支払手形は、白い粉。

最近、支払手形はあまりみないようになったように思います。
それでもまだ世の中にたくさんはびこっています。
今日は、そんな支払手形の恐怖と対策について。

これは塩です。怪しい粉ではありません。

支払手形とは。

今さら説明することもないかもしれませんが、一応簡単にだけ解説しておきます。

手形には、「為替手形」と「約束手形」の二種類があります。
小零細企業間では、ほとんどが約束手形だとおもいますので、
ここでは約束手形を前提にお話しします。

約束手形とは、代金決済方法の一種です。
将来の一定の時期にお金を支払うことを約束して、会社が発行する有価証券です。
通常、請求が来たらそれに対して現金で支払ったり振り込んだりするのですが、
それに替えて、支払い側がこの約束手形を発行して受け取り側に渡すことで代金を支払う。
これが支払手形です。
逆にこれを受け取った側では「受取手形」と呼びます。

支払手形には必ず支払期日が記入してあり、
その期日がきたら手形を受け取った人は、これを金融機関に持ち込むと、
現金に換金してくれます。
これが支払手形(受取手形)の仕組みです。

受け取る方はめちゃ迷惑

この支払手形、支払う方はキャッシュの支出が期日まで先送りされるので
資金繰りが楽になるのですが、
これを受け取った側は、逆に非常に迷惑です。

通常の事業者間の継続取引の場合、都度支払いではなく、
一定の締め日というのが定まっていることが多いかと思います。
20日なら20日、末日なら末日など決まっていて、
その時にまとめて請求書を発行していますよね。

そしてその請求書を受け取った側は、これまたそれぞれの社内の決まりで
当月末日とか、翌月10日とか、決まった日に支払いをするのですが、
これが「翌月末日」とかになっていると、その時点で
入金は請求から最低でも1ヶ月後となります。

そしてそのときに、例えば3か月先の期日が書かれた支払手形を受け取ると、
そこからさらに3か月先にしか現金化されません。
これが6か月後期日の手形だったりすると、
請求から7か月たたないと現金にならないのです。
受け取り側としてはたまったもんじゃないですよね。

支払う側の資金繰りが厳しい場合もありますが、
取引先との力関係で受け取らざるを得ないことも多いので、
結構大企業の発行する手形を目にすることが多いのです。
こういったものを見るたびに、
「元々資金繰りの厳しい小零細企業をいじめるな!」
と吠えてしまいそうになります。

支払い側にとっては、恐怖の白い粉

それでは次に支払う側について。

支払う側はそれだけキャッシュが出ていくのが先送りされますから、
結果として資金繰りはよくなります。
手形が誕生した目的は資金繰りのためではないのですが、
今となっては、資金繰り目的のためだけに使用されています。

しかし、支払手形は恐ろしいものです。

ここで考えるのは、
「会社というのは、どうなったら倒産するのでしょう」
ということです。
赤字になったら、でしょうか?
違いますよね。
赤字になったって、経営者本人が大資産家であったり、
強力なスポンサーがいて止めどなくお金が湧いてくるのであれば、
その会社が倒産することはありません。
会社は
「お金がなくなったとき」
倒産するのです。
ですからなかなか会社というのはつぶれません。

しかし、会社を瞬殺に導くものがあります。
それが支払手形。

支払手形は、それを受け取った人がその期日後に
銀行にもっていったときに換金されますが、
そのときにその支払手形を発行した先の預金残高が不足していると
当然のように換金できません。
これを「不渡り」と呼びます。

そしてこの「不渡り」が6か月以内に二回発生すると、
その瞬間、金融機関との取引が全てできなくなります。
通常一回発生したら二回目はすぐに発生してしまいますから、
その時点ですべての取引停止。
そうなると、事業をやっていけなくなりますので、
事実上の倒産、ということになります。

支払手形は容易に支払いを先送りできるものですが、
一度始めてしまうと、それを前提とした経営・資金繰りになってしまいますから、
そこから脱却することができなくなります。
それどころか、容易にできてしまうだけに、
気のゆるみと共にその残高はどんどんと膨れ上がり、
より深刻な状態に陥ります。

ですから支払手形は麻薬と同じ。
一度手を染めてしまうと依存して抜け出せなくなり、
徐々に締め付けられていって、
あるとき心臓発作のように即死してしまうのです。

支払手形は絶対に切らないようにしましょう。
そして今、支払手形を発行している会社は、
それを減らしていく努力をしましょう。

支払手形を減らすために。

すでに金融機関から
「もうこれ以上貸し出せない」
という状態になってしまっているようでしたら、それはなかなか難しいですが、
そうでないのであれば、
金融機関から運転資金を調達して支払手形の発行をストップしましょう。

急にすべての手形をゼロにすることが困難であるならば、
少しずつ計画的に減らしていくようにします。
顧問税理士と一緒に資金繰り表をつくったり、
貸借対照表計画を立てることで、
どのようにすれば手形を減らしていくようにできるかという道筋が
見えてくると思います。

たまに
「支払手形は金利がかからないから」
などとおっしゃる方もおられます。
しかし、支払手形で支払うことは、
その金利負担を相手にさせている状態ですから、
手形支払いを現金支払いに変更することで、
一定の値引き交渉に応えてくれることも多いものです。
こう考えると、その代金の中に金利分が含まれているみたいなものなのです。
決して得しているわけでもなんでもありません。

支払手形は、白い粉。
または、食べたら最初は甘いがその後死んでしまう、毒まんじゅうです。
これを長期借入金に組み替えることができれば、
流動比率もあがって貸借対照表(財産状態)の評価もあがります。

今日から、いますぐに、
支払手形からの脱却を図りましょう。

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