スターバックスに学ぶ、「時間×空間」。

ブログを書いたり、何かアイデアを考えたりするようなクリエイティブな仕事は、
事務所や自宅でない方が大幅にはかどります。
少なくとも今の私は。
そして最近よく、スターバックスを利用します。
そんなスタバから感じ取れる「空間と時間」について。

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「店内でお召し上がりですか?」ではない。

マクド(あえて関西人らしくこの表現で)などでは、商品を頼んだときに、
「お持ち帰りですか?店内でお召し上がりですか?」
といったような訊かれ方をします。

テイクアウトと店内とどちらか選択できるお店では、
マクドに限らずだいたいこんな感じだろうと思います。
しかしスタバでは、
「店内でごゆっくりされますか?」とか
「店内で過ごされますでしょうか?」
といったように訊ねられます。

顧客側はほとんど普通にスルーしてしまっていると思いますが、
これは微妙な違いのようでいて、
実はとても大きな違いです。

スターバックスは、くつろぐ場所。

つまりスタバは、店舗内をただ単に
「コーヒーを飲む場所」
と考えているのではなく、
「コーヒーを飲みながら、お客様にゆっくりとくつろいでいただく場所」
という風に定義しているのだろうと推察されます。

以前(いつの頃か忘れましたが)スタバを訪れたときには
こんな表現をしていなかったと思うので、
どこからかのタイミングで変更したのだと思います(私の思い違いでしたらすいません)。

ここに、
「自社の定義とするだけでなく、ちゃんとそれをお客さんに伝えていこう」
という意思を感じます。

「店内でお召し上がりですか?」
という言葉をなげかけられることを通常こちらは想定していますから、
ちょっと違和感を感じてしまうのですが、
その違和感があるとしてもお客さんに、
「ここはお客様にゆっくりしていただく場所ですよ」
ということを伝えたいのだろうと、思いました。

商品を提供する、時間と空間。

人は「商品」に「価値」を見出して、
その価値に見合う対価を支払って、その商品を購入します。
価格がその商品の価値に見合っていないと判断すると、購入しません。

これ自体は当然のことなのですが、大切なのは、
顧客が購入しているのは「価値」だということです。

そしてその価値を構成しているのは、
商品の品質そのものだけではありません。
商品の「届け方」も商品の価値を構成する、極めて大きな要素です。

その「届け方」とはつまり、
「時間×空間」です。

その商品を提供する場所は、どんな場所なのか。
その場所でどのような時間を過ごすことができるのか。

これらが商品を通して提供する価値の一部となり、
価値の一部であるということは、それが価格を構成する一部になり得る、
ということです。

スタバに来ると、私は基本的には毎回「ソイラテ」を注文します
(たまに意識的にイレギュラーもありますが)。
ソイラテはショートでも税込み415円。
決して安くはありません。

コーヒーを飲む、ということだけでしたら、
ファミレスに行けばそれよりも安い価格でドリンクバーでいくらでも飲めますし、
もっと言うと、うちの事務所はカフェに近いレベルの
美味しいコーヒーが飲める環境が整っていますから、
美味しいコーヒーが飲みたいだけであれば、
事務所にいれば原価数十円で飲めるのです。

それでもなぜわざわざスタバにくるのか。
それは、仕事がはかどるからに他なりません。

落ち着いた広々とした室内空間。
顔をあげたときの外の景色。
仕事の邪魔にならない音楽(むしろクリエイティブには適度な雑音が必要)。

このゆったりとした豊かな空間に身を置くからこそ、
クリエイティブな仕事がはかどるのだろうと思います。
実際ブログを書くとなると、
スタバへの行きかえりの時間を含めても、
書き上げる時間が1時間近く短縮されるという威力。
415円はまったく高くないわけです。

「時間×空間」を意識しましょう

お客様に対してわざわざ
「ここは、ゆったりと過ごしていただく場所ですよ」
という自らの価値を伝えてくるスタバ。
流石によくわかっています。上から目線ですが(笑)。

みなさんもぜひ自社の「時間と空間」ということを
意識してみてください。

ゆったりできる空間が正義だと言っているのではありません。
顧客に価値を提供するにあたって、
その空間と時間は果たして適切に作られていますか?
ということです。

牛丼屋は誰も豊かな時間を求めて訪れませんから、
その作りがすべて、
「短い時間で済ませるように」という意図で満ち溢れています。
そこに、牛丼屋の「時間×空間」の価値があるのです。

時間と空間を通して、
どのようにすれば、お客様にさらなる価値を届けることができるのか。
それが正しく伝われば、今よりも販売価格が上がったとしても、
分かる人には受け入れていただけると思うのです。

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