PMマトリクス分析。

今日は久しぶりに一般的かつ基本的な経営分析ツールについて。
多くの方ご存じのPMマトリクス分析です。
基本的なだけあって逆に思考の整理には重宝します。

PMマトリクス分析とは

「PMマトリクス」という表現をすると
ピンと来ない方も多いかと思いますが、
P:プロダクト(商品)
M:マーケット(市場)について
横軸に既存商品・新規商品、
縦軸に既存市場・新規市場、
と設定してマトリクスを作成する、と聞くと
「ああ、聞いたことある」という方がぐっと増えると思います。

この2×2でマトリクスを作成すると、
4つの象限ができあがります。
①左下は既存商品を既存市場に提供する象限、
②左上は既存商品を新規市場に提供する象限、
③右下は新規商品を既存市場に提供する象限、
④そして右上は、新規商品で新規市場に打って出る象限です。

さてそれでは、皆さんの会社では現在、
これのどの部分に力を入れて事業を進めていますでしょうか。
自社がどの部分にどのように力を注ぎ、
具体的にどのような手段でもってそれを実行しようとしているでしょう。

まず現状をこの4象限に書き込むことで、
今自社がおこなっているマーケ戦略を整理することができます。

次の一手を導き出す

PMマトリクスをもって現状分析をすると
ずいぶん頭の中が整理されて、
それだけでスッキリ気持ちいいわけですが、
現状分析を現状分析だけで終わらしてしまっては
意味がありません。

現状分析は、この先どのようなマーケ方針に基づいて動いていくのか。
その方針を定めて計画を立てるための前提でしかありません。

もちろん計画を立てたり目標設定をする前には
まず現状を把握して現在の立ち位置を把握することが大切です。
ですから最初に現状でPMマトリクスを作成することは意味がないことではなく、
これはこれで正しい手順です。

そしてそのうえで、それぞれの象限についての方針を示していきます。
そのときの考え方は、象限ごとに次の通り。


①既存商品を既存市場に:

既存市場に向けて既存商品を提供することは、
現在まさに行っていることです。
ですからこの象限で行うべきことは、
いかに顧客関係を深めるか、ということです。
どのような手段で優良顧客を生み出すのか、
そのための方策を考えます。

②既存商品を新規市場に

既存商品を新規市場に展開するには、
これまでにその商品を知らない対象へ
その存在を知らしめる必要があります。
いかにプロモーションを行い、商品を広く知ってもらい、
購買につなげるのか。その手段を講じます。

③新規商品を既存市場

自社にとっての新規の商品を既存顧客に提供するためには、
新規商品とはどういうものか、というところから始まります。
「新規」というものは、顧客にとって新規性があればOKですから、
大げさな新規商品の開発を考える前にまずは
既存商品のバージョンアップ・マイナーチェンジから考え、
その次に既存顧客に共通してニーズのある商品を開発する思考をもちます。
そしてこれら「新商品」を既存顧客に提供する手段を構築します。

④新規商品を新規市場に

新規商品を新規市場に、というのは、
最も難しいことであると言われています。
商品も市場もないところに飛び込むわけですから、
当然そんな理解になるだろうと思います。
ただ見方によっては、決してそうでもありません。
先ほどの「新規商品」と同じく、まずは「ちょっとズラす」のです。
例えば、提供する時間帯を変えて違ったターゲットに提供するのも、
新規商品を新規市場に投入したと考えられます。

PMマトリクスの前の、前提。

PMマトリクスは、
商品を顧客(市場)に提供するにあたっての方針とその戦略を考え、
そのためにいかに自社が変化するかということを目標とするものですので、
売り手である自分自身の視点からの考え方です。

そして商品と市場という切り口で考える以上、
「顧客と市場がどのようにになっているか」
「自社の事業領域の展開をどのように考えているのか」
という2点が定まっていることが大前提となっています。

ですから、3C分析を行ったうえで、競合・市場を分析し、
それを踏まえてどのような活動を行うのか、ということが定まっていないと
PMマトリックス分析における次なる方向性は、定まってこないのです。

また提供する商品は、ビジネスシナリオを通して、
「いま行う事業」「近い将来行う事業」として定まってくるものですので、
ビジネスシナリオで今後展開する事業領域が決まっていないと、これまた、
PMマトリクスを活用して今後の方向性を定めることはできないのです。

3C分析・ビジネスシナリオについては
このブログで過去に詳しく触れていますので、
興味のある方は上の検索窓で調べていただけたらと思います。

マーケティングにおいて重要な「次なる一手」。
年末でお忙しいとは思いますが、新年の事業が始まる前に、
ぜひこの年末年始で一度深く考えてみてはいかがでしょうか。

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