会社の「出口」

会社を作るときに、その会社の「出口」まで想定する方は
あまりおられないと思います。
今回は会社の「出口」についてお伝えしたいと思います。

会社の出口とは?

現在、一生懸命自社を維持発展させるために経営に邁進されている経営者の方、
たくさんいらっしゃると思います。
ただ、いつまでも自分自身が経営者としてやっていけるわけではありません。
必ずどこかの時点で、何らかの形で「身を引く」ときが100%訪れます。
このブログでいう「会社の出口」とは、こういった
「現経営者にとっての会社の最終的に行き着くところ」
です。
まずその「最終的に行き着くところ」にはどういったものがあるのか、
それを整理しておきたいと思います。

会社の出口は5種類

現経営者にとっての会社の出口は次の5つだけです。
・IPO
・倒産
・清算
・事業承継
・M&A
それぞれについて少し詳しく説明していきましょう。

IPO

IPOとは株式公開ですから、
小零細企業にとっては通常考えられるものではありません。
また、もしその能力を有していても
「私の会社には必要ない」
と考えていらっしゃる方もおられます。
それはそれで正しい経営判断だと思います。
IPOは広く出資を募ることができますので
資金調達を考えると非常に有利ではありますが、
株主が経営に口を出してくるようになり、
経営者のこだわりをつらぬいたり、
経営者の想いを長期的に実現していくことが
困難となるケースもありますので、
決して良いことばかりではありません。

倒産

絶対に避けたい局面ですね。
そんな意味で最初から想定するものではありませんね。
しかし、状況によっては早急にその準備を始めないといけない
ケースがあることも事実です。
会社を倒産させるにも、
「いきなり明日夜逃げ!」
ということではなく、
社員さんや取引先にできるだけ迷惑をかけない形で整理していくためには
ある程度の時間と、まとまったお金が必要になります。
そういった形での整理を進めていく場合には、
もちろん金融機関の協力も必要となります。
ですので、残念ながらこの道を進まなければならない場合にも、
できるだけ早い段階での決断と
その後のスケジューリングが必要となります。

清算

支払うべきものをきっちり支払ったうえで会社を畳む。
これが清算です。
経営者の判断で
「この会社は私の代で終わり」
と判断される場合や、
残念ながら事業を引き継いでくれる方が見つからなかった場合に、
この道を選択することとなります。
長年継続してきた会社・事業が終了ということになってしまうわけですからこれはこれで非常に残念ですが、
「誰にも迷惑かけずきれいに畳めただけ幸せだ」
という考え方もあります。
もちろん、誰にも迷惑をかけずに清算をするにも順序があります。
社員さんだって取引先だってあるわけですから。
この道を進む予定でかつ、誰にも迷惑をかけないようにする場合には、
相当早くから準備する必要があります。
「わしで終わりやから、もうええねん」
という投げやりな形で終結すると、大きな波紋が生まれます。
場合によっては傷跡となるかもしれません。
ぜひ、できるだけ早いうちから計画し、丁寧に進めていきましょう。

事業承継

経営者にとっての出口の理想です。
自分の親族(主にお子様)がおり、自社を引き継いでくれる意志がある。
または社員さんから「私がこの会社を引き継ぐ」という声があがる。
経営者冥利につきますよね。
経営者、特に初代は自分の思いで立ち上げた会社ですから、
そこに対する思い入れは半端ないです。
だからこそ多額の借金を抱え、社員さんの人生を背負って、
強い責任感のもと運営していくことが可能なのです(残念ながら
そうでもない方もいらっしゃいますが)。
そんな意味で、自分が立ち上げたわけでもない会社を責任感を持って背負ってもらえる人がいる、
というのは本当に幸せなことですよね。
言うまでもなく、
これまで記載してきた中で、最も時間がかかり、
最も意識して計画立てて進めていかなければならないことです。
承継するのがお子様であれ社員さんであれ、
経営者になるべく育成していく必要があります。
次世代が承継するべきものは、たくさんあります。
それを語るだけで、このブログ2~3回分くらいのボリュームとなってしまいます。
今回のブログテーマではありませんので
詳細はまたの機会にゆっくり解説させていただきます。

M&A

昨今、中小企業(特に小零細企業)の後継者不足が社会問題となっております。
日本の会社の95%以上が中小企業です。
いわば日本の雇用と経済は中小企業によって支えられている
といって過言ではありません。
ここには多くの雇用だけでなく、
多くのすぐれた商品やサービス、
とってかわることのできないノウハウや技術や伝統が残されています。
「後継者がいない」
この一言でこういった本来なくなってはならない会社が消えていくのは
国家レベルの損失なのです。
最近になってようやく国が危機感を覚えて、
M&Aを推進するようになってきました。
これにともない、
「M&Aしませんか」
というようなDMが皆さんのお手元にも届くようになったかと思います。
現在M&Aが必要と思われる中小企業(経営者の年齢が70歳以上)は
数十万社あるとみられています。
このすべてが「残さなくてはいけない会社」ということではないでしょうが、
多くがそうなのだろうと思います。
そしてM&Aを進めていくことは非常に専門性を必要とする業務でもありますので、
「じゃあちょっとM&Aしようか。誰か買ってくれませんか~」
といったものではありません(詳細は省略しますが、
上記のようなことをすると詐欺を含めた有象無象が集まってきて大変なこととなります)。
だからこそ信用のできる専門家と一緒になって、
丁寧かつ迅速に進めていく必要があるのです。
アドバイザリー契約を結んで支援する団体・企業は大小いくつもあります。
しかし結局は
「その担当者が真摯にその会社のM&Aに向き合ってくれるか」
ということが大切になりますので、
大きなM&A仲介会社だからといって、必ずしも良いわけではありません。
事実、大組織に依頼したからこそ生じたいろんな問題に、直面した経験があります。
すぐに売買が成立してお金につながりそうな案件しか引き受けない
ドライな会社もあります(だからダメとは言いませんが)。


M&Aは多くの人のその後の人生がかかった、
ほとんどの経営者にとっても一生に一度のビッグイベントです。
売り手・買い手にとっては、お互いがいかにハッピーになるかというところを目指すという意味で、
「結婚」と似たようなところがあります。
だからこそ最善を尽くして、最良の結果となるよう
一緒に手を取り合って力を尽くしていく専門家が必要となります。
安易に「銀行が連れてきてくれたから」とかいうことではなく、
自分自身でもしっかりと情報を収集し、
ちゃんと信用ができて、ちゃんと寄り添ってくれる専門家を選びましょう。

タイトルとURLをコピーしました