経営は、ビジネスシナリオから始まる

昨日は、経営の全体像についてのお話しをしました。
その中でも私が特に私が大切にしている、
ビジネスシナリオについて。

ビジネスシナリオって?

「ビジネスシナリオ」とは読んで字のごとく、
事業についてのシナリオ。
要はどのような事業をどのように構築していくのか、
ということです。

一般的に決まった定義のある言葉ではありません。
「どんな事業を、どのような組織で、どんな戦略でマーケ・販売して、どんな成果を生むのか」
といったような、事業全体の組み立てのことを言うこともありますが、
私が採用している定義としては、
「どのような事業を行うのか、または近い将来行うのかということを設定する」
これをビジネスシナリオと呼んでいます。

要は「自らの事業領域を、再定義する」ということですね。

「そんなの、今やっている事業に決まっているじゃない」
と思われるかもしれませんが、
それをもう一歩踏み込んで、
「その事業をこのような特色を出して展開する」
「その事業の中でも、この部分を強力に押し出す」
などということでもありますし、もっと言うと、
現状分析を重ねることで、新事業展開が考えられるかもしれません。

このように、ビジネスシナリオを見直すことは、
既存の固定概念に縛られすぎることなく、
「深く広く」考えることを目的にしています。

改めて、自社の事業領域を再設定し、明確にする。
これが私の定義するビジネスシナリオのゴールです。

ビジネスシナリオが定まると心が落ち着く。

どんな事業であっても、まず最初は当然、
どのような事業領域で事業展開していくか、
ということが出発点となります。

ですからビジネスシナリオを構築することは、
事業のすべての根幹となります。

ビジネスシナリオをどのように構築し、
事業領域を再設定するかの手法は、
また別の機会に改めて説明するとしまして、
いずれにしてもこれは、思いつきで、
「こんなことやってみよう!」
というものでないことは、ご理解いただけると思います。

事業展開は
経営者の考えるコンセプトや
経営者の哲学や
経営者自身の強い思いの上に
積み上げられるべきものだと思いますし、
どのような事業を展開していくか考えることは、
その方向性が企業の未来を決定づけ、
場合によってはそれが企業の存亡に関わりますから。

そして経営者は多かれ少なかれ、
常に一定の不安をもって経営をしています。
特に、自社の進むべき方向性が定まっていないときは、
「本当にこれでやっていけるのだろうか」
という思いは拭えません。

だからこそ、
「この事業は、我々だからこそ行うべき意味がある!」
「この事業は、○○な根拠があるから絶対成功する!」
「この方向性に進んでいけば、間違いない!」
と思える事業領域が設定されて、
方向性が定まると
心が落ち着き、整います。

そんな意味でもビジネスシナリオをしっかり描いて、
感覚でなくロジカルに事業領域を構築することは、
とても大切なことなのです。

半年に一回くらいは、見直す。

事業領域は、社内の都合だけで定まるものではありません。
自社の事業に外部環境が与える影響は非常に大きく、
その「外部環境」は、刻一刻と変化しています。

災害や大事件などは、瞬間的に事業に与える影響がハンパないですから、
そういったものには、即座に対応しようとするでしょう。

しかしこれらはほとんどが一過性のものですので、
実は案外長期的な外部環境変化には
関わりがないことも多いものです。

それよりも日々の生活の中でのジワっとした変化に意識を向けて、
その「ちょっとした変化」に着実に対応することが大切です。

どんな大きな変化・変革でも、
必ずその予兆というものは存在します。

例えば、古い話ですが、
デジタルカメラが登場した瞬間から、
たとえ黎明期でその性能が非常によろしくないものであったとしても、
いずれ進歩してフィルムの現像が駆逐されることなど、
誰にでもわかることです。

インターネットが一般化して、
「ダウンロード」というものが登場した時点で、
いずれレンタルCDやレンタルビデオの店舗など不要になるだろう、
ということも、想像に難くありません。

その予兆の段階では、なんとでも手の打ちようがあったはずです。
しかしすっかり世の中が変わってしまった後では、もう遅いのです。

だから、自社の事業領域については、
「本当に今のままで良いのか」
「自社はこんな風に変わっていかないといかんのじゃないか」
ということを早い段階で見極めて、
着実に対応・変化していくことが求められます。

そうでもしなければ、まさに「ゆでガエル」。
気がついたら茹で上がって死んでしまうということになってしまいます。

できれば半年に一回、
最低でも1年に一回は、
自社のビジネスシナリオを描き直して、
事業領域を更新していきましょう。

そのちょっとずつの弛みなき変化が、
自社を次の時代へと導いてくれるのです。

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