名作は、何度も読む、見る。

映画でもマンガでも小説でも、
いわゆる名作と言われるものは、
何度も見たり読んだりするようにしています。
それには3つの意味合いがあります。

何度もお世話になった、作品です。

単純に、好きだから

まずはやっぱり、単純に好きだからです。
これは普通のことですから、
とりたてて解説するほどのことではないと思います。

ただ基本的に私は、オタク気質です。

気に入った映画は何十回と見ましたし、
気に入ったマンガも幾度となく読み返しています。

高校生の頃は「オタク」と思われるのが
イヤでイヤで仕方なかったですが、
今は自分のそういう部分が好きですし、
ある意味アイデンティティだと思いますし、

それが仕事にも生きていると思います。

「変態」と言われるのは、誉め言葉として受け止めています。

一回では、わからないから

いわゆる名作と言われるものは、
表面的に面白いだけでなく、
必ず一定の「深さ」があります。

ですから、そんな作品を通り一遍見たり読んだりしただけで、
その内容を完全につかんだ、というのは、
まぁ勘違いかと思います。

私の理解力が乏しいだけかもしれませんが、
「風の谷のナウシカ」の映画は、
何度も見て初めて、
それぞれの国やキャラクターの行動の理由がわかりましたし、
「もののけ姫」に至っては、
初めて映画館で観たとき、
もちろん表面上のストーリーは理解できるのですが、
「あぁ、これは自分はまだ何もわかっていない」
という感覚でしかありませんでした。

そんな「行間」をいちいち解釈しにかかるというのが、
オタク文化圏の人間の特徴です。

やはり名作は何度見ても、
それこそ10回以上みても、
そこに新しい発見があるから面白いですよね。

でも、こういう「行間を読む」能力というのは、
何気ない日常の中から見えない何かを感じ取る能力であったり、
そこに潜むチャンスに気が付く能力と同じですから、
経営者には案外必要な能力なんじゃないかと思います。

日頃から様々な行間を読んだり、
自分なりの解釈をするクセをつけておくことは
とても大切なことです。

自分の環境によって見方が変わるから

何度も見るといっても、
昨日見たものを今日も見る、ということではありません。
(若いころはそんなこともありましたが)

ですから見るタイミングによって、
見る側読む側である自分自身の環境は、
その時々で大きく変わっています。

そして自分の環境が変われば、
その作品から感じ取れるものも変わってきます。

名作と言われる一つの作品から違った感想をもつことができるのですから、
これはお得です。

私の好きなマンガで「家栽の人」というものがあります。
はじめて読んだのは、学生のとき。
それから何度も読んでますが、
社会人になると、感じ方が大きく変わりましたし、
家庭をもって子供をもつと、また感じ方が大きく変わります。

自分の置かれた環境の変化もそうですが、
歳を取ることによって経験値を積み重ねることで、
その作品を見る・読む深さと広さが変わります。

ですから、昔読んで感動したような作品や、
名作と言われるけれどもそれほど響かなかった作品を、
ぜひ今もう一度、振り返ってみましょう。

その時にはまったく得られなかった感動もありますし、
逆に何ら感動しなくなる場合もあります。

ほとんどの人が知っている、
太宰治の「走れメロス」なんて、
若いころに読んだときの記憶は、
メロスはめちゃまじめで正義感が強い、人としての見本、
みたいなイメージをもっていましたが、
今改めて読んでみると、
めちゃ視野が狭くて、独りよがりで自分勝手で、スキが多い、
自己陶酔型の人間であることに気が付きます。

今でしたら、芥川賞作家であるピースの又吉が、
youtubeで解説してますので、
興味のある方はぜひyoutubeを見てみてください。
いや、むしろそれを見る前に原作を読んでみて
どんなイメージをいだくか、ぜひお試しください。
短い作品で、あっと言う間に読めますし。

読み手のその時々の状況で、
これほど変わるものかということが実感できるだろうと思います。

ロングセラーとなっている名作には、
必ずこういった要素が含まれています。
自分自身の感度が高まる効果もあるかと思いますので、
名作は通り一遍の「読んだよ!」「見たよ!」
で終わらせるのではなく、
ぜひ折に触れてなんども鑑賞いただけたらと思います。

オタク文化圏の人間からの、メッセージでした。

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