本物に触れることの大切さ。

「本物」に触れることは大切です。
そして「触れる」というのは、実際に触り、体感することです。

京都府京丹後市の刀鍛冶工房、日本玄承社にて。

近ければ近いほどよい

ライブや舞台などに何度も訪れたことのある人であればわかると思うのですが、
その演奏者からの距離が近ければ近いほど、
その演奏から感じ取れるものが増大します。
結果として、より感動します。

逆に遠く離れれば離れるほど、
徐々に映像で見ているのと変わらない感じになっていきます。

セミナー・講演などでもそうです。
「講師の波動を感じたいのであれば、最前列へ行け」
といわれています。
波動かどうかはわかりませんが、
確かに前へ行けば行くほど、講師の方の思いが直接伝わってくるように感じられて、
後方で聴くよりも、圧倒的に得るものが多いように思います。

ですからそういった場に行ったときには、
極力前の方で聴くようしています。

人間には、五感というものがあります。
・目で見る
・匂いをかぐ
・耳で聞く
・味を感じる、などなど。
人間はこれら全てを駆使して周囲の情報を得ようとしていますから、
対象物に近づけば近づくほど、体全体で感じ取れるものが増えていき、
それによってその対象者から発せられるものや、その場の空気感を
より敏感にキャッチできるようになるのだと思います。

「目で見る」ということだけを切り取れば、
舞台を最前列で見るよりも、
映像でアップで見た方が細やかな表情の詳細が見えるので、
そっちの方が伝わってくるように思えるのですが、
やはり現場で感じ取る方が段違いに強い感動を得ることができます。

ですから、せっかく現場で感じ取れるチャンスがあるのであれば、
極力「対象者に近づく」、ということを意識しましょう。

触れられるものは触れる

「近づく」ということであれば、
「もうこれ以上近づけない!」という状態とは
「触れること」だろうと思います。

最近、京丹後市で刀鍛冶をされている日本玄承社さんの工房におじゃまして、
実際に刀を製作されている現場と、
実際の刀に触れてきました。
これまでも博物館・美術館などで
刀剣を鑑賞する機会はたくさんありましたので、
「刀って美しいなぁ」という思いは持っていたのですが、
美術館でガラス越しに見るものと目の前で見るのでは、
雲泥の差がありました。

美しさだけでなく、
刀の持つ「艶めかしさ」や「恐ろしさ」、
それ以外のなんとも表現しがたいそれぞれの刀の持つ雰囲気が
いっきに体全体に伝わってきます。

本物を、極々身近で見ること、
そしてそれに触れることによって体全体が得られる情報は、
他の手段で得ることはできません。

体験できるものは体験する

今、世の中は情報で溢れかえっています。
映像はかつては、テレビや映画などからしか得られませんでしたが、
今は動画という形で誰もが多くのものを発信できるようになり、
視覚的な情報を得ることはいくらでも可能です。

そしてコロナウィルスの感染拡大によって
「現場に赴く」という機会が失われ、
「リモート」の便利さが世の中に伝わったことによって、
それだけで体験ができたような気分になってしまっているように思います。

しかし、リモートで体験できることはあくまで疑似体験であって、
直接感じ取れるものとはそれこそ雲泥の差があります。
リモートはリモートで非常に便利ですから、
これが広まった世の中から後退する必要は全くありませんし、
むしろ私はその拡大を推奨する人間です。

しかしリモートは体験するものではなく、
対話をするものです。
体験を通して得られる感動は、
やはり実際に足を運んでこそなのだと思います。

それほど遠くない将来、
アバターを介してあたかもその場に赴き、
現地での体験ができるようになると言われています。
おそらく私の生きている間に実現されるのではないかと思っていますが、
それでもやはり現実に五感を通して得られるものとは
比べ物にならないでしょう。
人間の五感の鋭さを、舐めちゃいかんです。

アフターコロナの世の中は、
これまでよりも人と人との直接的な関わりが
薄れていく時代になっていくんじゃないだろうかと思います。

そんな時代だからこそ逆に、
できるだけ足を運んで
多くの人に会って、
現地に入り込んで、
生身の体を通して、
「体験すること」
「近づくこと」
「触れ合うこと」を
大切にしていかなければならないんじゃないかと思います。

レプリカではない本物の刀剣を手にしたことのある人は、
きっと、そうそういないんじゃないかと思います。
ぜひ一度足を延ばして、
実際に手に触れ、間近で愛でる経験をしてみてください。
「刀剣」を見る目が、いっきに変わるんじゃないかと思います。
ただし、なかなか手がでる価格ではありません(笑)。

タイトルとURLをコピーしました