頭の中を整理する その3 ~分類して、解決する。

経営者の「頭の中を整理する」、三回目。今回で最後です。
前回は、アウトプットした解決すべき問題・課題を、
「優先順位」という切り口で整理・整頓しました。
今日はこれを経営の全体像に当てはめて整理してみます。

経営の全体像を考える

経営者の頭の中は、常に考えるべき事で混沌としているわけですが、
それをアウトプットしただけではそれは、
目に見えない混沌が目に見える混沌へと変化しただけ。

これらをいつでも取り出して考えることができるようにするためには、
頭の中で整頓されている状態になっている必要があります。

そしてこれらを整頓するためには、その問題や課題が、
経営全体の中でどんな位置づけになっているのか、
ということを把握することが必要です。

つまり経営者の考えなければいけないことの全体像は
どのような構成でできあがっていて、
その問題・課題は、そのうちどこに分類されるものか、
ということを考えて、その分類に当てはめていく
という作業を行う必要があるということです。

実際に身の回りのものを整頓するときも同じですよね。
どこにどんな種類のものを片付けるのか、
具体的にそれを片付ける住所を決めてその通りにしまい込んでいく、
という方法です。
こうしておくと、分類ごとにどこにあるか把握できますから、
いま必要としているものがどこにあるのか、
すぐにわかります。

これと同じように、複雑極まりない経営全体を分類して
それぞれに名前をつけて、
問題・課題をその分類に沿って整頓していくのです。
あたかも、分類名の書いた箱があって、
問題課題を種類ごとにその箱にパコパコとはめ込んでいくイメージです。

そのためにはまず最初に、
経営者の考えるべき事の全体像がどのようなもので構成されているか、という
分類が必要です。
それが、
①ビジネスシナリオ
②マーケティング&セールス
③人事組織
④財務
⑤リスクマネジメント
⑥ライフプラン
です。

②はさらに、
商品と顧客創造の二つの区分にわけてもいいかと思います。

分類していく

それでは次に、アウトプットした解決すべき事柄を、
実際に分類していってみましょう。

その際にも注意点は、
「問題と課題を切り分ける」
ということです。

「頭の中を整理する」の第一回でもお話ししましたが、
放っておくとまずいことになる「問題」と
ビジョンに向けての差異である「課題」は、
似て非なるものです。
項目ごとに分類していくときにも、
問題と課題は別々に切り離して分類しましょう

つまり、先の①~⑥の箱だけではなく、
それぞれに「問題」と「課題」の箱を設けて、
12個の箱に分類していく、ということです。

こうしていくことで、
元々は頭の中でごちゃまぜになっていた問題・課題が、
「これは、『人事組織」に関する課題」
「これは『マーケティング』に関する問題」
「これは『ビジネスシナリオ』に関する課題」
というように、どんどんと整頓されていきます。

アウトプットした問題・課題がすべてそれぞれの箱に収まったら、
非常にシンプルに整頓された「問題・課題一覧表」ができあがります。

このように一度目に見える形で整理整頓することで、
自分の会社にはどんな解決すべき問題・課題があるのか、ということを
イメージとしてとらえることができます。

そして頭の中に、これら12個の箱を常に備えておくと、
書き出すことなく頭の中で、経営の問題課題を整頓できるようになるのです。
ここまで行くには少し訓練が必要ですけどね。

こうして整理整頓がなされたら、
あとはそれぞれの具体的な解決方法を示して、
優先順位に従って行動していくのみです。

全三回のまとめ

さてそれでは、
ここまでのところを簡単にまとめておきます。

まずは混沌として目に見えない問題改題を明らかにするため、
それらをとにかくアウトプット。
頭の中のモノを取り出して見える化するだけでもずいぶん
頭の中はスッキリします。

そして次にこれらに優先順位をつけていきます。
重要性と緊急性のマトリクスにこれらを当てはめて、
重要性も緊急性も低いものは勇気を持って捨てる(後回しにする)ことを決断。
そして重要性・緊急性ともに高いものの次に優先すべきものは、
緊急性は低くいけれども重要性の高いもの。
この順番で優先順位を定めていきます。

そしてさらに、アウトプットしたもののうち、捨てたもの以外を、
先に紹介した経営の分類にしたがって区分していきます。
6個の分類と、それぞれについて問題と課題、ですから
全部で12個に分類するんでしたね。

このように整理整頓していくと、
経営者自身の頭の中が整理されるだけでなく、
会社の社員さん達にもわかりやすく伝えられるようになりますし、
その整理した「問題・課題一覧表」を社員さんに見せることで、
社員さんも会社の問題・課題を把握しやすくなります。

こうして問題・課題が整頓され、優先順位が定まったら、
これを経営計画の中に「今期の取り組み」として組み込んだり、
日常のPDCAに落とし込んだりしていきます。

こうして、問題課題が一つずつ解決されていくことで、
経営は少しずつ着実に成長していきます。

以前お伝えしたとおり、経営とは結局、
事業運営の中で生じる問題・課題を形成・設定し、
それらを解決していくことの積み重ねに過ぎません。
ですから、経営者自身が自社の問題や課題を正しくアウトプットして
整理することができているかということは、
その会社の経営のあり方を決定づけるのです。

「自分の頭の中、整理されてないわー」
と思われるようであれば、
ぜひ一度、これらを実践してみていただけたらと思います。

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