新規顧客は必要。

半月ほど前に「本当に必要な顧客は『優良顧客』」というテーマで書きましたが、
当然ながら新規顧客は絶対に必要です。

顧客は、自然と減っていく


顧客創造には
「見込み顧客培養」「顧客培養」「優良顧客培養」
という3段階があります。

このうち「見込み顧客培養」と「顧客培養」が、
新規顧客を獲得するための行動であり、
「優良顧客培養」は優良顧客を増やすための行動です。
まんまですが。

企業のマーケティング全体を考えたときには、
この3つの培養活動がバランスよく行われていることが大切です。
「見込み」→「顧客」→「優良顧客」
というのは一連の流れなのですが、
このうちどこかに大きな偏りがある会社が結構あります。

きっとその経営者の好きな部分とか得意な部分とかっていうのが
影響しているんでしょうね。

今のお客さんをめちゃ大切にすることは、
当然大事なことです。
そしてそのお客さんからもっと買っていただけるようにする、
というのも大切です。

しかし今の既存顧客は、
ずっとお客さんでい続けてくれるというのわけではありません。
こちらに何も落ち度はなくとも、
お客さん側の都合で離れざるを得ないこともありますからね。

私の業界で言うならば、
廃業で会社がなくなることも、
合併で消滅することもあります。
経営者がお亡くなりになる、ということもあるでしょう。

ですので、新規顧客を獲得する活動をしなければ、
基本的にその会社はジリ貧となります。

特定顧客に依存し過ぎない。

BtoCは不特定多数の顧客が対象ということがほとんどですから、
あまり問題にはならないのですが、
BtoBのビジネスは、この心配が付きまといます。

優良顧客との関係をどんどん深めていくことは、
事業のあり方としてもちろん大正解なわけですが、
その特定の顧客との関係が深まって、
そこからの売上・利益がどんどん大きくなって、
気が付いたらそこ顧客からの利益に依存してしまっている、
ということが、わりと散見されます。

経営効率としては非常に高いわけですが、
逆に非常にリスクが高まっている状態でもあります。

私も基本的には、高付加価値で一件当たりの顧問料を高めて、
少数の顧問先と関わる形でやっていくのが理想です。
その方がその顧問先と本気で関われますからね。

しかし例えば10件の顧問先だけですべての売上が構成されているとすると、
めちゃ仕事は楽しくて顧客満足度も高い一方、
何らかの理由でそのうちの1件が離れてしまうと、
その瞬間わりと困ったことになってしまうんです。

経常利益率はどんな会社も良くてもだいたい10%くらいでしょう。
ですから、粗利益の10%を失ってしまった瞬間、
利益はすべて吹き飛んでしまうんです。

特定の顧客に対してもっと依存度の高い会社は、
瞬間大幅赤字に転落します。

「あと10年で会社は畳むよ!」ということでしたらまだしも、
継続企業を目指すのであれば、
こういったリスクは回避する方向に持って行かなければいけません。

ですから新規顧客を獲得されるための活動も、
ちゃんと目標感をもって行うようにしましょう。

「これ以上、事務所は大きくしない!」と宣言している私ですら、
そういう視点は常にもって動いています。
とは言っても、年間1~2件くらいが限界ですが。

ただ逆に言うと、たったそれだけの新規しか必要としないうちのような会社でも、
新規獲得のことはちゃんと考えている、ということです。

目的意識をもって戦略を立てて動かなければ、
結果は出ません。
出たとしてもたまたまですから、
不安定なことこの上なし、です。

ありがたいことに毎年何らかの形で新規契約をいただいています。
きっとちゃんと種をまいているからだと思います。

新規顧客だけに目を向けないようにする

かといって、逆に新規獲得だけに目が向かないように
気を付けなければなりません。

結構極端な経営者の方って多くて、
こういう話しをすると
いきなりそっちのことばかり考えてしまったりするんですよね。

あくまで、全体最適。全体のバランスが大切です。
そのバランスは、その会社それぞれですよ、というだけで。

その企業として、投入できるリソース量は決まっています。
特に、人と時間という意味で。
ですので、新規顧客獲得の方に力を割けば、
その分、既存顧客に対するケアは当然できなくなるでしょう。

これが新規顧客獲得の方に極端に振り切ってしまうと、
既存顧客がないがしろになって、
どんどん離反が進みます。
するとその分新規がまた必要になって・・・という悪循環です。

かつて我々の業界でも、
「年間150件の新規獲得!そのノウハウを教えます!」
みたいなFAXのDMがよく届きました。
というか今でもありますが。
でもその事務所が数年前と比較して、
それほど大きくなっているとは思えませんでした。
つまり、なんてことはない、
150件増やして、150件離反しているんです。

こんな効率の悪い経営はありません。
しかも離反しているということは、
それなりに不満をもってということも多いでしょうから、
この新規獲得活動は実は、
毎年100件以上のアンチを増やしている活動に他ならないのです。

もちろん業界によっては、顧客の流動性が激しい事業もあるでしょう。
しかしそんな中でもまずは今の顧客をどう優良顧客とするのか考える。
そのうえでちゃんと新規獲得のことも考える。
この順番が、結構大事なんじゃないかと思います。

少なくとも本来離れることのなかった顧客が離れてしまうほど、
新規顧客に振り切ってしまうのはよくありません。
特に我々は、小零細企業。
マスで顧客を抱える必要がないというのは大きな強みですからね。


なんだか結局、既存顧客・優良顧客、という話しに寄ってきてしまいましたが、
そんな中でも絶対に新規顧客創造は
継続して戦略的に行わないといけませんよ、
と、そういうお話しでした。

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