昨日は経営計画にはマーケティングが必須だ!というお話しでした。
今回は、経営計画におけるイノベーションについて。
イノベーションとは
まずはイノベーションというものの定義について、考えておきたいと思います。
イノベーションとは、日本語に翻訳すると「革新」という言葉になります。
そして革新というと、革命の「革」に「新しい」ですから、
「社内にイノベーションを起こす!」
というと、これまでだれも取り組んでいないような新しい改革を社内に起こす、
という意味のように感じられます。
しかし、そこまで大層なお話しではありません。
そこまで大層なお話しとして考えてはいけません。
確かに、あまりよそがやっていないような
本当に「革新的」なことができるに越したことはないのですが、
世界中にあまたの企業がある中で、
地方の一小零細企業にそんなことはなかなか困難です。
最初からムリとあきらめてはいかんかもしれませんが、
ハードルがめちゃ高いことは間違いないでしょう。
ハードルを上げて結果何も取り組めないよりも、
ハードルを下げて何がしかの取り組みができた方がいいに決まっています。
社内におけるイノベーションは、
「これまで自社でやってこなかった新しいことに取り組む」
というレベルでOKです。
「ちょっとした社内の変化」で良いのです。
そしてそれを今ある自社の形であれば、
どういうあり方で実現するのが最も適切なのかを考えて導入するのです。
例えばテレワークを導入するにも、
今の自社のあり方を前提としたときにどういうルールを構築していくと、
自社にとっても最もふさわしい形にテレワークになるのか、
ということを考えながら導入することになると思います。
するとその取り組みは自社ならではの形となりますから、
それは立派なイノベーションであると考えられます。
イノベーションは「無」から生み出そうとすると困難を極めます。
最も手を付けやすい一般的な形は、
『既存のものの掛け合わせ』
「既存のもの」×「既存のもの」=イノベーションです。
先のテレワークでいえば、
「テレワーク」×「自社の労働環境」=自社独自のテレワーク
ということになるのだろうと思います。
なぜイノベーションが必要か
小零細企業であっても、
変化を起こしていく必要はあります。
世の中はものすごい勢いで変化していくわけですから、
それに合わせて自己変革をしていかないことは、
立ち止まっているわけではなく、相対的に見れば「退化」でしかないからです。
退化していく事業が生き残っていけないことは、
誰が考えたってわかることですよね。
時代が流れ、外部環境が移り変わると共に、
経営のあり方はその時代に合わせていかなければいかんのです。
そして、その「イノベーション」を起こす部分というのは、
何も事業そのものだけにとどまるものではありません。
新しい事業に取り組むとか、新しい商品を生み出すといった、
「売上」に関わるぶぶんだけがイノベーションの対象というわけではないのです。
「経営」とは事業領域だけで構成されているものではありません。
これまでと違う事業、
これまでと違う商品、
これまでと違うターゲット、
これまでと違う販促、
これまでと違う雇用、
これまでと違う給与体系、
これまでと違う組織、
これまでと違う福利厚生、
これまでと違う資金調達、
これらすべてイノベーションの対象です。
もちろんこれが全てということでもありません。
時代の変化に合わせて、または時代を少しだけ追い越す形で、
経営のあらゆる側面を少しずつ変化させていきましょう。
あなたの経営計画にイノベーションはあるのか
昨日のブログでも引用した、 ピーター・ドラッカー の言葉
企業の目的が顧客の創造であることから、企業には二つの基本的な機能が存在する。すなわち、マーケティングとイノベーションである。
昨日は、経営計画にマーケティング要素が必要であるというお話しをしました。
そして、企業の基本的な機能がマーケティングとイノベーションであるわけですから、
経営の方向性と具体的取り組みを示す「経営計画」には
イノベーションの要素も欠かせない、ということになります。
逆に言うと、
「経営計画は、マーケティングとイノベーションでできている」
のです。
「いやいや、経営計画には経営理念と経営方針も大切でしょう」
と言われるかもしれませんが、
経営理念や方針というのはむしろ、
「経営計画を策定するための土台」
と理解するのがわかりやすいと思います。
もちろん定義なんて人それぞれですから、
これら全てを内包して全体を「経営計画」とすることはなんら問題ありません。
いずれにしても、経営計画とは
・どのようにマーケティングし、
・どのようにイノベーションするのか
ということが計画されたものでないと、
経営計画としての体はなしていないということなのです。
そして先ほどもお話しした通り、
イノベーションは経営のあらゆる場面・あらゆる部分について行っていかなければなりません。
あなたの会社の
「事業領域」
「マーケティング」
「人事組織」
「財務」
「リスクマネジメント」、
これら全体を時代に合わせ、時代を先取りして変化させていく計画を策定しましょう。
しかし、これもいつもこのブログでお話ししていることですが、
小零細企業は経営資源が乏しいですから、
あれやこれや手を出すことはできません。
たくさんのことを計画し、それを実行しようとしても
共倒れになってしまいます。
ですから「経営全体にイノベーションを起こす」、といっても
少しずつで良いのです。
経営全体を見渡してバランスよく、
そして毎期毎期明確なテーマをもって、
社内を変化させていきましょう。
結局こうした少しずつの変革を着実に実行できているかどうか、ということが、
最終的に大きな差となって現れ、
生き残る会社と淘汰される会社とに分かれていってしまうのだと思います。