【バックナンバー】ゆっくりでも、とまらなければ、けっこう進む。

さて、今日もバックナンバーです。
私の大切にしている言葉、「ゆっくりでも、とまらなければ、けっこう進む」について。
油断すると、すぐに見失ってあくせくしてしまうので、定期的に振り返るようにしています。

-- 以下、2021/9/8の記事より。若干、追記あり ---

私のもう一つの座右の銘(一つ目はこちらをご覧ください)、大切にしている言葉に
「ゆっくりでも、止まらなければ、けっこう進む」
という言葉があります。
良い言葉だと思いませんか(笑)。

この言葉の元ネタ

この言葉の元ネタは
JAXAの宇宙科学研究所長・國中均さんの言葉です。

この方は「はやぶさ1号」のときのプロジェクトリーダーで
その後JAXAの理事になり、
はやぶさ2号の時は理事の立場でそのプロジェクトに関わりました。

結構前のNHKプロフェッショナル仕事の流儀でも取り上げられ、
この言葉はその番組内でも紹介されました。

プロフェッショナルで取り上げられたのは、
はやぶさ1号プロジェクトリーダーとして活躍されていたときのお話しです。

一度通信が途絶え、「もう帰還はムリだ」と誰もが考えたときに
奇跡の復活を遂げて日本に戻ってきた、あの、はやぶさ1号です。
(ご存じない方は、wikipediaなどで検索ください)。

このとき紹介されたこの、
「 ゆっくりでも、止まらなければ、けっこう進む 」
という言葉が妙に腹にすとんと落ち、
それ以来これを座右の銘の一つとしています。
私はこの言葉に2つの意味合いを持たせています。

自己啓発として

一つ目は、自己啓発的な意味合いです。

「 ゆっくりでも、止まらなければ、けっこう進む 」。
この言葉の通りですね。
毎日毎日少しずつ少しずつ小さなことを積み重ねていく。
そうやって小さなことを積み重ねていくことを、
誰にもできないくらいに継続していく。
そうすると気が付いたら結構すごいところに到達しているんだよ、ということです。

あの二宮尊徳も言っています。
「積小為大」。
小さなことを積み重ねていくことで、
最終的に大きな事をなし得るのだという言葉です。

これは本当に大切なことだと思っています。
でも案外これが難しいのです。

一つ一つは全然難しくないのに
これを継続するとなると本当に難しい。
でも裏を返すと
簡単だからこそ自分でもできると思いますし、
難しいからこそ、それを積み重ねることできっと
凄い成果を達成することができる。

誰にだって凄い所へ到達できる可能性があると言うことを指ししめしてくれる、
とても勇気の湧く言葉です。

はやぶさ1号はイオンエンジンという特殊なエンジンを積んでいます。
ちなみにはやぶさ2号も同じイオンエンジンを搭載しています(もちろん改良が施されています)。
ちょっとの燃料で、しかもとにかく長い時間稼働しないといけないエンジンですから、
ちょっとの力で加速していくことが大切です。

イオンエンジンはこの地球上では1円玉を動かす程度の力しかないそうです。
しかし宇宙空間は全く抵抗のない世界ですから、
こんな1円玉を動かす程度の力でも
それを繰り返し繰り返し出力することでどんどん加速され、
最終的には最高速度時速4万キロ(!)を超えます。

まさに、この言葉を象徴していますよね。

ゆっくりで良いじゃないか

私がこの言葉に持たせているもう一つの意味合いは、
「ゆっくりでもいいじゃないか」というものです。

私はしんどいことが嫌いです。
まぁ大体みんなそうでしょうけれど。

そして日頃はつい急いでしまいますが、
ホントは急ぐことも嫌いです。

しかし世の中みんな急いでばかりで、
常に何かに追い立てられているようで
とても余裕のない世の中になっているような気がします。

この言葉は「積み重ねる」と言う意味では非常に難しいことを求められているわけですが、
ひらがなでこんなふうに表現されると、
「あーゆっくりでもいいんだなぁ」となんだか安心した気持ちになれます。

ゆっくりでもいいんだ。ただ止まらなければいいんだ。
たったそれだけのことで、けっこうちゃんと前に進むんだ。
というふうに、
心健やかに心安らかに、
着実に前に進んでいける気がするのです。

毎日急ぐ事はとてもしんどいです。
でも毎日ゆっくり進む事は
そんなにしんどくないんじゃないかなぁと思っています。

だから私はこの言葉を大切にして、
毎日ゆっくりでも歩みを止めずに進んでいこうと思っています。

地位が人を変える

最後は余談ですが、
はやぶさ2号が小惑星「りゅうぐう」へ到着し、
今後どれだけの残されたタスクを完了して戻ってくるか
その判断が迫られる瞬間がありました。

正確に記憶しているわけではありませんが、
1.リスクを犯して2つのタスクを完了して帰ってくる
2.1つのタスクは完了して、それだけでも成果としては充分だから
  もう一つのタスクはリスクを犯さず実行せずに帰ってくる
と言うものだったと思います。

JAXAの中でも意見が割れたようですが
当時理事の立場でいらっしゃった國中さんが出した意見は
リスクを犯さないというものでした。

しかし最終的には他の意見がとられたのか、
リスクを犯して両方のタスクを実行し、
しかもそれを成功して地球に戻ってきました。

日本の技術の高さが立証された、
素晴らしい瞬間だったと記憶しています。

私の勝手な思い込みかもしれませんが、
おそらくはやぶさ1号の時代の國中さんであれば
最初からリスクを取る方を選択したのではないでしょうか。

ですから國中さんが、リスクを冒さない方がいいという判断をされたことは
私にとって、とても意外でした。

理事と言う立場になられて、
「余計なリスクをとらない」
という思いが先に立つようになってしまったのかな
と感じたことを覚えています。
そして、そんな話を聞いて少しだけ寂しい思いがしました。

立場が人を変えてしまうんだな、
そんなことを考えさせられる出来事でした。

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