世の中あらゆるもの、
「これで完成だ」
「達成した」
と思った瞬間から、陳腐化していきます。
商品は世の中に出した瞬間から陳腐化する。
これまで世の中になかった商品や、新しい切り口の商品を開発し、販売したとします。
それがどれほど新しいものであったとしても、
それが世の中に出た瞬間、それは既知のものになりますから、
そこからその商品は、
基本的に徐々にその新鮮さが衰えていきます。
発表して間もない商品やサービスに対して
「陳腐化」という言葉はあまりしっくりこないわけですが、
「じゃあ、どこからいつから陳腐化が始まったの?」
と問われると、その始まった起点というのは、
間違いなくそれが販売されたときです。
商品やサービスの発表に向けて、商品開発を繰り返してきて、
それが発表したその時から「陳腐化」といわれると
なんだかなぁ、と思われるかもしれませんが、
それが現実なんだという認識と覚悟が必要だ、
という風に考えています。
その商品を気に入った顧客は、また同じ商品を同じように購入し、
同じように満足してくれるかもしれません。
しかし間違いなく
一回目より二回目、二回目より三回目と、
その感動は薄れていきますし、
いつか飽きられる日が来ます。
新しい商品やサービスを提供し、
それに対する目標が達成されたときは、
それは目標達成をお祝いすべき時でもありますが、
その事業の定義を見直すべき時でもあるのです。
提供側の熱量が落ちる
飽きが来るのは、何も顧客側だけのことではありません。
同じものを同じように作り続けることや、
同じサービスを同じように提供し続けることで、
その提供側にも間違いなく、飽きが来ます。
私だってそうです。
私が講師をつとめて、それなりに評価の高いセミナーがありました。
しかし、同じように同じ内容で何度もやっているうちに、
徐々に自分が飽きてきているのがわかります。
聞く側は毎回違いますから、そちら側は新鮮なのかもしれませんが。
しかし提供側が飽きてくると、
自然と熱量が下がってきます。
良くないことですが、ある程度は仕方のないことです。
そしてそうやって熱量が下がっているということは、
ちゃんと聞いている側に伝わります。
同じネタをあちこちでしゃべっている講演者の話しを聞いていて、わかります。
「あ、この人飽きてきてるわ」と(笑)。
だから商品でもサービスでも、
同じものを漫然と提供していると、
それは自身の飽き=商品力の低下を招いてしまうので、注意が必要です。
だから工夫する
そういった、提供する側・受ける側双方の感じる「陳腐化」に対して、
無抵抗でいていいはずはないですよね。
ですから、何がしかの工夫を施す必要があります。
ある一つの商品が飽きられてきて売上が落ちてきたときに、
替わりに新しい商品を開発しなければ!
と考えます。
もちろん常に新しいものを市場に投入することを考えることは大切ですが、
まずは今ある商品サービスのマイナーチェンジを行うことが大事だと思います。
特にロングセラーの商品などは、そのまま陳腐化させて消えゆくのは勿体ない。
コンセプトと基本的な部分はそのままに、
商品自体をちょっと変えたり、その売り方を変えたり、
新しい要素を付け加えたりすることで、
その商品は陳腐化によって下降した分を補うことができます。
自身の熱量もそうです。
少しそこに新しい取り組みを入れ込むことで、
これまでと違った仕事になりますから、
少し新鮮な気持ちに戻れます。
私もセミナーで同じ内容のことを話すとき、
前回の資料を引っ張り出してくると
二回目の時点ですでに「おもろない」と感じてしまうので、
何かちょっと触ります。
同じ事を同じようにする方が効率的ではあるわけですが、
熱量が低下することによるサービス低下の方がイヤですから、
必ずマイナーチェンジはするようにしています。
自社の商品やビジネスモデルは常に陳腐化してるんだ、
そして自分も社員も飽きていくんだ。
そんな前提でもって、サボらず常に商品をマイナーチェンジしていくことに
意識を向けていきたいものです。