経営を俯瞰する③

さて、以前の記事「経営を俯瞰する②」の続きです。
前回で、その全体像は6つの大きな区分に分けれることをお伝えして、
そのうち①~③の概要をみてきました。
今回は④財務のお話しです。ちょっと財務に関しては詳しめに。

USJの「SUPER NINTENDO WORLD」を、やや俯瞰。

これまでの「経営を俯瞰する」記事
 経営を俯瞰する①
 経営を俯瞰する②

経営の中での財務の位置づけ

経営全体を俯瞰する中に、
当然「財務」というものが入ってまいります。
経営は継続するためにはお金が必要です。
無尽蔵にお金を出し続けてくれるパトロンがいれば話しは別ですが、
そんな人は絶対にいませんので、
会社は利益を出さねばなりません。

ここでは詳細は省きますが、貸借対照表から明らかな通り、
会社は利益を出さねば、決して資金的に
安定化する日は永遠に訪れませんので、
いい会社にしていきたいのであれば、
利益をだすことは絶対必要条件となってまいります。

税金を渋って利益を圧縮することは、
自社の体力を奪い作業ですので、
決してお勧めはできません。
これについてもまたこちらの記事を。

事業は、お客様に価値を提供して対価をいただき、
それによって利益を得る行為です。
そして経営はこの事業をうまく維持発展させてさせていくための
運営全体のことともいえます。
その経営の結果は、いろんなところに現れてくるわけですが、
それを一つの結果として最も客観的に表現してくれるものが、
財務です。
そして財務が良くなっていなければ、
それ以外のものがどれほど良くなっていようと、
その企業は継続することができません。

そして何をするにもやはり資金は必要ですので、
基本的には財務がよくなければ、
それ以外の部分をよくしていくことも難しくなっていきます。

そんな意味で、財務はすべてとつながっていて、
その結果を数値という状態で示してくれるものです。
そして財務がよくならなければ会社は良くなっていかない、
ということは
「いかに良い財務を作り上げるか」
という目標・計画をちゃんと定めて
それを実現しなければならないということです。

数字だからこそ。

財務は数字だからこそ、いろんなことを教えてくれます。
そして売上と経費と利益だけが財務ではありません。
これは単なる損益です(もちろんこれがめちゃ大事なわけですが)。
財産状態をしめす貸借対照表もとても大切ですから、
今、このブログで貸借対照表講座の連載中です。

数字を大切にしない人、苦手な人は、
経営を感覚でとらえていきます。
しかし人間の感覚ほどアテにならないものはありません。
勘も大切なんですけどね。
でもそれだけで経営を行うことはリスクでしかありません。
感覚でとらえているものは現実とのギャップが必ずあります。
このギャップを無視した状態で経営判断を下し続けるのは、
まずいと思いますよね。

だからこそ、財務は必要であり、
経営の詳細を数値でとらえていくことは大切なのです。
そして財務は経営全体の結果の現れですから、
経営全体のすべてとリンクしています。

マーケティングは売上・付加価値を最大化するためのものですから、
その結果は当然財務にわかりやすくあらわれます。
人事組織についても、
社員さんにどれだけの給料を支払うのか、
どんな福利厚生を充実させるのか、
どれだけの退職金が必要になるのかその他諸々、
すべて数字として表現されてきますよね。

ビジネスシナリオそのものも、当然財務とつながります。
まったく同じ業種で同じ仕事をしていたとしても、
どんな理念に基づいて経営をするかによって
まったく違う財務が作り上げられていきます。

財務は数字として一人歩きしているわけではありません。
逆に、非常に素直な形で、
現実をこれ以上ないほどに具体的な姿で、
経営者の前に突きつけてくれるのです。

どれほど尊い理念を掲げ、
どれだけ社員さんを大切にし、
どれほどお客様に支援されようと、
会社の利益が出ていないと言うことは
経営として何か間違っているということです。

そしてその状態が続くと必ず会社は疲弊し
最後には経営が成立しなくなりますので、
尊い理念も社員さん・お客様への想いも、
すべてなかったことになってしまいます。

数字ばかりにとらわれない。

以上の通り数字は経営全体とつながっており、
とても大切なものです。
しかし、数字ばかりにとらわれてしまうと
経営はまたおかしな方向へと飛んでいきます。

数字にとらわれることは「部分最適」の最たるものです。
経営の目指すべきものは、事業をとおして理念を実現することです。
そのために「経営全体を最適化」する必要があるのですが、
数字だけを追いかけることになると、
「理念も顧客も社員もカヤの外」
という経営をよくみかけます。

財務は結果を示してくれるものです。
そしてその結果に基づいて次の手を打つ必要があるわけですが、
それがただ、
「じゃあ、売上を伸ばすぞ!」と、
こんな短絡的なことではないですよね。
でも、ほんとよくみかけますよ、こういう経営者。
経営全体の中で、根本的に間違っているのはそこじゃないだろう、
ということです。

財務が良くない状態を示すことは、
その原因は多岐にわたります。
経営全体を眺めながら、どこに手をつけていくのか、
ということを考え実行せねばなりません。
そしてその実行の結果がまた、利益として集約され、
具体的な数値として現れてくるのです。

利益は目的ではありません。
あくまで手段に過ぎません。
利益が出ないことは、
経営全体のどこかのバランスが崩れている、
どこかの行動を改善しないといけない。
そのアラームであるという風に考えて頂きたいな、と想います。


「経営を俯瞰する」シリーズは次回が最終回です。
さて、次回はいつになるのでしょう(笑)
次は、「ライフプラン」、「リスクマネジメント」の
経営全体とのつながりですね。
これも大切ですよ、本当に。

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