価値とは絶対的なものではなく相対的なもの。

価値とは当然のことながら絶対的なものではありません。
商品戦略と価格設定を考える場合には、
これを正しく理解しておく必要があります。

価値とは何か

価値とは、いったいなんでしょう?

ざっくり言うと、
「その人にとって、『よい』と感じるもの」です。

それは、物質的な『よい』かもしれませんし、
体感・体験的な『よい』かもしれません。
はたまた、感覚的・感情的な『よい』かもしれません。

このようにその人にプラスの影響を与えるもの。
これが「価値」です。

しかし人が『よい』と感じるものは
プラスのものに限りません。
その人が抱えている「マイナス」をゼロにする、
またはこれを緩和するものも、
その人にとっては『よい』ものです。

いわゆる、「負」の解消ですね。

この「負」にもいろんなものがあります。

時間がかかる、
手間がかかる、
面倒である、
精神的プレッシャー
など。

これらが取り除かれたり、緩和することは、
その人にとっては十分に価値があることなのです。

このように「価値」には様々な側面があります。

だからこそ物事の「価値」は、
人それぞれに捉え方が異なります。

例えば私は、美少女フィギュアには全く興味がありません。
だからそれが、どれほど価値があるものかと言われても、
全く欲しいと思いませんし、
「これは持っているだけで価値があがるから、ぜひ買っておくといいよ」
とまで言われたとしても、
よくわからない世界なので、
それでもやはり欲しいとは思いません。

しかしそこに興味ある人にとっては、
何万、何百万という価値のあるものであったりするのです。

ですから当然のことですが、
ものやサービスの有する価値は、
絶対的なものではありません。

その人その人がどう感じるか。
そんな極めて曖昧な、
相対的なものなのです。

ターゲットが決まっていなければ

ですから私の会社を含めて、
それぞれの事業で提供している商品やサービスの持っている価値というものは、
本来的に極めて曖昧なものなのです。

しかし私たちは、
その「価値」というものを
明確にさせる必要があります。

なぜなら、それを販売しているわけですから。

そして価値が相対的なものであるというところに立脚するならば、
その「価値」を届ける相手、
つまりターゲットを定める必要があるということになります。

相対的なものなわけですから、
その提供している商品が
等しくすべての人に価値あるものとして
伝わるものではないからです。

自社がいくら
「これは価値あるもの」
といったところで、
相手がそれを価値と感じなければ、
購入されることはありません。

商品からスタートするのではなく、
原則としてはやはり「ターゲット」スタート。

まずはどんな人に届けたいのかということを明確にし、
そのターゲットが
「これは価値あり」
と感じるものにするべく
商品価値を磨いていく、ということが大切です。

まずは、ターゲットにどのような価値を届けるのか。
これを明確にしましょう。

その商品・サービスを届けることで、
ターゲットに
どのような気持ちになってもらうのか、
どんな喜びを感じてもらうのか、
またはどんな負が解消されるのか。
そしてそれによって
どんな気分になってもらいたいのか。

これを定めたうえで商品価値を磨いていかないと、
ターゲットに響かない、
ブレブレな商品開発となってしまうのです。

価格は原価で決まらない

それでは「価格」とは
どのようにして決まっていくものでしょう?

まずは消費者が求める価値。
そして、
その価値を満たすだけの商品。
その「求める価値」と「商品の持つ価値」の接点で
「価格」は決まります。

もう少しわかりやすく言うと、
消費者の求める「価値」が非常に高いものであって、
かつその価値を十分に満たしてくれることが期待される
クオリティの商品・サービスであれば、
その商品・サービスは
その消費者の求める価値に相応する価格で売れる、
ということです。

先ほどから何度もお話ししている通り、
「価値」とは相対的なものです。
その商品・サービスに対してどれだけの価値があるかということは
人それぞれなわけですから、
価格が原価で決まるものではない、
ということはご理解いただけるかと思います。

ですからそもそも商品の値段を
「原価がこれくらいかかっているから・・」
というところから逆算して計算しても
それは会社側の勝手な都合であって、
そんな値段では売れないかもしれませんし、
人によってはそれは安すぎるかもしれないのです。

そしてその価値が
多くの人に認められるものになるようにしようとするならば、
多くの人の「最小公倍数」を目指した商品になりますから、
特定の人の高い理想を満たす商品にはなりえません。

つまりターゲットを広く広くとればとるほど、
商品としての角は取れていき、
その商品の持つ価値自体は下がっていくのです。

これが「大量生産大量消費型」の商品です。

しかし小零細企業はそんな土俵で戦ってはいけません。
ボリューム勝負の事業は資本力がものをいいますから。

少しのものしか作れない、提供できないのであれば、
それらにどのように高い価値を持たせて、
これを求める人にいかに届けるか、
それを徹底して考えていく必要があるのです。

先ほどの「最小公倍数」の逆で、
消費者の求める「価値」が特異なものであればあるほど、
その価値を価値と認める消費者にとっては
価値の高いものとなります。
つまり、高価格で買っていただける商品となりえます。

ぜひ、
まずはターゲットを具体的に定め、
そのターゲットにどんな価値を届けたいのかを明確にし、
そのターゲットが求める価値を満たす商品を作り上げるべく、
商品を磨き上げていきましょう。

そのうえで、その商品の価値がちゃんとターゲットのもとに届くよう、しっかりと発信していく。
ここまで含めて、ワンセット。

このワンセットを実行していくことで
原価に振り回されない「高価格」を実現することができるのです。

タイトルとURLをコピーしました