税理士を変えてもいいのか問題。

税理士バッジって、間近で見るとこんなのです。

税理士というのは、なかなかに変えにくいものです。
そんな変えにくい、税理士を変えてもいいのか問題について。

なぜ税理士は変えにくいのか

そもそもなぜ、税理士は変えにくいのでしょう?
私は自分自身が税理士側であるため、
実はその理由がイマイチ、ピンときません。

でも、理由として聞こえてくるのはだいたい次のようなものです。

・開業からずっとお世話になっているから言い出しにくい

最初からずっとお世話になっていて、
特段明確な理由がないのに、税理士を変えるというのは想像がつきにくいのでしょう。
これまでと特に何も変わっていないのに、ある日突然税理士を変える、ということに
違和感を覚えるようですね。

・会社の数字を見られるのは、すべてをさらけ出しているのと同じ。

今の顧問先が以前うちの事務所に変わってくださるとき、
衝撃的なことをおっしゃってました。

「知らない人に自分の裸を見られるような気持ち」

と表現されたのです。
以前の税理士があまりにも仕事をしないので、最終的に銀行から
「今の状況では、お金を貸したくても貸せません」
と言われて踏ん切りがついたそうですが、
その社長の言葉を聞いて、
「いやいやそれほど大げさなことではないよ」、とも思いましたが、
経営者にとってはそれほど覚悟のいることなのだなと、
自分の認識の低さを少し反省もしました。

・会社のことを全部わかってくれている人をいまさら変えられない

特に長い期間お付き合いをしていると、
他の人には話せないような内容のことを
これまでの長い時間の中で共有してきているだろうと思います。
それをまたゼロからスタートかと思うと、
億劫でしょうがないということのようです。

税理士は変えてもよい。

このようにいろんな理由があるようですが、結論から言うと、
税理士は変えても良いです。
というか、もちろん状況にもよりますが、
場合によっては変えるべきものです。

別に、うちに変わってきて欲しくて言っているわけではありません(笑)。

前述したような「税理士を変えられない理由」は、
もちろん真実なんだろうと思います。
それに対して「本当にそうかなぁ」としか思えないのは、
私の想像力の欠如かもしれません。
しかし、これらの理由は一種「幻想」だと考えた方が良い場合もあるということです。

税理士は経営を進めていく上で、非常に重要なパートナーですから、
どんな税理士とお付き合いするのか、ということは、
極めて極めて重要な経営判断なわけです。
ですから、重要な経営判断として、
変えなければいけないときは、変えるべきなのです。

・本当にお世話になっているのか

税理士から見れば顧問先はお客様です。
ですから、実は本当にお世話になっているのは税理士側です。

もちろん「ダメなものはダメ」といわなければいけないですし、
税理士自身の考える、正しい方向へと経営者を導いていく「先生」でもあるわけですから、
通常の売り手・買い手という関係ではありません。

しかし、長く会社を続けているうちに、その会社も成長します。
そうなるとその会社のステージに応じてふさわしい税理士というのは
また別に存在するかもしれないのです。

これから会社をさらに成長させていくために、次なる税理士へと乗り換えることは、
非常に大切な経営判断だと思うのです。

・すべてさらけ出すことはそれほど恥ずかしいことではない

税理士側から見て、顧問先にさらけ出されているものを、
「恥ずかしいモノ」と捉えたことは一度もありません。

受け取っている側が言っているのですから間違いありません。

「こんな内情、知られる人は最低限に止めたい」
という気持ちはわからないでもないですが、
税理士には守秘義務がありますから、そこから外に漏れることはありません。

すでに一人に知られているのですから、相手が信用できる人間であるのであれば、
それが二人三人に増えたところでどうということはないと思うのです。
私の勝手な見方かもしれませんが。

・会社のことを実はよくわかっていない

誤解を生む見出しになってしまいました。
税理士全員がそうであると言っているわけではありません。
多くの心ある税理士は、ちゃんと顧問先のことを気にとどめて、
その会社のことをとてもよく把握しています。

しかしそうでない税理士が多いというのも事実です。

「全部しゃべっているから、全部わかってくれている」
というのは大間違い(かもしれない)と思っておいてください。

顧問先の数が増えすぎて、
一件一件の顧問先のことがよくわからないことになっているということは、
普通にあることです。
全てとはいいませんが、顧客の拡大志向にある税理士事務所や、
昔ながらの税理士でサービスレベルが低いまたは時代遅れだという事務所は
少し怪しいかも、と思っていただけたらと思います。

でもそんなに変えるのも良くない

しかし、それほどコロコロと変えるのも、
当然いいことではありません。

やはり経営者にとって重要なパートナーであることは間違いありませんし、
ちゃんと顧問先と向き合ってくれる税理士であれば、
ちゃんとその会社の内情を把握したうえで適切なアドバイスをしてもらえるので、
本当に頼りになる存在とすることができます。

これが頻繁に税理士が変わってしまうと、
会社と税理士の間での情報の蓄積がされていきません。
ですからやはり、それほど頻繁に変えるべきものではないのです。

しかしそれをコロコロ変える必要があるということは、
選んだ税理士とその都度ミスマッチが生じているということです。
もしくはあまりに無理なお願いをしてしまっているか(笑)。

それぞれの税理士には、得手不得手があります。
また特定のものに特化した事務所や、
税務以外の方向性に特化している場合もあります。

最近多いのは、
・相続申告に特化している
・経営計画の策定を得意としている
・組織再編を多く手がけている
・海外取引を多く経験している
・税務調査に強い
・M&Aをてがけることができる
などなど。

ちなみにうちの事務所は、
「小零細企業の経営者のパートナーとして経営支援を行うこと」
を得意としていますので、
経営者の頭の中を整理して経営の方向性を明確にし、
経営全体を成長させていくことで、
その経営者(およびそこで働く社員さん)の人生を豊かにすることを目指しています。
ですから、税務よりも完全に経営寄り。
経営コンサルタントに近い位置づけです。
しかし経営を強固にするために必要な税務知識は大切にしていますから、
完全に税務から離れているわけではありません。
ただ、
無理な節税を行うとか、
確定申告をするだけとか、
海外取引・海外進出だとか、
そういったものには対応できません。
ですからそういったお仕事は基本お断りしております。


「この人、いい人だから」
「信用できそうだから」
という理由だけで税理士を選定すると、
その後大きなミスマッチが生じて、
お互いに不幸なことになってしまいます。

顧客サイドは自分の求めるサービスが受けられませんし、
税理士側も、自分の得意なサービスは受け入れられず、
不得意または嫌いな業務を求められることで強烈な無力感とストレスを覚えます。

ですから、まずは経営者自身が
税理士に何を求めているのかということを明確にしましょう。
その上でその「信頼できる」と思われる税理士が、
その求めているモノに合致するかを判断しましょう。

税理士と良好な関係を築くことができて、
提供したいものと提供を受けたいものがガッチリとかみ合えば、
これほど頼もしいものはないかと思います。

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