正しく恐れる。

経営者はいつだって不安です。
この不安の正体は何なのでしょう?
どのようにすれば、これは少しでも軽減するのでしょう?
それを考えたいと思います。

経営者は不安である

冒頭にも述べた通り、経営者は常に不安と共に歩んでいます。
なぜかというと経営者は、会社の経営について
100%の責任を背負っているからです。
どれだけ今が順調であるとしても、
この先売り上げがあり続ける保証はありません。
ひょっとしたら来年にはなくなってしまうかもしれない。
そんな思いが常にあります。
これは会社のサイズに関係なく、
1人でやっている人フリーランスでも同じことです(個人差はありますが)。

でも自分で経営している以上、
こんなに不安にさいなまれ続けるのではなく、
もっと楽しく生き生きとした仕事ができないものかと思いますよね。
たった1度の人生ですから、振り返ったときに、
「あぁ苦しい人生だった」
ではなく、
「あーバカバカしいけど充実して楽しい人生だった」
と思えるようにしたいものです。

そしてずっと不安を抱えて経営をすると言うのは
マイナス思考に陥りやすいですから
まったく勧められるものではありません。

経営を継続させていくためにはイノベーション(変革)が必要です。
そしてイノベーションを起こすためには
常に自由なマインドを持ち続ける必要があります。
しかしマイナス思考でいると、このような前向きな発想が
生まれることが阻害されてしまいます。
なぜなら、将来のことを考えているようで結局は
「どうしよう、どうしよう」と
今のことしか考えられていないからです。

それではどのようにすれば
この不安というものは取り払うことができるのでしょう。
取り払うとまではいかずとも、どのようにすれば
少しでも軽減することができるのでしょう

不安感を危機感へ

そこでまず、なぜ不安感と言うものが生まれるのか
考えたいと思います。
結論から言いますと、これは
「将来に対する不透明感」
から生まれてくるものだと考えます。

このままだとこの先良くない状態になっていくのはなんとなくわかっている。
でもこの先にどのようなリスクが潜んでいるのかも漠然としているし、
そのリスクを回避するためにはどのような手段をとれば良いのか、
ということもわかっていない。
こんな状態です。

これが、
「この先、こんなリスクが潜んでいて、それを回避するためにはこんなアクションを起こせばきっと回避できるはず!」
という考え方に切り替わると、全然違いますよね。

なぜなら将来への見通しは確実とは言えずとも、
ある程度はっきりと見えているからです。
先のリスクが想像できて、そのリスクを回避する手段が明確になっていると、
「不安感」は「危機感」へと変化します。

「危機感」とは、
「このままではヤバいから、こんなことやっていかないといけないな」
という、先の見通しが立っている状態です。
そして「不安感」を「危機感」に変えることができれば、
あとは具体的にその回避するべき手段を実行していくだけです。
それがわかるから、不安でなくなるのです。

経営者に経営計画が必要な理由の一つはこれです。
経営計画を作成して、
具体的にこのようなことに取り組むことによって、
こんな成果をあげれば、
会社はこんな姿になることができる、
ということを計画するのです。

このことから経営計画が、「ただの実現性の見えない数字遊び」では
意味がないことがわかりますよね。
そこには具体性と一定の論理性のある道筋が必要なのです。
「こうすれば、きっとこうなる。だから大丈夫。」
という道筋が。
で、結果としてそうならなければ、
「なぜ、こうならなかったのだろう?」と分析をして
改めて次の経営計画に活かしていけばよいのです。

まずは現状分析をすることで、
今自分を不安に陥れているものの正体を突き止める。
そしてその正体がわかったら、
それを退治するための施策を考えるのです。

ワクワク感を持つ

さらにこの経営計画を考えていくなかで、
「こんなことが実現できれば、こんな状態になれるんだね」
「これを実行することで、夢に一歩近づくことができるんだね」
というワクワク感をいだくことができたら、最高です。

この「ワクワク感」を持つためには、
自分の中に明確な「ビジョン」が必要です。

例えば20年後、自分は会社は、
どんな幸せイメージを描いているのか。
これが本当に自分の心の底から出てくるもので、
自分にふさわしいものであれば、
そこに近づいていく(と思われる)具体的な計画ができあがったら、
自然とワクワクしてきますよね。

ここで注意しなくてはいけないのは、
この「幸せイメージ」というのは、
『絶対にこうならなければならない』
というイメージのものとなってはいけないこと。
「こうならねば」という思考がはたらいたときからそれは、
自分を締め付けるしがらみとなります。
そんなものは幸せでもなんでもありません。
こういったものに囚われた瞬間から、人の不幸がはじまるような気がします。

「こうなってやるんだ!」と「こうならねばならない」
微妙な差に思えますが、
全く正反対のものだと認識しておいてください。

危機感は常に持っておく

ワクワク感があるのがもちろん一番ベストな状態ですが、
危機感は常に持っておく必要があります。
「不安感」は「危機感」に変化することができるものですが、
危機感はワクワク感に変化するものではありません。
これを説明するには、まず
「問題」と「課題」の整理、
というところから始める必要があります。

現状を基準として、このまま放っておくと良くない状況になっていくこと。
これが「問題」です。
「これ、ほっとくとえらいことになるわー」というやつです。
これが危機感を生み出します。
そして「課題」とは、
同じく現状を基準としてそこから「ビジョン」を見上げたときに
「こんなことやる必要があるなー」というものです。
これがワクワク感を生み出します。

同じ「現状」を基準とはしていますが、
そこから伸びているベクトルが全く別のものなのです。

会社内には、常に問題があるはずです。
次々と新しい問題が生じてくるはずです。
だから「危機感」をもたずに、変な安心感とワクワク感だけでやっていると、
いずれその問題が顕在化して大変なことになります。
今どんな問題が潜んでいるのかを察知する、その問題発見能力は経営者の大切な資質です。

自分の中に「危機感」と「ワクワク感」を共存させて、
日々問題と課題に取り組んでいく。
これが健全な経営のあり方なのだろうと思います。

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