人と比べてはならない。

この仕事をしているとよく、
「同業他社の粗利率はどうなの?」とか
「他の会社って、広告費どれくらい使ってるの?」
などということを聞かれます。
そこで今日は、人と比べることについて。

人と比べることは不幸の始まり。

森信三先生の「一日一語」という本に、
「人と比べることは不幸の始まり」
という言葉が載っています。

この本に限らず、このようなことは
いろんなところで見聞きするかと思います。

本当にその通りですよね。

私自身、深層心理に「人との比較」というものが貼りついていて、
めちゃ鬱陶しいのですが。

なぜ人と比べることは不幸の始まりかというと、
自分でなく人を基準として考えてしまうと、
いろんな良し悪し判断が
他人基準で決まっていってしまうからですよね。

Aさんより〇〇だからダメだ、とか
Bさんより△△だから自分は幸せだ、とか。

そして自分より恵まれている人などいくらでもいるので、
他人と比較して生きていくと欲望は際限がなくなっていきます。

過度に人と比べて生きることはある意味、
自分の人生を生きていないとも言えます。
もちろん他人のなかに「ありたい姿」を見つけて、
それを目標にすることはいいことだろうと思います。

ただこれさえも
本当にそれは自分の内から出てくる求めるものと一致しているのか、
という心の声に耳を傾けるべきでしょう。
周囲がああだこうだいうもんだから、
それが自分の求めるものだと勘違いしているケースもありますから。

同業他社比較は正しいのか。

そしてこれは会社についても同じことが言えます。

「あの会社が、あんなことをしている(だから羨ましい)」とか
「あの会社が、あんなことをしている(だから腹立つ)」とか
「あの会社が、あんなことをしている(だからうちはダメだ)」とか

一つ目の(羨ましい)というところから、
「じゃあうちも頑張ってそれを目指そう」
となるのは良いですが、
そうでない限りこれらは愚痴でしかありません。

ヨソはヨソ。ウチはウチ。

そんなことを気にして
文句言ったり焦ったり不安に思ったりするヒマがあるなら、
自社の中身を磨きましょう。

そして冒頭にも少し触れましたが、
「他の会社の粗利率はどれくらいなの?」とか
「あそこは何人くらい人雇っているの?」とか
「他の会社ってどれくらい給料支払ってるの?」とか
こういった同業他社比較も、
それほど意味のあることとは思えません。
会社の方針が違えば全く違ったものになるからです

全く同じ仕事を、全く同じ規模でやっていても、
経営者が異なって、
その大切にしている思いや方針が違えば、
会社は全然違ったものになってくるのです。
そしてそこに正解はありません。

付加価値を高めることを大切にしている会社は
粗利率が高いでしょう。
社員を大切にしている会社は、
給料が高いでしょう。

大切なのは
自社はどのような姿・状態であるのが
自社の理念や方針に沿って正しいのか、
ということです。
それに基づいて一つ一つの計画をたて、
それでしっかりと安定して利益が出せれば、
それがその会社の正しい在り方なのです。

もちろん他社分析は必要です。
3C分析に代表されるように、
他社がどのようなことを考え
どのような戦略でどのようなことをしようとしているのか。

不利な条件下で同じ土俵で戦わないように、
そして自社が独自性ある事業を展開できるよう、
業界がどのような状況になっているかということを勉強することは
「比較する」というのとは別次元で大切なことなのです。

どうせ戦うなら自分と戦う。

自分も会社も、どうせ戦うなら、
それは他人や他社ではなく、
自分自身と戦いましょう。

その「自分自身」というのは二人いて、それが、

「過去の自分」と
「未来の自分」です。

過去の自分というのはそのままですよね。
例えば前年と比べて、
数字的な部分も仕組み的な部分も、
経営のあらゆる側面で少しでも良い会社にする、
ということです。

そして会社内で今起こっている「問題」は、
会社の過去の活動の中から生じてきた歪みのようなものですので、
これらを一つ一つ解決していくことも、
過去の自分との戦いです。

そしてもう一つ、「未来の自分」との戦い。
これは、自社のビジョンや経営計画の達成に向けた行動を指しています。

会社は、自社の目指すありたい姿(ビジョン)を設定して、
初めてワクワクしたものになりますし、
それが事業におけるイノベーションの源にもなります。

そしてこのビジョンを達成するためには現状のままでいいはずはなくて、
そこに理想と現実のギャップが生じています。

ビジョンに少しでも近づくために
そのギャップを埋めるべく、
解決していく必要のある課題に取り組み、実現していく。
これが未来の自分との戦いです。

このように自社の内部を磨き上げていくことで、
その会社は
独自性・収益性・安定性のある会社へと成長していきます。

ですからぜひ、
過去の自社を分析し、
自社のありたい姿を思い描き、
そこに向かって邁進していただければと思います。

念のため重ねて申し添えておきますが、
戦略・方針を打ち出すための段階では、
業界分析というのは大切かつ必要ですからね。
そこのところだけ、誤解なきようお願いいたします。

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