同業・競合と、健全に向き合う。

仕事柄いろんな会社の経営者の話しを聞く機会がありますが、
案外、同業や競合のことを知ろうとしていないことに驚かされます。
自社の経営を考えるにあたって、同業者研究はとても大切です。

同業者は、外部環境である。

事業を考えるときに、その根底となるビジネスシナリオ。
どのように事業を展開していくのか、その方向性を定めるものです。
ビジネスシナリオの詳細解説は本題ではありませんので別に譲りますが、
ごく簡単に説明するならば、
「求められること」
「したいこと」
「できること」
この接点に事業領域が定めることです。

そしてこのうち「したいこと」と「できること」は自社内部の話しですが、
「求められること」は外部環境の分析から導きだされます。
つまり、
「世の中がこんな風になっているから、社会はこんなことを求めているはずだ」
ということですね。

そして外部環境を考えるにあたっては、これを
「社会・経済」「業界・業際」「消費者・生活者」
という切り口で考えると、わかりやすくなります。

この外部環境の一つ「業界・業際」。
今、自分の属している事業の業界、およびその周辺はどんな状況になっているのか、
ということですね。

業界がどんな問題をかかえているのか。
最先端の事業者はどんな取り組みをしているのか。
そして業界はどう変わっていくと考えられるのか。
こういったことに真剣に向き合うことが、
自社の事業領域を決定づける一要素となるのです。

自社の位置づけを知る

それではなぜ同業・競合のことを知ろうとしない人が多いのかというと、
どうもプライドが邪魔をしているようです。
自社で作っている商品に対して一定のプライドを持っているため、
よその商品と比較してどうこう、ということを考えたくないのです。

これは一見、自社の商品に対して強いこだわりをもち、
ブレない軸を持っているように見えます。
しかしもしご自身がそうであるならば、
一度ぜひ自分自身の内面と向き合っていただきたいのですが、
それは本当に健全なプライドによるものでしょうか?

多くの場合それは、プライドというよりも、
今やっていることを否定されたくないという恐れと、
変化を嫌う面倒くささなのではないかと思うのです。

ですから特に製造業の経営者ほど、
競合分析ができていないように思います。
しかし、競合のことを知ることは、
自身の位置づけを知るためにとても重要です。

もし競合と同じ土俵で闘っているのであれば、
消費者から見て自社の商品はその競合より優れているのかどうなのか。
劣っているようであれば、自社の品質向上に心血を注がなければいけませんし、
自社の強み弱みと照らしたときに同じ土俵で闘うべきでないと判断されるなら、
違った土俵で勝負することを考えなければいけません。

どれだけキレイごとを言ったとしても、
経営は同業・競合との競争です。
それは相手を蹴落とすということではなく、
相手を上回る必要があるかもしれませんし、
競合とは違ったところで勝負をするということかもしれません。
競合分析は自社の経営の方向性を定めるための重要な指標なのです。

比較のためではない。

同業のことを知ることは、
何も相手と「比較」することを目的とするものではありません。

人は他人との比較が不幸の始まり、といいます。
同じように、会社も、他社との比較はその会社の不幸の始まりです。

「あの会社が、あんな大きな工場を建てた」とか
「あの会社は、うちよりもいい社員さんが多い」とか、
そんなことで羨ましがってグチをこぼしても、
そこから何も生まれません。

そんな意味では自分は自分、ヨソはヨソ。
そんなことよりも、その現実を受けて、
「それじゃあ、うちの会社はこういう方針で経営を前身させていくよ」
と考えてこそです。

比較して羨ましがったり、嫉妬したり、妬ましく思ったり、
そんな思いが湧き出てくるようであれば、
即座にそれは振り払いましょう。
マイナスの思考からはマイナスの結果しか生まれませんから。

そして案外そんな経営者ほど、
その競合の商品を毛嫌いして、よく知ろうとしていないのです。
そうではなくて、
その競合がどれほど自分にとって腹立たしい存在で合ったとしても、
その競合の商品が良いものであるならば、
謙虚に敬意を払ってその商品と向き合いましょう。

そして自社の商品がまだまだだなと思うのであれば
「このままではいけない」
と奮起することができますし、
自社の商品が上だな、と思えば
自信をもってその方向性で邁進すればよいのです。

同業・競合の動き・現状を知ることはめちゃ大切です。
そこから目をそらすことなく、
ぜひ、健全に向き合っていただけたらと思います。

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