弱みを無意味なものにする。

みなさんご存じ、SWOT分析にあたっては、
強みだけではなく、弱みの分析も行います。
なぜ弱みの分析をしないといけないのか、
そしてその弱みをどのように取り扱うべきか、
考えてみようと思います。

SWOT分析は強み重視

SWOT分析は、ご存じのとおりかと思いますが、
S(強み:Strength)
W(弱み:Weakness)
O(機会:Opportunity)
T(脅威:Threat)
の頭文字をとったものです。

このうち
前2つ(SとW)は内部環境、
後2つ(OとT)は外部環境であって、
それぞれの現状から、
次なる一手を考えるためのツール。それがSWOT分析です。

具体的には、この内部環境・外部環境の2つの軸で考えて
それぞれ掛け合わせたもの、つまり
・強みを機会で活かすには
・弱みで機会を逃してしまわないためには
・強みで脅威を打ち消すには
・弱みで脅威が致命的なことにならないようにするためには
この全てを徹底的に洗い出すのです。

しかし、
そこから実行しうることを真剣に考えて
それらを全て書き出すと、
それこそ山のように出てきます。

ですからこれらに優先順位をつけていく必要があります。
特に我々小零細企業は、あらゆる経営資源が乏しいですから、
しっかりと優先順位をつけて、
それらを確実に粘り強く
実行していく必要があるのです。

結果として、
実際に手を付けることが出来ることは限られてきます。
その中で重要視されるのが、結局
「強み」
ということになります。

ドラッカーもその重要性をいろんな書籍で語っている通り、
企業は大きかろうが小さかろうが、すべて、
その強みでもって勝負し、
強みの部分でこそ成果をあげることができます。

弱みは他社に劣る部分ですから、
決してここから成果が生まれることはありません。

だからこそ、基本は、
「自社の強みでもって、現状の機会を最大限に活かすため、何が出来るのか」
というのが、最大のテーマになってきますし、
事業計画もこれを基軸に考えていくことになるのです。

弱みのリスクを判断する。

それでは弱みは特に考える必要がないのかというと
決してそんなことはありません。

事業が本当に強みだけで勝負できるのであれば、
考えるだけで気が滅入ってくるような自社の弱みを
徹底的に洗い出すようなことを
わざわざすることはありませんし、
SWOT分析にWの要素が不要ということになりますから。

ここで弱みを考える意味は大きく分けて2つあると思っています。
それは、
1.やらないことを決めること
そして、
2.最悪の事態には備えること
この2点です。

1.やらないことをきめること

先ほどお話しした通り、
小零細企業ほど、経営資源が乏しいことから、
あれやこれや、いろんなことに手を出すことはできません。

しかし、事業経営を行っていると、
いろんな情報が目の前を通り過ぎて、
非常に魅力的な機会が目の前を通り過ぎたとき、
思わずそれに飛びついてしまったりします。

もしそれが自社の弱みに関わるものであるならば、
例えそれが本当に極めて魅力的なものであったとしても、
それをカタチにするのはとても時間がかかりますし、
弱みは所詮弱みですから、
他社との競争に勝てない可能性が高いのです。

したがってこういったものは、
基本的に手を付けないことが正解です。

ですから経営計画などで、
「これを行う」ということを決めることも大切ですが、
それと同じように、
「うちの会社は、これはやらない!」
ときっちり定めておくことが大切なのです。

弱みを明確にしておくことで、それをなぜやらないか、ということを
ロジカルに説明することができるのです。

そして捨てるものはハッキリと、捨てる勇気を持つ。
これに限ります。

2.最悪の事態には備えること

どれだけ弱みは放置しておくといっても、
それが自社にとってどの程度影響のあるものか、
ということは考えておかなければなりません。

今の外部環境の中で、
この弱みを抱えていることは決定的なリスクとなってしまう!
ということであれば、
それは企業存続の観点から、
明確に準備をしておかなければなりません。

例えば私の業界(税理士業界)で考えるならば、
「近い将来、税務と会計はAIにほぼ完全に置き換わる」
という脅威と
「うちの事務所は、基本税務と会計業務の能力しかない」
という弱みがあって、
この外部環境が本当に実現するということであれば、
間違いなく近い将来、仕事はなくなってしまう、ということです。

それじゃあそのリスクを回避するための手段を、
今のうちに講じておく必要がありますよね、と
こういうことです。

リスクマネジメントの基本は「最悪を想定すること」です。
そのリスクから目をそらさないためにも、
弱みの分析もしっかりと行っておきましょう。

強みでもって弱みを無力化する

前項で述べたとおり、弱み分析の役割は、
「何を捨てるか」「いかに危機回避するか」
の二点です。

ですからやはり原則は、いかに強みで戦うか、
ということになります。

どんな会社にも、どんな事業にも、
必ず弱みは存在します。

「うちには弱みなんてないよ」
というのは、単なる自信過剰ですので、きをつけてください。
まぁそんな人はいないでしょうがw。

逆に、
「うちには弱みだらけ」と弱みの部分ばかり気になるかたの方が
遙かに多いだろうと思います。

しかし前述のとおり、
企業の成果は強みからこそ生まれるものであって、
弱みの中からは決して生まれません。

ですから、放置しておいてまずいことになってしまう弱み以外のことは
一切気にしないようにすることが大切です。
放置しておいても問題にならないわけですから。

むしろそのエネルギーを、自社の強みに振り分けて、
自社の強みを高めていく。

自社の強みを活かした商品・サービスを徹底的に磨いて、
その価値が正しく届くターゲットに対してアプローチをしていくことで、
強みの中からちゃんと成果をあげることができるようになれば、
その瞬間、その会社の弱みは、
本当に、どーでもいいものになるのです。

強みだけで勝負して、
それだけでちゃんと利益が出る仕組みが整っているわけですから、
この時点で、
「強みでもって弱みが無力化した」
と考えてよいのです。

これがマネジメントの大きな大きな役割です。
経営者の大切な仕事です。

ぜひ、徹底的に強みの部分で独自性を磨き上げて、とんがって、
自社の弱みの存在を無意味なものとしてしまい、
「そんなものは、最初からなかったよ」
くらいのものにしていただけたらと思います。

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