ということになると、
例えばその仕事を誰かが引き継いだ時などに混乱を来たします。

ですから誰がやっても同じ内容のことを、
ある程度のクオリティでもって実現できる
「標準化」という仕組みがとても大切になってきます。

「経営者が一人で事業をしているときは、標準化が行われることは普通ない」
と書きましたが、
人が増えて、それぞれが独自のやりかたで仕事をするようになってから、
それぞれのやり方を変えてもらうのはとても労力の必要な仕事となります。

そんな意味で経営者は、自社の組織を拡大していくというつもりであるならば、
または自然と拡大するだろうということが想定されるのならば、
経営者一人の段階で標準化の準備をしておくことが望ましいのです。

経営者自身の仕事の効率やリスクヘッジにもつながりますから、
「別にチェックリストなんてなくても仕事できるよ」
ということであったとしても
ぜひ、業務の標準化を進めていただけたらと思います。

とりあえず作ってみる

さてそれでは仕事の標準化をどのように行っていくか、
ということですが、
基本的には業務の時系列に沿って工程を作ることと、
その各工程における業務を円滑かつ確実に実行するために、
何をする必要があるのか、
どんなことに気を付ける必要があるのか、
ということを整理して、
その一つ一つをチェックできるようにすることです。

言葉で言うと簡単そうに思えますが、
これをカタチにするのは、なかなかに骨の折れる仕事です。

しかも標準化したいと考えられるものは、
日常業務の隅々にいたりますから、
「あれも標準化したい、これも標準化したい」
などと考えていると、
全く手につかなくなってきます。

ですから、まずは
どの部分を標準化するかということを定めて的を絞り、
それを標準化するところから始めてみましょう。

しかもそれを最初から完全なもの、
またはそれに近いものを目指そうとすると、
これまたものすごい労力が必要になります。

ですので最初は適当でいいのです。
極めておおまかに、
「ああやって、そうやったら、こうなる」
くらいのものでいいのです。

そしてその後必要に応じて肉付けをしていくことで、
徐々に標準化された仕組みとして、
精度が高まっていくのです。

まずは思い悩むよりも、
とにかく作ってみる・スタートすることが必要なのです!

仕組みを目的化しない

しかしこのように業務の標準化を始めると、
どんどんその内容が細かくなっていくことがあります。

なんせ何か問題が発生したり、
ミスが発生したり、
完全に何もしらない新入社員でもできるようにしてみたりしますから、
ちゃんと更新しようという意欲があるほど、
内容がみるみる重厚かつ複雑なものとなっていきます。

そしてそれをさらにちゃんと実行できるために、
チェックリストなるものが誕生します。

標準化の目的の一つは
「誰でも簡単かつ効率的に同じパフォーマンスがミスなく実行できるようにする」
ということですから、
このように標準化の仕組みが成長することは正しいことでもあります。

しかし、「現場猫」でも揶揄されている通り、
標準化された内容がどんどん膨らみ、
そのチェックなどが複雑になり過ぎると、
やたらと紙が増えて、業務が非効率となっていきます。

本来効率を高めることが目的だったにもかかわらず、
めちゃ煩雑なことになって、かえって非効率を生んでしまうのです。

特に現場のことをあまり考えていない上司や、
効率性・収益性のことを考えていない一般社員の手によって、
標準化はどんどん先鋭化してしまうのです。

ですから仕組みの改定はある程度のところで妥協し、
緩める必要があります。

目的はあくまで顧客目線で業務効率化を図ることであって、
仕組みをつくること自体が目的ではありません。

それでも仕組みは、やっぱり必要なもの。
何が目的だったかを念頭におき、
自己満足・マスタベーションにならないよう意識しながら
構築していくことを忘れないようにしましょう。

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