「経営資産」という言葉があります。
経営資産とは何なのか。
そして経営者は経営資産が何かということを知って、
それをどうするべきなのでしょうか?
経営資産の種類
一般的には経営資源、という言い方をすることが多いですが、
ここでは「経営資産」という表現をしています。
この違いと言葉選びの理由は後々説明するとしまして、
まずこの経営資産にはどんな種類のものがあるのでしょう?
その昔は、「ヒト・モノ・カネ」と言われてきました。
これは経営者であるならば誰もが聞いたことのある言葉だろうと思います。
それを知ったところでその知識を活かそうと考えた人は
ほとんどいないでしょうが。
そして、この「ヒト・モノ・カネ」にその後
「情報」という要素がプラスされました。
そして今ではさらにそこに、
「知的財産(ノウハウ)」
「時間」
というものが加わって、一般的に6つとされています。
しかし私は、そこにさらに「企業風土」という要素をプラスして、
全部で7つ、として考えています。
私の師匠の一人である、故 池田重樹氏の請け売りです。
改めて整理をすると、
①ヒト
②モノ
③カネ
④情報
⑤ノウハウ
⑥企業風土
⑦時間
これらが7つの経営資産です。
これらのうち、①~③は目に見えるもの、形あるもの。
④~⑦が目に見えないもの、です。
しかしこれらのうち⑦だけが少し特殊なものといえます。
それは、①~⑥は事業を通して会社が作り上げることのできるもの、
増やしていくことのできるものですが、
⑦は宇宙中のすべての存在にとって、変わらない、
自分の力で増やすことのできないものです。
経営資源と経営資産
それでは経営資源と経営資産には、
どのような差があるのでしょう?
「経営」という部分は共通していますので、
ポイントは後ろの2文字、
「資源」と「資産」ですね。
これだけでなんとなくイメージしていただけると思いますが、
「資源」とは、
それがそのままの形で価値があるということでなく、
それを利用・活用して、どのようなものを生み出すか、
というもの。
つまり、何かを生み出すために使われる源です。
これに対して「資産」とは、
すでに経済的価値を有した状態になったものを指します。
この「経営資産」をどれだけ有しているか、ということが
その会社の力そのものであり、
経営資産を積み重ねていくことが
会社の成長につながっていくのです。
いつも事業領域のお話しをするときに、
「求められること」
「したいこと」
「できること」
の接点に事業は成立すると
いうことをお伝えしていますが、
経営資産はこのうち「できること」を指します。
ですから経営資産が積み上がり幅が広がることで、
事業領域自体の深さが生まれると共に、
将来に向けた事業領域を考えるにあたっての幅が広がっていくのです。
資産をいかに積み上げるのか。
このように経営資産は、
事業を行っていく中でこれをいかに積み上げていくのか、ということが
とても大切なこととなります。
ですから経営計画を構築する場面では、
どんな経営資産をどのように積み重ねていくのか、
ということを計画する必要があります。
そのためにはまず、自社にはどんな経営資産があるのか、ということを
棚卸しするところから始まりです。
そして棚卸しの結果としてリストアップされた自社の経営資産について、
その全てに対して手を付けることは事実上不可能ですから、
Actionを起こすのか、手を付けないのか、
一つ一つ判断をすることが求められます。
その中でActionを起こす!つまり今よりも強化すると定めた経営資産について、
具体的にどのような方策でもってそれを実行するのか、
それを定めるのです。
「強化する!」と決めたとしても、そこに具体性がなければ、
それは単なるかけ声に過ぎず、
きっと実現するモノではありません。
こうして積み上げ、積み重ねていったその事業の経営資産が、
次なる事業の経営資源として事業に投下されていくのです。
どんな経営資産をどれだけ、どんな形で保有しているのか。
それがあなたの事業の力強さと将来性を決定づけます。
ぜひ毎期毎期、目標感を持って、積み重ねていきましょう。