今日は、魚が好きすぎる魚屋の経営者さんに出会いました。
その人は自分のことを「変態」と呼んでいました。
ちなみにここで言う「変態」とは「常人の範疇を超えている」という意味であって、
危ない人のことを指しているのではありません(笑)。
その変態度合い。
その経営者に、「魚のどんなところが好きなの?」
と尋ねると、
「魚って、一つ一つ、違うんですよね」
「見た目の特徴も違うし、捌いたときの構造も違う」
「どんな風に調理するかによって、まったく別のものになる」
「魚の身を、こう、撫でてしまう」
確かに変態でした(笑)。
しかし、「魚のどんなところ」ではなく、
「魚の全て」が好きなんだなと言うことがよく伝わってきました。
私個人的には、こういう人が大好きです。
良い意味でのオタク、というか、
まぁ、変態ですよね(笑)。
魚屋は人気がない?
今日、その経営者のお話しを聞いて、
その方が自社の課題としてあげていたのは、
「求人に悩んでいる」
とのことでした。
魚屋は、朝も早いし、
立ちっぱなしの作業だし、
わりと重労働だし、
魚ばかり触っているから、魚臭くなるし。
そんなわけで、なかなか魚屋に来てくれるような人がいないそうです。
それじゃそんな会社で今働いている人はどんな人かというと、
同じように、魚好きなのだそうです。
要は、変態の集まりですね(褒め言葉ですw)。
あまり長い時間お話しを出来なかったので、
それ以上深掘りできませんでしたが、
おそらく一般的な会社の採用と同じような考え方で
求人をされているのかもしれません。
確かに、そんな意味では魚屋は不人気だろうと思います。
しかし、その経営者の魚に対する愛情は、
少なくとも私にはビンビンと伝わってきました。
そしてそれが伝わるのであれば、
必ずそこに共感してくれる人がいるはずです。
「私も魚が好きだ!こんな経営者の元で魚屋の仕事をしてみたい」
と思う人が必ずいるはずです。
ですから、この会社がまずやるべきことは、
どれほど自分たちの会社が、魚を愛しているか、ということを、
発信することです。
その変態性に共感する人の元に届けば、相当高い確率で、
興味を持ってもらえるはず。
逆に、「魚に触るとくさくなる」とか思っている人を雇用すると、
「魚に触らなくてもいい仕事をその人にあてがわないといけないな」とか、
いろいろとおかしな気遣いが必要となってきてしまいます。
それって、その経営者からしたら、とても違和感のあることだろうと思いますし、
そもそも本当はそんな人と仕事をしたくないはず。
強く、正しい愛があって、それを表現できるのであれば、
きっとそれは届きます。
ぜひ、変態だけを集めた変態集団としての会社になってもらえたらと、
私個人は勝手にそんなふうに思いました。
「そんなん、目指してない!」と言われるかもしれませんがw。
変態性は、顧客にも届く
先ほどは、「雇用」という部分に着目してお話ししましたが、
これと同じ事が、顧客の創造、
つまり売上拡大にも当てはまります。
昨今の雇用は、雇用者と被雇用者のマッチング。
会社は選ばれることで、社員を雇用することができます。
ですから、そこには選ばれる理由、というものが必要です。
それが先ほどは「魚への愛」でした。
そして、顧客が商品を購入する、という場面においても、
顧客がその会社のその商品を選んでいるわけですから
会社は顧客に選ばれることで、売上を伸ばすことができるのです。
売上をあげるためには、「顧客に選ばれる理由」が必要なのです。
そんな意味で、雇用と販売は、
同一の基軸に乗っかっています。
先ほどの魚屋の経営者とのお話し、
話題は雇用のお話しでしたが、その話しを聞きながら、
「この魚屋からお魚を買いたい!」
と強く思いました。
それはその経営者の、魚に対する愛情に触れたからです。
これだけ魚のことを愛しているのであれば、
絶対におかしな商品を提供することはないという信用につながりますし、
それどころか、きっと最高の状態のものを目指して、
提供してくれると思うのです。
むしろそうでなければ、自分も納得しない、
そんな勢いを感じました。
ですから求人目的で、自身の魚に対する愛情を強く発信すれば、
それは自動的に、自社のブランディングと売上向上につながります。
逆に言うと、
売上向上の目的で、自社の思いを強く発信して、
それが顧客の共感を得ることができるようであれば、
それは求人にも良い影響を及ぼす、ということです。
今日出会った魚屋さんのお話しではありますが、
これはどんな事業にも当てはまることだろうと思います。
小零細企業は、顧客・消費者との共感を生み出すものを
商品・サービスを通して発信することができるか、
それがとても大切です。
自社の特徴、強み、独自性、変態性、マニアック性、
そのようなものを前面に押し出して発信し、
それによって共感が生まれれば、それはブランディングであり、
ブランディングが進めば、それは雇用にも売上にもつながるのです。
「変態」と呼ばれる必要はないとは思いますが、
少なくとも消費者の共感を得られるだけのものがそこにあるのか。
それが小零細企業にとっては絶対的に求められるものだと思うのです。