少し前からですが、
やたら「FIRE」という言葉を聞くようになりました。
FIREにもいろんなレベルのものが存在すると思いますが、
私はFIREしません。
その理由とFIREについて思うところを。
目次
そんなに仕事がイヤなのか?
FIREとはご存じの方も多いだろうと思いますが
「Financial Indipendence、 Retire Early」の略です。
要は経済的に独立(他人に依存しない)してさっさと仕事をやめる、
ということですね。
経済的に独立する、ということは、
お金を貯めてその利回りだけで食っていけるようにする、という意味です。
冒頭でもお話しした通り、
FIREにもいろんなレベルのものが存在します。
完全にリタイアするわけでもなく、ちょっと働きながら、
というスタイルもあったりします。
いずれにしても、これを聞いて思うのは、
「そんなに、仕事がイヤなのか?」
ということです。
今の会社がイヤで会社を辞める、というのはわかります。
でも、仕事をやめてしまわなくてもいいんじゃない?
と思うのです。
仕事は、自分が社会に提供するものでもって対価をもらう活動です。
ですから仕事は社会とつながる手段です。
仕事以外でも社会とつながる手段はいろいろありますが、
そこに対する真剣度が全く違います。
私は、仕事が人生の一部であることで、
人生が豊かになるんだろうなと思っています。
仕事がイヤだから、お金を貯めて仕事をやめよう、という発想ではなく、
今の仕事がイヤだから、スキルを身に着けて今の仕事をやめて他の仕事をしよう、
という方が、自然であると考えています。
お金はためるより、より大きなお金を生むために使う。
まず最初にお伝えしておきたいことは、
貯蓄するということはとても大切なことである、
ということです。
一定の貯蓄は日々の生活の安心を生み出します。
ちゃんと自身のLifePlanを考えたうえで財産形成することはとても重要です。
しかし、お金は貯めるだけのものではありません。
FIREでは一般的に、将来のリタイアと経済的独立に向けて、
必死になってお金を貯めるイメージです。
年間生活費が400万必要として、
うち100万はちょっと働くいて稼ぐとして、
残り300万。
利回りで現実的なところはだいたい3%程度でしょうから、
300万の利回りを得ようとすると、
1億の貯蓄が必要となります。
もうちょっと働くとしたら、
もちろんこの貯蓄は少なくて済むようになりますが、
それだけの金額を貯めていこうとすると、
今の収入の相当部分を貯蓄にまわしていくことになります。
そこで恐ろしいことだなと思うのが、
それだけ貯蓄しようとすると、
お金が自己投資に向いていかないということです。
今の10年15年を我慢してその後仕事もせずにゆったり生活するのか、
積極的に自分や将来の事業に向けて投資して、
より大きな収益を生み続けることを考えるのか。
私は後者を選びます。
ただこれは、めっちゃ働き続けるとか、
つらい仕事でも頑張る、とかそういうことではありません。
自分にとって楽しめて、
かつ自分自身が自然と取り組める仕事のあり方を考えて、
そこに向けて力を注ぐ、ということです。
働く時間自体は、将来に向けてどんどん減らしていきたいと思っています。
でもそうやって減らして空いた時間は、
また次の楽しい仕事のために使ってしまうのだろうと思います。
FIREのリスク
お金をためてその利回りで食っていくことについて
夢のような世界を抱いている人もいるかもしれませんが、
FIREにもリスクが付きまとっています。
・早くボケる。
健康で長生きする秘訣は、
過度なストレスなく、
適度な緊張感をもって仕事を続けることです。
さっさと仕事をリタイアしてその時間を何に使うのでしょう?
たくさん遊びたい、と思っているかもしれませんが、
遊びは飽きますからそんなに長続きするものでもありませんし。
いずれにしても人生に張り合いがなくなること請け合いです。
そして健康寿命は間違いなく縮んでいきます。
・自己投資が不足する
自分への投資が不足すると、成長しません。
当然のことですが。
そして、自己投資は勉強だけではありません。
人間関係・人脈を作ることも大きな自己投資です。
そしてもちろんそういったことにはお金がかかります。
これがおろそかになっている状態で10年15年後、
自分はどうなっているのだろうということを考えると、
それは恐ろしいことだろうと思います。
もし何かのはずみで元手が吹っ飛んでしまったときに、
自分の中にも外部にも、自分を支えるものがないわけです。
これは大きなリスクだろうと思います。
たとえ元手が吹っ飛んでしまっても、自分の能力が高まっていれば、
なんとでもやっていけます。
成長しない=退化です。
お金を貯めることに一生懸命になって退化していくことは避けたいものです。
・その利回りは保証されているのか
利回り3~4%で運用することがFIREでは前提になっているようですが、
その利回りは果たして保証されているのかというと、
決してそんなことはありません。
どんなものでも社会環境の変化と共に利回りの高い運用先は変化します。
変化するということは、運用先を変えなければならないということです。
そして運用先を変えると言うことは、そこにリスクがあります。
リスクが実体化したときには、その元手が削り取られてしまいます。
FIREの前提は、貯蓄した元手を減らさないことですから、
その前提が崩れてしまいます。
そうなったときにはまた稼がないといけないわけですが、
先の「自己投資の不足」がここで足かせになってきます。
FIREのリスク、今思いついたのはこんなところですが、
こんな不安が生まれる可能性もあるのだということは、肝に銘じておくべきかと思います。
・まとめ
基本的には、完全FIREというのは、
良いことだと思いません。
おそらくむなしい将来が待っているだけのように思えます。
FIREしたその先に、
自分が一生をかけてやっていきたいことがあるということであれば理解はできます。
しかし、やりたいことをやるには、お金を貯めるだけでなく、
自己投資が必要ですよね。
そしてそのやりたいことで社会とつながり、
社会に何某かの価値を提供することで、そこにやりがいが生まれ、
豊かな人生につながるのです。
ですから、今の会社がイヤというのなら、
お金を貯めてリタイアするのではなく、
お金と能力を貯めて会社をやめて、
自分の本当にやりたい仕事を選択するというのが
正しい在り方かな、と思います。
まあ、FIREをするにしても自分で事業を始めるにしても、
何が自分にとって本当にやりたいことなのか。
どんな人生を歩むことが自分にとっての「豊かな人生」なのか。
自分が自分として自然な形であることのできる仕事と生活とはどのようなものなのか。
それをしっかりと定めたうえで、
踏み出すことが必要です。
本当にFIREは自分にとって正しいのか?
リスクあるんじゃないか?
情報に振り回されないように、踊らされないように、しましょう。