どんな事業にも、その事業の「存在理由」というものが必要です。
会社の「理念」とつながる、とても大切なものです。
経営者の第一の仕事。
最近このブログで取り上げることの多い、
経営者の6つの仕事。
その一つ目が、
「存在理由を明確にする」
ということです。
なぜあなたの会社は存在しているのか、
それを深めて明らかにしましょう、ということです。
「会社はものを売ってそれで儲ければそれでいいじゃないか、
なぜそんなものをわざわざ考えなければいけないのか」
という声が聞こえてきたりもしますが、
逆にお尋ねしますが、その会社に存在理由がないのに、
その会社は継続し続けることができるのでしょうか?
企業と言うものは、社会がその存在を認めてくれるからこそ
はじめて存在し、存続し続けることのできるものです。
存在する必要のない会社は、
つまりそこからモノを買ったり、サービスの提供を受けたりする必要がないわけですから、
赤字になって、倒産または廃業に追い込まれる、ということになります。
存在価値を失ってしまった会社は、
自然と市場から退場を求められる、ということなのです。
だからこそ、会社には「存在理由」というものが必要です。
なぜ、自分の会社は存在するのか。
なんのために存在し続けるのか。
この考えを深め、それを明らかにすることが、
会社のブレない方針の源となり、
その会社の独自性の根源となっていくのです。
理念とは、会社の存在意義。
「なんのために自社は存在するのか」
「どんなことで社会に価値を生み出すのか」
「その存在意義があるがゆえに、どのような事業を行うのか」
こういったことを、文字に起こして成文化したものが、
経営理念です。
そう考えると、経営理念は絶対必要じゃないか、と思うのですが、
「なぜ、わざわざ成文化しないといけないの?」
ということでもあります。
経営者がちゃんと自分の思いとして、明確な存在意義を持っていれば
別に成文化までする必要ないじゃないか、ということなのでしょうが、
相手に伝わる必要のあるものは、ちゃんと伝えなければ伝わりません。
その存在理由がちゃんと商品という形で体現されていればそれでいい、
ということかもしれませんが、
自社の存在理由があるのであれば、
それはちゃんと言葉として伝えた方が、ちゃんと伝わりますし、
それが商品とリンクすることで、より説得力のあるものとなります。
そのように社外に向けて発信するという目的の他に、
社内に向けての発信という意味もあります。
全社が同じ方向を向いて経営を行っていくためには、
まずその前提として、
自社は何のために存在しているのか、ということを
共通認識として持っておく必要があります。
こんな存在理由があるから、
こんな方針で、こんな商品を、
こんなお客様に提供しているのだ、
ということが社員にも伝わることで、
社員の行動の方向性が明確となるのです。
自分一人でも、明確な存在理由を。
それでは社員さんがいない自分一人の会社であれば、
存在理由や理念を成文化する意味はその分薄れるのかというと
そんなことはないだろうと思います。
なぜなら、人間案外、日々ブレながら生きているからです。
まれにそこまでしなくても、
何の問題もなくブレずにその会社のあるべき姿を
継続していける経営者さんもおられますが、
大半はそんなことなくて、
日々いろんな思いに囚われて、日々ブレているのです。
ですから、そんな経営者自身がブレないため、
あるべき場所に戻ってくるために、
ちゃんと理念やら存在理由やらを成文化・明文化しておかなければ
いけないのだろうと思うのです。
経営者のブレは、そのまま会社のブレにつながり、
会社のブレは、商品・サービスのブレとして市場に伝わります。
そしてその「ブレ」を察知した市場は、
その会社に求めるものが得られなくなるため、
結果としてその会社は、
消費者に存在価値を認められない存在へとなってしまうのです。
ですからまずは経営者自身が自分自身の大切にする考えからブレないように、
存在意義や理念を明文化するのです。
「もともと、そんな人や社会に価値を届けるほどのことはしてないよ」
というものが謙遜ではなく事実であるならば、
その会社は長く社会にとどまることはできません。
ですから自社の存在意義を明らかにすることで、
いつまでも社会から求められる存在でありつづけるよう
心がけることが、大切なのです。
そしてこれを決めることができるのは、唯一経営者だけなのです。