手間ヒマをかけるところ、かけないところ。

経営は、手間ヒマがかかります。
しかし、なんでもかんでも手間をかければいいわけではありませんし、
逆に絶対に手間を惜しんではいけない部分があります。

タレは谷口自家製、塩も谷口自家製(海水から)。無駄に手間ヒマのかかった焼き鳥です。

商品・サービスの作り込み。

手間ヒマは、かけた方がいいですか、どうですか?
と尋ねられると、その答えは、
どの部分を意識して回答しているかによって異なります。

基本的に経営において、
収益性を高めるためには効率性はとても大切ですから、
手間ヒマはかけない、
という思考を持っておく必要があります。

しかし、こと商品サービスの作り込みにおいては
そうではありません。
当然ですよね。

ただ、実際には、
「こんなもんでいいか」
という感覚で商品開発をされる方が、
わりとたくさんいらっしゃいます。

隅から隅までこだわって、
高級なものを作り上げろと言っているわけではありません。

しかし事業の目的は、
自社の商品サービスを通して顧客を創造することですから、
商品は自社の存亡を左右するものなのです。

商品を作り込もうとするときは、
自社の商品を、
こんな消費者に
こんなカタチで提供して、
こんな価値を感じてもらおう、
という視点が必要です。

そのように考えると、
一つ商品を開発するにあたって、
そんなに適当な気持ちと妥協の塊で取り組むわけにはいかないのです。

その妥協によって生まれる商品のスキは、
消費者に、あっという間に見抜かれてしまいます。

とても勘のいい人には、
「これはこんな部分で詰めが甘いよね」
と具体的に評価されてしまいますし、
勘の良くない人にも、
「なんかこの商品良くないよね」
と思われてしまうのです。

特に小零細企業は、付加価値勝負です。
付加価値の低いものの大量生産という土俵では戦えません。
だからこそ確実に、自社の意識するターゲットに
刺さるものである必要があるのです。

だから、商品開発するときには、
「こんなもんでいいか」
ではなく、
消費者に喜んでもらう、ということを意識して、
もっと試行錯誤していただきたいのです。
もっと工夫して、もっと突き詰めていただきたいのです。
もっと手間ヒマをかけていただきたいのです。

神は細部に宿ります。
詰めが甘いと、「上っ面だけの商品だな」という風に
消費者には伝わってしまうものだと理解しましょう。

4つのコスト

こうしてちゃんとした商品ができあがって、
それを顧客に対して提供する場面まで含めて
作り込むことができた。
ここまでたどり着いたら次は、
いかに手間ヒマを惜しむかです。

いかにコストを削減するか、ということが、
商品サービスを通して利益を上げる際のポイントになります。

「コスト」というと「経費」というイメージが強いかも知れませんが、
コストには4つの姿があります。

①手間(労力)
②ヒマ(時間)
③精神(プレッシャー)
④経費(お金)

例えばある商品を製造するとして、
同じクオリティの商品ができるのであれば、
手間は少ない方がいいですし、
時間はかからない方がいいですし、
過度なプレッシャーは必要ないですし、
お金を掛けずにできるに越したことはありません。

会社の効率を高める、収益性を上げる
ということを考える時には、
この4つの視点をもって取り組んでいくと
非常にわかりやすいだろうと思います。

仕組みで解決する

これら4つのコストを削減すれば
効率が良くなることはよくわかると思うのですが、
小零細企業は、これらの削減がとても苦手です。

毎度同じ手間がかかることでも、毎回同じ事をやっていますし、
「こうやったらもっと時間短縮できるのに」と素人目に見てもわかることを、
飽きもせず延々と続けています。
標準化・チェックリスト化すればあっという間に解決するのに、
毎回「ミスがないか、見落としがないか」と心配しながら仕事をしています。

それらが当たり前の環境になってしまっているので
特に何も疑問をいだくことがないのでしょう。

しかし残念ながら、
現場にずっぽりはまってしまうと、
誰しもそういうことになってしまいます。

誰でもそうなってしまうということは、
自分もきっとそうなってしまっているのだろう
という意識をもつ必要があります。

そしてまっさらな気持ちで日常の仕事を、
客観的に眺めてみましょう。

いくらでもコスト削減のできる部分はあるはずです。

ただこのコストの中で「手間ヒマ」はくせ者です。
これを削減するためには一時的に、
今よりも手間ヒマがかかるかもしれないからです。

「人に教えるより自分でやる方が早い」
というのは、その典型です。

ちょっと高度な話しかもしれませんが、
エクセルで毎回同じ処理を繰り返すのならば、
マクロを組んでしまって自動化してしまえばよいのです。

マクロをはじめ、プログラムを勉強しようとする人は、
実は勤勉な人ではなくて、
なんとしても、ちょっとでもサボりたい、という意識の強い人です。
良い意味で。

上記4つの視点で社内を見つめ直していただけたら、
いくらでも、(良い意味で)手を抜ける部分、
または少し瞬間的にチカラを注ぐことで(良い意味で)サボれる部分が、
山のように出てきます。

その、手を抜ける部分・サボれる部分、全てが財産です。
改善すればそれは即効率化・収益力向上につながります。

どれだけいい商品で利益率が高くても、
その生産から提供までに、アホみたいにコストをかけていては
儲かるわけがないのです。
いかに手を抜くか。
いかにサボるか。
お客様に関わりのない日常業務の中では、
徹底的にこれを追求していただけたらと思います。
何度もいいますが、もちろん「良い意味で」(笑)。

タイトルとURLをコピーしました