経営計画は、あれこれ盛らない。

経営は、あれやこれやいろんなことを同時並行にはできません。
特に小零細企業では。

事務所近所のカレー屋さん。ルーは表面張力。でもちゃんと美味しいから素晴らしい。

経営計画書を見て思うこと。

仕事がら、いろんな会社の経営計画書を見させてもらう機会が多いのですが、
その中でよくあるのが、
「今期、あれもやるぞ、これもやるぞ」
と、てんこ盛りであるもの。

新しい商品を開発し、
新しい売上の柱を立て、
社内組織を変革し、
教育の仕組みを導入し・・

いろんなことを改革しようとすることは大切ですし、
その意欲があるのは良いことだと思います。

しかし問題は、それ、全部できますかね?
ということです。

小零細企業は、人的資源に乏しいのが、現状です。
何か新しいことをやろうとすると、必ず
経営者がそこにずっぽりと入り込まないといけないことになることも、
決して少なくありません。

時間は人一人あたり一日24時間。
限られています。
睡眠時間を削ったところで知れたものですし、
そもそも不健康・不健全で、
かえって生産性を落としてしまいます。

たった一つだけでいい。

それではどれだけ絞り込んだらいいかというと、
極端な話しかもしれませんが、
たった一つだけでいいと、私は考えています。

まさに「二兎を追う者、一兎も得ず」で、
複数のものを追いかけると、
その全てが中途半端なカタチになってしまいます。

そして全部が中途半端になるくらいなら、
たった一つのことに徹底的に集中して、
そのたった一つを確実に実現していくことの方が
圧倒的に重要であると思うのです。

その「一つ」の内容にもよりますが、
その「一つ」が新たな事業領域を立ち上げるということであれば、
それは新しく売上の柱を構築するということですから、
それは商品開発に関わる話しですし、
販売促進に関わることですし、
広報活動に関わることです。

そして新しい販売チャネルができあがるということは、
その販売のために新しく組織を作る必要があることを意味します。

ですから、
たった一つ「新しい事業の柱を作る」というだけでそれは、
経営全体で見たときには、
非常に多くのことに同時に取り組み実現していく必要がある、
ということをなのです。

だからこそ、一つのことだけでいいのです。

その一つがどのように定められているか。

手をつけるものがたった一つということであれば、
その「たった一つ」が、現在の会社にとって、
もっとも重要性の高いものであるべきです。

ですからなんとなく感覚で、
「今期はこれをやりたいから、これをやろう!」
ということではなく、
もっと理詰めで剪定された「一つ」である必要があると思うのです。

そのためには、経営計画をたてる前に、
自社の問題課題をとにかく数をあげることが、ます大切です。
それも、経営全体の中から問題課題をムラ無くあげきって、
それらを出し切ったと思ったら、それに優先順位をつける、
という方法がベストです。

そしてその優先順位No.1のものに徹底的に経営資源を投入し、
完璧に実現していくのです。

No.2、No.3のものも気になってしょうがないかもしれません。
しかし、原則これらに手をつけるのは、
No.1が完成してから。

もしNo.1を実現するための経営資源の配分を考えたあと、
まだまだ余裕があるなと感じたときだけ、
No.2やNo.3を同時並行して走らせます。

ただ、基本的に小零細企業は収益性が低いところが多いですから、
それほど時間があまっているとは思えません。
ですからまずは、たった一つ、
しっかりとカタチにするところに徹底的に時間を注ぎましょう。

社員さんが経営計画を見たときにも、
その「たった一つ」がはっきりしていれば、
社員さんもやるべきことがハッキリして、
混乱が少なくて良いだろうと思います。

10個の中途半端な事業を作るのではなく、
自社の強みが最大限活かされる、
たった一つのものに経営資源を投入し、
独自性ある事業に磨きをかけていきましょう。

中途半端な事業はそれが10個あろうが20個あろうが、
きっちりと構築された一つの事業には勝てません。
それらは、存在しないのとほぼ同じことなのです。

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