『本物は残る、本物であれ』

今日、遅ればせながら、小学生の息子と一緒に
amazon primeで「シン・ウルトラマン」を見ました。
小学生には難しすぎる、ウルトラマンでした。

今日のタイトルは、ウルトラマン初期のウルトラマンや怪獣のデザインを手がけた、
成田亨氏の言葉です。

確かに、美しい。

初期のウルトラマンやその登場怪獣のデザインは、
今見ても本当に美しく、シンプルで、カッコイイものが多いことに驚かされます。
今でもウルトラマンは続いていますが、
私が大人になってからの怪獣デザインは
ひどくコテコテしているだけでインパクトがなかったり、
ただ単に過去のものを焼き直ししたもの・劣化Re.designというイメージがぬぐえません。

ですから当時のデザインを一手に引き受けていた成田亨氏の力量は
本当に恐るべきものと個人的に思っています。

その成田亨氏の言葉が
「本物は残る、本物であれ」

確かに、成田氏のデザインは後世に残るだけでなく、
今後おそらく上回ることのできない、「本物」です。

「シン・ウルトラマン」では、ウルトラマンのデザインは、
成田亨氏が1983年に描いた油絵「真実と正義と美の化身」が元になっているそうです。
当時の成田氏のデザインをリスペクトした形で造形された姿は、
とても美しいものに仕上がっていたと思います。

商品開発においても、かくあるべし

この「本物は残る、本物であれ」という言葉は、デザインの世界だけでなく、
商品開発や経営のあり方、人としてのあり方など、
あらゆる場面に援用されるべきものです。

特に商品開発において、この発想はとても大切です。

もちろん環境の変化に合わせて商品のあり方というものは
少しずつ変化していかなければなりません。
しかしそれは、「今」を追いかけた表面だけの薄っぺらなものを作り続ける、
ということではありません。

特にその会社の象徴となるべき商品は、
極めてシンプルで本質的なものを追求したものであるべきだろうと思いますし、
だからこそその商品は、ロングセラーとなり得るのだろうと思うのです。

商品開発をするからには、そこに明確なコンセプトを持たせて、
将来にわたって本物であり続けるものを生み出していただきたいものです。

人間どうしても目先のことに引っ張られますから、
何か注目を得ようと、奇をてらったものに走りがちです。

しかし奇をてらったものは所詮一種の「キワもの」。
一時的に売れたとしても、
長期的に会社を支えてくれるものにはなりません。

話題性という意味で、商品戦略全体の中でこのような商品も必要かもしれませんが、
あくまで「戦略の一部」としてとらえましょう。

本物の商品を作り、その商品を育てていく。
これがその会社のブランド価値を
作り上げていってくれるのだと思うのです。

だからといって完璧を目指さない。

しかしだからといって、
こだわりにこだわり抜いて100%完璧に出来上がるまで、
市場に出さないというのは、これまた違います。

私たちは経営者・事業者であって、芸術家ではありません。
まずはスピード感が大切です。

ですから、商品コンセプトとしては、本質的なものを目指し、
そのうえでスピード感をもってまずは市場に出しましょう。

もちろん市場の評価に耐えうるレベルを
充分に満たしている必要はありますよ。
しかし、何事にも100%はありえませんから、
その完成を待っていてはいつまでたっても市場投入ができません。

そして自分自身の思いでこだわり抜いたものは、
所詮自分一人の独りよがりな作品でしかないかもしれないのです。
我々が生み出すものは「商品」である以上、
それがターゲットである消費者に評価されてこそ。
ですから市場の洗礼を受けて、
消費者の目にさらされながらマイナーチェンジを繰り返し、
その商品のクオリティを高めていく、
ということが正解であると私は考えます。

奇をてらったものでない本質的な商品を、
スピード感をもって開発して市場に投入し、
消費者とともに磨き上げていく。

そうして本物ができあがったときに、
その商品は「本物」として、ロングセラーとして、
残り続けて、会社に貢献し続ける商品となるのだろうと思います。

このような会社の象徴たる商品があると、
その存在はいろんな意味で本当にありがたいです。
ぜひそんな思いで、商品・サービス開発を行っていただけたらと思います。

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