以前「経営計画の目的」というテーマで記事を書きましたが、
今回は経営計画の全体像について。
全体像が見えにくい?
仕事柄、いろんな会社の経営計画書を拝見させていただく機会が多いのですが、
結構その内容が百花繚乱で、
「で、結局何をしたらいいの?!」ということを考えさせられる計画書をよく目にします。
内容が盛りだくさんなのは悪いことではありますが、
ちゃんと全体像がはっきり見える形で、
それぞれの項目がその全体像の中でどういった位置づけにあるのか、
ということは結構大事であるように思います。
会社全体に示される計画である以上、
その存在目的は、会社の全体的な方針や全体的なあり方を認識したうえで
社員一人一人がその組織の一部として何を目標にどういった行動をしていくのか、
ということが明確になっている必要があります。
ですから、その全体像がはっきり見えないというのは問題かと思っています。
経営計画書の背骨
以前のブログで触れた通り、経営計画書の目的は、
継続的な「顧客の創造」を通して、
会社を維持・発展できる収益性と確実性を構築し、
「良い会社」を作り上げていくことです。
ですから、計画書の背骨は、
①こんな事業を行うことで
②こうやって売上・粗利をあげ(顧客の創造)
③こうやって利益をあげる(維持発展できる会社を作る)
というものであるべきです。
この背骨が「経営理念」という、
会社の存在意義・存在目的の上に乗っかっているものであるということは、
言うまでもないことかと思います。
そういう意味で経営理念はこれら経営系画の背骨を支える腰骨なのです。
入口は、ビジネスシナリオ。
計画書の背骨の入口である、
「こんな事業を行う」
これはまさに、その会社のビジネスシナリオです。
会社の理念に則って、外部環境と自社の強みなど内部環境に照らし、
今期どのような事業を展開していくのか。
そして近い将来、どんな事業を展開していく予定で、
その準備として今期何を行うのか。
こういったことがビジネスシナリオの中で語られます。
まずは
「自社が、具体的に、どうやって食っていこうとしているのか」
これを全社的な共通認識として持っておく必要があろうかと思います。
意外と「あれ?うちの社長、こんなこと考えてこんなことやろうとしてるの?」
ということが結構あります。
今やろうとしていることは現場の動きの中で認識できているとしても、
近い将来の事業の方向性を示しておくことは、
とても大切なことなのです。
それを認識しているかどうかで、社員さんの行動様式が変わることもありますから。
売上計画の両翼。
次に売上です。
行っていることが「事業」という経済活動である以上、
顧客の創造によって、売り上げと粗利益を稼がないことには
組織の維持はできません。
ですから事業の目的は「顧客の創造」になるわけです。
そしてそれが目的である以上、会社の活動は
「いかに顧客を創造するか」
ということを追求し続けることが日常の活動になります。
そしてこの
「顧客の創造」を
「いかにスムーズに」
行える会社を作り上げるか、
これが経営計画におけるこの部分のテーマになってきます。
そしてこの「顧客の創造」つまり、
売上・粗利益を浮揚させるための翼が、
「マーケティング」と「人事組織」です。
これら2つが、経営計画の背骨の中心である「顧客の創造」から生えている
両翼となります。
売上をあげるためには、マーケティング戦略が欠かせません。
マーケティング、というととても小難しいことのように聞こえますが、
簡単に言うと、具体的にどうやって売り上げをあげるんですか、
というその具体的手段のことです。
・どんな商品を通して、顧客に価値を提供するのか。
・どのようにして、見込み顧客・顧客を作るのか。
・どのようにして自社のファンを増やしていくのか。
これらを計画し、具体的にどんな活動を行うことで、これを実現するのか。
これがマーケティングです。
そして、スムーズな顧客創造(売上増大)を行うために、
どんな組織形態を築き上げるのか。
これが「人事組織」となってきます。
顧客に価値を適切に届けるにあたり、
自社はどのような組織体制でのぞむ必要があるか、ということを
設計・計画します。
もちろんそこには、そのための新人雇用計画や、
教育計画、福利厚生計画なども含まれてきます。
結構これらは「なんとなく必要だから」という感覚で作られがちです。
しかしここに
「顧客に最大限の価値を届けるための組織」
という意味を持たせるだけでとても考えやすくなると思います。
組織は、顧客にいかにスムーズに価値を提供するか、
ということを目的に形作られるべきなのです。
すると、経営計画の中での組織というものの立ち位置がスッキリします。
利益と資金
そして最後に、利益計画と資金計画です。
会社は最終的に利益を出さなければ、
いくら売り上げがあったところで維持発展していくことはありません。
そして、どんな事業を行うにも、
資金をどのように調達し、運用するのかという資金計画は必要です。
ここまでの、
・どのようなビジネスを
・どんな組織体制で
・どんな販売活動を行うことで
・どれだけの売上をあげるのか
というこれらを行っていくことで、どのような利益を出すのか、
ということです。
また逆に、「利益」が結果論にならないために、
・これだけの利益を必要としている、または目標としているから、
・その利益を出すためには、
・これだけの必要経費と、
・これだけの売り上げが必要となる
という考え方もあります。
この、「目標とする利益」を達成するために
マーケティングと人事組織という両翼で飛び上がるのです。
しかし目標とする利益が過大であると、
重たすぎて両翼がポッキリ折れてしまいます。
現場が疲弊している状態ですね(笑)。
ここは全体最適の考え方が必要ですので、
全体のバランスが整うように調整しながら、
両翼と利益との計画を考えていく必要があります。
そして最後に「資金」ですが、
会社はキャッシュがつきてしまうとつぶれてしまいますから、
どれだけの資金が必要で、
その資金をいかに調達し、運用し、返済するのか、
ということは当然とても大切なことです。
具体的にはまた別に財務の話しとしてとりあげる必要がありますが、
利益計画と事業計画ができあがると、必要資金は自然とわかります。
これを計画段階で、
「これだけ必要」
ということを認識しておく必要があろうかと思います。
資金がやばくなってから、慌てて銀行に飛び込む、
ということがありませんように。
ただしく資金管理ができてこその信用でもありますから。
以上のことを図式化したものが、TOP画像です。
ちょっと小さくて見にくいかもしれませんが。
近いうちに、経営計画策定のためのウェブセミナーなるものを立ち上げようと
画策しています。
整いましたら、改めて告知させていただますので、よろしくお願いいたします。