「念ずれば、花開く」
という言葉があります。
熊本県出身の詩人、坂村真民(さかむらしんみん)先生の言葉です。
しかし、実際には、「念じなければ、花開かない」というのが現実でしょう。
「念ずれば、花開く」の意味
この言葉をこのまま受け取ると、
ただ念じていれば、夢が叶う、という風に読めてしまいますが、
当然そういうことではなく、
念じるように常に夢の実現のことを考え、祈るように努力を続ければ、
自ずと道が開けて、夢が叶う、
という意味です。
上杉鷹山の「為せばなる」や
植松電機社長 植松努氏の「思うは招く」
というのも同じような意味であると理解しています。
そしてこの思いは、
良い方向のことはもちろんのこと、
悪い方向でも同様の効果があります。
悪いことを考えたら、悪い結果になってしまうと、
私は理解しています。
現実的には必ずしも開かない。
しかし「念ずれば」全ての人が「花開く」わけではありません。
それぞれ夢を持って、
それに向けて真摯に努力を続けたとしても、
それが最終的に叶うかどうかはわかりません。
端から才能がなければ限界はあるだろうと思いますし、
才能があったとしても運がなければ
花開かないこともあるでしょう。
例えば100人の人が同じように念じ、
同じように努力をしたとしても、
そのうち本当に花開くのは
そのうち5人くらいのものでしょう。
業界によってはさらに低い割合かもしれません。
そして残ったうちの35人くらいは、
花開く、までは到達しなくとも、
ある程度形にはなる、という状態になって、
残りの6割は結局最終的にものにならない、
というイメージだろうと思います。
現実を見つめる。
こういった現実と向き合わずに
「念ずれば、必ず花開くからね」
というのは、
とても無責任な話しなんじゃないかなぁと思うのです。
夢を実現した人たちは、
「夢を諦めないで」といいますが、
それはやはりその実現した人たちには
ものすごい才能があったのだろうと思いますし、
相応の運も味方してくれたのだろうと思います。
あともちろん、人格も大切でしょう。
例えば野球界で、
イチローより努力をしたけれども、
最終的にたいした成績を残せなかった人もいたはずです。
ある人が、
「夢を追いかければ追いかけるほど利息が積み重なる」
と言っていました。
この利息はもちろん、
受け取る方の利息ではなく、
支払う方の利息です。
不用意に夢を追い続けて、
後に引くタイミングが遅くなると、
その分人生において取り返しが付きにくくなっていく、
という意味です。
かつて、法科大学院がなかったころ、
いつまでも司法試験に合格できずに、
いつの間にか人生を棒に振ってしまった人が
たくさんいたと聞いたことがあります。
それに似たような状態ですよね。
それでも、追いかける意味はある。
それでは、夢を追いかけた人のうち
6割は形にならないのだから
最初から夢を追いかけることは意味のないことなのか、というと、
それはそうではないと思います。
先ほど、
夢を追いかける人100人の例をあげましたが、
そもそも最初から追いかけない人が、
この10倍から100倍はいることでしょう。
そしてこの1,000人~10,000人の中からは
夢を実現する人が出てくることは皆無ですし、
ある程度形になる人すら、まず出てこないでしょう。
ですから、まずはこの100人に入ること。
これが必要条件なのです。
そして、もし結果として形にならなかったとしても、
一定のタイミングで見切りをつければ、
何もしなかった人の後塵を拝すことはないでしょう。
少なくともその努力に見合う何がしかの経験は、
そこに蓄積されているはずです。
100人の中から夢を叶える人は、才能と運の問題がありますから、
この割合を高めることは現実的には非常に難しいことです。
しかし、1,000人~1万人の中から100人になる人を、200人にすることは、
教育や自己啓発を通して実現可能であると思います。
ここのハードルは才能ではなく、
本人の「思い」一つですから。
そして100人が200人になれば、最終的に夢を実現する人が、
確率から単純計算すると、
5人から10人に増えることになります。
そういう意味で教育・自己啓発はこの社会にとっても、
とても重要なことだと思うのです
(自己啓発には副作用という問題がありますが)。
これを読んでいただいている方はほとんど経営者だろうと思いますので、
上記100人には、基本入っていると思います。
しかし経営者の中にも2代目3代目などの、
いわゆる後継者には、
このような意識がない方も少なくはないでしょう。
(全員がそうとは言っていません)
「自分は目標を掲げていないな」とか
「こんなことやってみたい、とか考えてないな」とか思われるのであれば、
ぜひ高尚なものでなくて結構ですので、
何か「将来こんな姿になりたい」というものを
思い描いてみてはいかがでしょう。
人それぞれ人生の豊かさは異なりますが、
きっとそのような将来ビジョンを思い描くことが、
豊かな人生を歩む第一歩です。
念じなければ、花が開くことはありません。
まずは強く念じること。
そしてそこに向けてチャレンジすること。
そこから初めていただけたらと思うのです。