経営者の大切な仕事、「仕組み化」

以前ご紹介した「経営者の6つの仕事」、このうちの「仕組み化」、案外小零細企業で大きく欠落していることが多いです。

事務所から歩いて行けるFar。店の前には、看板スあない。

起きている問題の多くは仕組みの問題

いま、皆さんの会社の中で起こっている問題について考えてみてください。
どんな問題が直近で発生したでしょうか?

お客様からのクレーム?
商品の欠品?
製造上のミス?
重要な報告の漏れ?
その他もろもろ、いろんな問題が、
日常的に発生していると思います。

経営をしている以上それが当たり前ですし、
問題が目にとまらないというのは、
本当にすごい会社か、
経営者が問題を発見できていないかどちらかです。
そしてそのほとんどが後者です。

このような数々の問題、これらは多くの場合、
「仕組み」の欠落が原因です。

上記のような問題が発生したときによくあるのが、
それをその問題を起こした個人の責に帰することです。
しかし、原則、問題を個人に帰属させてはいけません。

確かに、その個人のスキルや能力の問題で、
そんなことになってしまったのかもしれません。

しかしそれを
「今度から気をつけろよ!」
では、おそらく次もまた同じことが起きるでしょうし、
本人の能力問題でない場合には、
別の人が同じ問題を起こす可能性があります。

ですから、会社を成長させる方向の考え方は、
問題が発生したときそれを、
会社の「仕組み」の問題とすることです。

そのような問題が次起こらないようにするためには、
社内にどのような仕組みを整備すればいいのか。
いわばマニュアルのようなものです。

これを誰もがわかりやすく使える状態にしていくことで、
同じ問題が起こりにくくなりますし、
社員の能力に依存することも少なくなります。

勝手に動くように、作り上げる。

また仕組みは、前述のような
業務の「平準化」「標準化」ということでもありますが、
一方では、経営者ないし上司の判断業務を減らすということが目的でもあります。

一つ仕事が発生する都度、部下から判断を仰がれたり、質問があったりしたら、
上司は大変ですよね。
いつまでたっても仕事は減っていきません。

リーダーとしては「頼むからオレに判断させないでくれ」というのが本音ですし、
権限移譲の結果そのような状態になっていくことが理想です。
ですから、リーダーが方向性を定めたら、あとは勝手に動いていくようにする。
これが「仕組みを整える」ということです。

経営者や、リーダーたる地位にいる人が、
いつまでも抱えてしまっている仕事、ありませんか?
それは本当に経営者やリーダーが抱えなければいけない仕事でしょうか?
そうでないなら、どのような仕組みを作れば自分の手を離れて、
勝手に動き出すようにできるのでしょう?

その視点で考えて、どんどん仕組み化し、
権限移譲していきましょう。

もちろんこれは、部下の仕事量を考えたうえで、実行してくださいね。

細かすぎると本末転倒

仕組み化は、「マニュアル化」でもあります。
どんなことが起きたときに、
どこのポイントで何に気を付けて、
どのような手順で業務を進行していくのか、
ということです。

しかし、この「仕組み化」を進めていくときに
一つとても大切なことがあります。
それは、
仕組みを「先鋭化」させないこと
です。

仕組みやマニュアルは、
細かく作ろうと思えば、いくらでも細かくすることができます。
しかも一つ新しいルールが増えると、
それを管理するために一つ新しい書面が生まれたりします。

すると日常業務が
「間違いが起きないための書面を作成する仕事」
となっていきます。
本来の目的から離れてしまった、悪い意味の
「お役所仕事」
です。

その仕組みは、誰のためのものなのでしょう?
何を目的とするものだったのでしょう?

それは、
「業務を間違いなく円滑に効率よく進めるためのもの」
であったはずです。
顧客のためにならない仕組みは不要ですし、
顧客のためになるとしても、
その費用対効果があまりに合わないものは不要です。

自己満足のためのマニュアルは、
誰のためにもならないのです。

そんな仕組みを作らないコツは、
仕組みを3段階くらいにとどめることです。
①ああやって、
②そうやって、
③こうやったらOK。
このくらいのものです。

そしてこの三段階のそれぞれが何のために存在し、どういう状態になったらOKなのか。
それぞれの段階での注意ポイントはなにか。
それが定義されていれば十分です。

いちど、この「ああやって、そうやって、こうする」の三段階ルールに則って、
社内の最も仕組み化したいものを考えてみてください。
たったそれだけで、きっと業務がスムーズにまわりはじめることだろうと思います。

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