桜よりも、常緑樹のような経営を。

桜が満開の季節です。
次の土曜日、お花見BBQを予定していますが、
桜の花がまだ散っていないか心配ですw。

今日は、桜を愛でながら経営について考えたことについて。

となりの実家の庭からの景色。桜は自分の庭にあるより、借景がよい。

桜のような経営

桜の木は特徴として、
瞬間的にパッと咲いてすぐに散ってしまいます。
そして木自体はそれほど頑丈ではなく、
病気にも弱く、
寿命も短い(ソメイヨシノで60年~70年くらい)。

桜はこのようにいろいろ欠点があるわけですが、
逆に、儚いからこそ美しい、とも言えます。

でもこれを経営に置き換えたときに、
こんな会社、いやですよね。

一時メディアなどに急激に取り上げられて、
瞬間的に売上が大爆発する会社があります。
これをきっかけに成長する会社もありますが、
大半はその後はすっかり元通りに。

会社の組織は脆弱でトラブルが多く、
何度も瞬間的に売上が爆発することがあってもその都度成長しているわけでもなく、
気が付けば社員がどんどんやめていって、
会社はどんどん脆弱に(もしくは最初から脆弱なまま)。

最終的には経営者の思惑とは別に、
経営者の引退と共に消えていく。
引退まで持てばいいですが、それまでに倒産してしまうことも。

満開の桜を見上げながら、
「実際に、あるなぁ、こんな会社、
 でもこんな会社になっちゃダメだな」
と思いました。

ヒノキのような経営を目指す

これに対して、本来は
常緑樹のような経営を目指すべきだろうな、と考えます。

常緑樹にもいろいろありますが、理想はヒノキでしょうか。

確かに地味です。
風媒花ですから、花は咲いても咲いてるかどうかわかりませんし、
常緑樹ですから秋になっても紅葉もしません。

ただじっと根をはり、少しずつ成長していく。
しかし成長速度が遅い分、強くたくましい。
そして寿命も長い。

まさにこのヒノキのような会社も、あります。

地味だからこそ目立ちませんし、
売上を爆発させることもありませんから、急激な成長もありません。
そもそも成長の基準を、売上金額に置いていません。
しかしその分、じっくりと
社内の組織や商品力を磨き上げ、
少しずつ少しずつ、着実に成長していきます。

そしてこんな会社は中で働いている人も、
中身の充実が見て取れますから、
とても安心感をもって勤務することができます。

もちろんとても寿命が長い。

このように急成長を目指さず、
毎年年輪を重ねるように少しずつ少しずつ成長していく経営を、
伊那食品工業の塚越寛氏は
「年輪経営」
と名付けました。

伊那食品工業は年輪を重ねて、
現在とても大きな会社に成長しましたが、
会社としての規模は現在とそれほど変わらないとしても、
毎年着実に成長し充実する
ヒノキのような経営を目指したいものです。

花を咲かせるにも、備えが整ってから

ただそうは言っても、
「敢えてひと華!」
というのも重要です。
そのための発信力というのは、欠かせません。
やはり会社のステージをグッと押し上げてくれますから。

ただそうやって得られたチャンスをその後正しく活かせるかどうか、
ということが問題です。

前述のとおり、瞬間的に爆発するだけですぐにしぼんでしまい、
一向に成長しない会社が多いのが現実です。
こんな会社は瞬間的な売上増加に耐えられず、
いざ受注増になった瞬間に欠品だらけ、クレームだらけ。

そして商品の品質も実はイマイチなのでリピートにつながらない。
そんな社内環境のため、そこで働く社員達は疲弊し、やめていき、
残されたものがさらに疲弊する悪循環。
新入社員の定着率も低いため、社員全体の能力も一向に高まりません。

要は備えが整っていないのです。

華はあっても中身は弱い、ソメイヨシノのような状態。

ですから花を咲かせるにしても、
まずはそこに向けての中身の充実が大切です。

最初に、商品・サービスの品質。
咲かせた花の華やかさに見合うだけの本物の商品を磨き上げておきましょう。
ここに落差があると、どれだけ瞬間的に多くのお客さんが商品を購入くださっても、
二度と買ってもらえることはありません。
逆に、アンチファンを増殖させているだけの結果となります。

そして次に瞬間的な売上にも対応できる体制。
もちろん、売上が急増しても欠品をおこさない生産体制が理想です。
しかし爆発の規模によっては
ある程度の欠品は覚悟しなければなりません。
このときに適切な顧客対応ができる社内体制の整備ができているか、
ということがとても大切なのです。
これが整っていない状態で爆発させると、
これまたアンチファンの増殖という結果に陥るのです。

派手な花を咲かせるにも、
まずは地味に根を張り、幹を太くすることです。
その後に枝を伸ばし、葉を茂らせ、
それから花を咲かせましょう。

ここまでくればムリをしなくとも、
自然と大輪の花がさくこともあります。
同じ華やかな花が咲くにしても、
むしろその方が自然な形なのかな、と思います。

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