ずっと一人でいるということ。

自社の経営のあり方を定めるのは経営者であり、
それは経営者の責任のもと行われるもの。
そして一人で行っている事業・会社であろうと、
その人は経営者です。

ですからどんな規模の会社にするのかはその人の判断ですし、
その経営者それぞれにとっての適正規模がありますから、
外部からとやかく言われる筋合いのものではありません。

「私はずっと一人でいる」ということでしたら、
その道を貫けばいいんだろうな、と思います。

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一人でいるメリット

事業を一人で運営するということは、
その方向性からその実行まで含めて、
何から何まで自分一人の判断で行うことができます。

雇用責任という意味では誰一人巻き込むことはありませんから、
経営者一人の自己責任でもって
自分のやりたいようにやることができます。

昨今、それぞれの働き方は非常に多様性あるものとなり、
フリーランスとして活躍する方が増えてきています。
おそらくこの流れはこれからも進むでしょうし、
事業の内容によっては、
プロジェクトごとに多くのフリーランスが集まって組織だって取り組み、
そのプロジェクトが終了したら解散する、といったような働き方が今まで以上に
当たり前に行われていくことでしょう。

一人組織というのは、とにかくこの俊敏性が魅力。
自分が変化することすなわち組織全体が変化することですから、
環境の変化に応じて、どんどん
自分の姿を柔軟に変えていくことが可能です。

そして社員さんがいるということは、
経営者の仕事は現場の仕事だけで済まされなくなり、
より「組織マネジメント」の方向へシフトすることとなります。

社員の数が多ければ大きいほど、
人に関する問題が生じる可能性が高く、
経営者はそこに時間的・精神的負荷を負うこととなります。

一人で仕事をするということは、
そういった社内人間関係の心配が何もない、
というのは大きなメリットの一つでしょう。

一人でいるデメリット

一方、もちろん自分一人で事業を行うデメリットもたくさんあります。

まず最も大きいデメリットは、
何もかも一人で行わないといけない、ということです。
業務を細分化して外注に出すということも可能ですが、
それを社内で片付けることができないというのがデメリット。

そして出来ることの限界がすぐにやってくる、
ということ。
多くの人がいる組織では、
当然のようにその組織でできることは増えていきます。
その反対に、一人でやっていくということは出来ることが限られている、
ということです。
一人で本当に何もかもやろうとすると、
オールマイティにいろいろできるようにはなりますが、
専門性は下がります。
専門性が下がっていくということは、
誰でも出来ることしか出来ない、という状態に近づいていくことですから、
非常に危険です。
「何でもできます」は何もできないのとほぼ同義。
独自性があるからこそ、その事業の価値が高まっていくのです。

さらには、「助け合う」ということができないのも、
一人でいることのデメリット。
誰かが困ったら、チームの誰かが助けてくれる、
というのが組織の良いところです。
しかし一人だと自分が困っても
基本的には自分一人で解決しなければいけません。

自分のありたい状態・あるべき状態を維持する。

このように、一人でいることは大きなデメリットもありますが、
それを上回るようなメリットもあるわけです。

何よりも、純粋に自分のやりたいことでもって、
社会に貢献することが可能です。

組織でないとできないことは、多少の不自由はあるとしても
外部の人と協力して行うことで
多くのことはクリアすることができます。


「経営者である以上、社員を雇用してこその社会貢献だ!」
と主張してはばからない人が、割といらっしゃいます。

しかし経営者にとって
社員を増やすことばかりが社会貢献ではありません。

社員を雇用していくことこそが最大の社会貢献、というのであれば、
2人より3人、3人より10人、10人より100人と、
社会貢献のために際限なく組織を大きくしていくことが
正義ということになります。

しかし例えば30人規模の組織がそれ以上大きくならないからといって
否定されることのないように、
1人の組織(?)も否定されるいわれはないのです。

人を一人でも雇用した瞬間に、
経営者はその人に対して雇用責任が生まれます。
しかし雇用してもいない人に対する責任は、存在しないのです。

多くの人を雇用して、もしその雇用した人たち全員を不幸な状態にしているのであれば、
その雇用は果たして社会貢献かというと、それは非常に微妙です。

一人でいるならば、一人でいるなりの社会貢献の仕方はあります。
というかそれで社会に対して価値を提供しているならば、
それはすでに立派な貢献です。

その価値を与えられた顧客はもちろんのこと、
その提供のために周囲の事業者に仕事が生まれたならば、
経済的な意味では雇用と同じだけの貢献がそこにはあります。

人を雇用することで自由が奪われて、
本来その人が社会に提供できる価値が失われてしまうようなことがあれば、
それこそ社会にとって大きな損失です。

どんなサイズ感で事業を行っていくのが
自分にとって最も社会に価値を与えることができるサイズなのか。
それを理解して最適な規模を維持することは大切なこと。

1人でも3人でも10人でも100人でも、
それぞれの組織なりの価値があるのです。

ですから自分自身がそのことを理解しているのであれば、
盲目的に「一人でも多くの人を雇用することこそが社会貢献」と押しつけてくる勢力からは、
堂々と逃げ切ってしまえばいいし、
近寄らないのもありなのです。

雇用の問題に関わらず、
いろんな人がよかれと思っていろんなアドバイスをしてくるかと思います。
そしてその人たちに別に罪はありません。
だからそれを最初からはねつけてしまうのは、
これでこれで勿体ないことだろうと思います。

そのような外部からの指摘を受けることは、
その一つ一つは自身を見つめ直すきっかけでもあります。

「その指摘に対して反発したいが、その理由も説明できない」、
というのは、
ただ単にこれまで考えることをしてこなかっただけかもしれません。
まずはいったんそれを受け止めて自分なりに深く考えてみて、
結果としてそれを受け入れるのもありですし、
やっぱりそれは違う、ということで
取り入れないのもあり。

どれだけエライ人のアドバイスであったとしても、
それを盲目的に受け入れる必要はありません。

人が違えば最適解も異なるのですから。
一人で事業を行うことが自分にとっての最適解であるならば、
一人で行っていることにプライドをもって、突き進むべきなのだろうと思います。

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