問題を生み出す大ボスを退治する。

事業経営を行っていると、
日々問題が発生し続けるわけですが、
問題はその根幹を叩かないと、本質的解決にはなりません。

その問題はあくまでザコ(表層)

私はコンサルタントとして、
小零細企業経営者の抱えるいろんな問題に対して
一緒に解決を図ろうとしているわけですが、
経営者の話しを聞いてみたときに、
その経営者が日々取り組んでいる問題解決が、
最終的に表面に現れている、単なる表層の問題を
叩き続けているだけ、という事例をよく見かけます。

RPG(ロールプレイングゲーム)で、ザコを倒し続けて
クリアすることはありません。
そのザコを生み出し続けている中ボスがいるなら、
その中ボスを叩く必要がありますし、
最終的に大ボスを倒さないことには、
そのゲーム内世界に平和は訪れないのです。

これは会社内の問題でも同じこと。
次々と現れるザコ問題を日々解決し続けても、
そのザコ問題を発生させている中ボスを退治しないと
永遠にザコ問題は発生し続けますし、
その中ボスを操る大ボスがそこにあるのであれば、
この大ボスを消滅させない限り、
根本的な問題解決に至ることは決してないのです。

ですから問題が発生したときには、
「その問題の本質は何か」
ということを見極める必要があるのです。

定番の、「なぜ?5回」

この「問題の本質」を見極めるためには、
よく言われる
「なぜ、を5回問うてみる」
ということが必要です。

問題が発生したときに、
「その問題が発生したのはなぜだろう?」
と5回繰り返して自分に問いかけてみるのです。

この「5回」というのは基本的に「最大5回」であって、
場合によっては2回くらいの問いかけで、
問題の本質に辿り着く場合も当然あります。
それがどのような問題であったとしても
5回も辿ればその本質に到達することができる、
ということですね。
「友達の友達を6人辿れば、どんな有名人にも会える」
(これを「六次の隔たり」というらしい)みたいな話しです。

そうして問題の大ボスを探り当て、
そこに到達したら、その解決に徹底的に着手する。
問題解決の本質はここにあります。

例えば、売上と利益。

利益をあげようと、働けど働けど
一向に利益の出ない会社があるとします。
そしてこんな会社ほど、利益が出なくてヤバいので、
なんとか利益を出そうと、さらに働いて、
どんどん忙しくなって、会社全体が疲弊していってるのに
全然利益がでない。
そんな状態に陥っていませんか?

こんな会社は、
「利益をあげるために、なんとか仕事を取って来る」
というのが本質的な問題ではありません。
まさにザコをひたすら倒しまくっている状態です。

売上をいくらあげても利益が出ないのであれば、
それはその商品・サービス自体の利益率が低く、
極めて非効率になってしまっているのが原因。

安くて儲からない仕事をいくら続けても、
儲かる日は永遠に訪れません。
なんとか商品に付加価値をつけ、
その付加価値に見合う価格設定をした商品へとシフトしていくことが
求められます。

もちろんこれが必ずしも大ボスとは限りませんが。

例えば、人事

新しい人が入ってはやめ、入ってはやめる。
そんな会社、結構ありますよね。
そんな会社は常に人材不足に陥っていますから、
常に求人を続け、新しい社員を補充し続けています。

しかし、「なぜ、新しい人がやめるのか」の本質的原因を探らないと、
この無限ループから脱出することはありません。

例えばそれが、新入社員の配属される現場の管理職によるパワハラなのであれば、
その管理職がどれほど優秀な人材であるとしても、
その人を何とかしないことには、どうにもなりません。

「その管理職がいないと仕事がまわらないから」
という理由でその問題から目を逸らして放置し続けても、
何ら根本的解決にはいたりませんから、
組織の平和は永遠に訪れないのです。

時にはザコと中ボスの相手も大事

しかし、問題の本質に辿り着いたとしても、
その解決のためには多くの場合、
大きな労力を要しますし、
長い時間がかかりますし、
会社内のハレーションも大きかったりします。

大ボスは、手ごわいからこそ大ボスなのです。

先ほどの人事の例で、
パワハラ管理職の存在が中ボスで、
そんな管理職を生み出してしまう会社のあり方そのものが
大ボスであるとします。
大ボスを退治しようとするならば、
人としての性質よりも仕事の能力だけで評価され登用される、
そんな仕組みに問題がありますから、
その解決のためには、人を定性的に判断する
会社としての基準を定める必要があります。
そしてその基準にしたがって社員を評価し、
登用していくということが求められます。

しかしこれを即導入するとどうなるかというと、
まずパワハラ管理職の反乱が考えられます。
そしてその人とその人の息のかかった人が一斉に退職して
仕事がままならなくなる、という可能性もあります。

長い目で見てそれが良い方向へとつながることもありますが、
この瞬間、会社の屋台骨がゆらぎ、
どうしようもなくなることもあり得ます。

会社の存亡に関わるリスクが生まれるのであれば、
それが例え正義だとしても、
いきなり大ボスに切り込むのは良くないですよね。

ですから、時にはザコと中ボスを倒し続ける必要もあります。
そうして時間を稼ぎながら、
大ボスを退治する地ならしをしていって、
最終的に大ボスを倒すことができれば、大成功です。

目の前に現れる問題は、ほとんどがザコ。
まずはその本質をつかみ、
その解決のためのロードマップを引きましょう。

その結果として最後の大ボスを見事打倒し、
平和(=会社の成長)を一つずつ手に入れていただければと思います。

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