「心地よいサイズ」を大切にする。

私は会社を経営するにあたって、
「経営者にとって心地よいサイズ」であることを大切にしています。
それが自分とその周囲を最大限幸せにできることにつながると思っているからです。

無事、器の中に収まったスライムたち。

現在のありかた

現在のうちの事務所は、
私と二人のパートさん(うち一人は私の妻)で構成されています。
私が自分の事業として事務所経営を行っていくにあたり、
今のところこれが自分にとって最も心地よいサイズであり、
適正規模であると考えています。

拡大することは、できる。

自分が顧客に対して提供したいものを届けることは、
社会に対して価値を届けることですから、
事務所を拡大してより多くの人に、自社の求めるサービスを届けることは、
社会貢献にもつながります。

だからこそついつい契約をしてしまって
結果として売上が伸びて事業が拡大していきます。
ただその過程で、どんどんと自分の時間はなくなっていきます。
すると自分一人では仕事がまわらなくなり、人を雇用する、
ということになります。

「雇用」も間違いなく社会貢献です。
だからこそついつい人を雇用してしまって、
結果として会社の規模は大きくなっていきます。
特に経営者自身にある程度の営業力がある場合、仕事はそれなりに入ってきますから、
それを受け入れていくと、どんどん人が必要になり、
自然と事業規模は拡大していってしまいます。

雇用もリスクになる可能性がある。

ここでふと考えていただきたいのですが、
そうして出来上がった会社のあり方は、
あなたにとって、適正な状態でしょうか?

こうして会社に所属する社員さんの数が増えてくると、このあたりから、
経営者自身の「器」というのが大きな問題となってまいります。
人それぞれ、器の大きさはさまざまです。
自己啓発系の話しを聴いたり、セミナーにいったりすると、
「可能性は無限だ!自身の器を大きくするんだ!」とかいいますが、
無限であるはずがありません(笑)。

もちろん器を広げる努力は必要でしょうが、
自身の器のサイズを見極めるということはとても大切です。

会社は経営者自身の器以上にはなりません。
そして会社の規模がうっかり経営者自身の器の大きさを超えてしまうと、
コントロールを失い、人の心が離れて、
一気に瓦解していくこととなります。

そして、自分の器を超えた組織を運営することは、
大きなストレスを伴います。
器を超えちゃってるわけですから。
でもそれをなんとかしないといけませんから四苦八苦していくうちに、
本来経営者自身がやりたかったことを見失ってしまいます。

一度拡大してしまったものを縮小することは、
拡大することよりも難しいことです。
自分にも他人にも痛みを伴います。
だからこそ、自分の現状の器を見極め、
自社の事業内容を考えた場合に
どの程度のサイズがもっともふさわしいのか、
もっとも心地よいのか、
その大きさを大切にすべきだと思うのです。

規模の拡大より、中身の充実

また、売り上げ規模が拡大し、それに相応して組織が大きくなっても、
人が育っていないとどんどん中身が薄れてきます。
経営者自身ですべての顧客と関われない状態であれば、
顧客と関わるのは社員さんですから、
社員さんの教育・育成が当然必要になります。
それを放置すると顧客への提供価値がどんどん薄れていきますから、
自社の存在価値がどんどん失われて行ってしまいます。

それは非常に危険なことです。
存在価値のない会社は世の中に必要とされませんから、
その行き着く先は積み重なる赤字と破綻です。

だから、規模よりもまずは中身を充実させることが大切なのです。
自社のあり方で、顧客価値を最大限に高め、
自社の利益を最大化するためにはどうしていかなければいけないのか。
そこに心血を注ぎましょう。

自然体が大切

先ほどもお話ししました通り、
経営者それぞれにはそれぞれの器の大きさがあります。
人生を豊かにしていくために、この器を大きくしていく努力は大切ですが、
無理やり器を大きくしていこうとするとそれ自体がストレスとなって、
本末転倒なこととなってしまいます。

器が大きくないことは、恥ずかしいことではありません。
だって人それぞれですから。
人より走るのが遅いことが別にそんなに恥ずかしいことではないのと同じことです。
誰もが努力をすれば100mを10秒台で走れるわけではないのです。
それよりも自分自身の器を見極めて、
その器の範囲内でどれだけ自分自身と自分の周囲の人を幸せにできるか、
ということが大切だと思います。

幸せにする順番は、まずは身近なところから。
無理して自分の器のサイズを飛び出した人まで幸せにしようとすると、
かえって身近な人が不幸になります。
それは決して自分の求めていることではないはずです。

自身の器を見極めて、
その中で余裕をもって生きていくこと、事業を行っていくことは、
別にサボっているわけでも独りよがりであるということでもないと思うのです。
「自分のこと」しか考えていなかったら、それは大きな問題ですが、
でも「自分のこと」ももっと考える必要もある、と思うのです。

自分が「自然体」であり続けられる範囲で事業を行いましょう。
それが結果として最も周囲を幸せにできると考えています。
そして自然だからこそ、経営者自身が自由に考えを巡らせ、
自由に活動することができて、
そこからまたあらたな事業のアイデアが生まれてくるのだと思います。

ムリをしない、ということとサボることは同義ではありません。
「頑張らないで、頑張る」
これが私の人生のテーマです。
だから私は事務所のサイズを大きくはしません。
それよりも、いかに中身を充実させてさらに自分自身の自由な時間の枠を広げるのか
ということばかり考えています。
そうしてできあがった時間を今と同じ仕事のあり方で埋めるのではなく、
自由な発想を生み出せる時間としていきます。
その中からまた新しい価値が、生まれてくると思うのです。

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