コロナウィルスが発生し、1年半以上が経過しました。これにより、私たちの働き方は大きな転換期を迎えました。今日はそのあたりのお話しを。
働き方改革に与えた影響
コロナウィルスの蔓延によりこの1年半、私たちは未曾有の環境変化にさらされ、
これまでとは社会の常識が様々な場面で大きく転換しました。
そんな意味で歴史の転換点として今後歴史の教科書に載り続ける大事件に私たちは遭遇しています。
「働き方」という部分がまさにこの「転換」のうちの代表的なものです。
不謹慎ではありますが、これはコロナの恩恵とも考えられます。
政府が推し進めようとしていた「働き方改革」。
いろいろ批判を受けている改革ではありますが、その本質は
「みんな仕事は効率化して、もっと人生を豊かにしましょうよ」
ということです。
しかし国というのはある意味無力で、国自身ができることは制度設計だけですから、
「有給を必ず消化しなければならない」といったような法律を整備するという、
見方によっては縛り付けのようにしか見えないものになっていってしまいます。
「みんなで仕事を効率化しましょう!」と掛け声だけでは動かないから、
無理に「制度」という形でその方向にもっていこうとするわけですね。
税制だって基本的な考え方は同じです。
社会状況を考えて世の中の企業や人々に
「こういった行動をしてほしい」
ということに対してインセンティブや逆インセンティブを「税金」を通して与えていきます。
少し話しがそれてしまいましたが、政府の考えている働き方改革の一部が、
コロナウィルス感染拡大という環境変化の影響で大きく進んだように思っています。
環境変化が思い込みを突き破った
これほど早く、ウェブ会議やテレワーク環境が進むとは誰も考えていなかったでしょう。
結果多くの人が
「移動しなくても仕事ってできるんだ」
「どこでも案外仕事ってできるんだ」
ということに気が付きました。
そしてそのうえで、
「コロナが収束しても、このままの方がいいよね」
と考えている人もたくさんいるかとは思います。
私もそう考えています。
しかし実際コロナ前はどうだったかというと私も含めて、
「やっぱり会議は直接会って話しをしなくちゃ」とか
「会社が一番仕事がはかどるよね」
などといった感覚で、Web会議やテレワークに必死に着手することはなかったんです。
でも実際にやってみると、これほど便利なことはなかった。
Zoomだって以前から存在していたわけですから、
技術的なものはとっくにクリアーしていたのです。
それでも人間の思い込みによって動かなかったんですね。
その思い込みが、コロナウィルス感染拡大という大きな問題が突き付けられる中で、取り払われたのです。
本来は外部環境の変化から気づかされるのではなく、我々自身から変化していくべきところだったのだろうなと、改めて考えさせられました。
常識を取り払う!
今後、
「ビジネスを効率化しよう」
「人生仕事ばかりではなく、それ以外の時間を豊かにしよう」
「オフィスに行くことが仕事ではないよね」
「仕事は時間をかけることじゃなくて、どれだけの価値を提供できたかだよね」
と考える人たちは、もう元の状態には戻ろうとしないはずです。
結果そのような社員を抱える企業は、効率が向上し、
社員の生産性も高まるということにつながるはずです。
このような時代の流れと要請にしたがって、企業側の対応も求められます。
これまで社員は会社に来るのが当然、という考えだったのを、
「会社になんか来なくていいよ」
という考えに切り替える必要があります。
もちろん会社の職種や状況、そこで勤務している社員さんのキャラクターにもよる、という前提はありますが、
「社員を拘束する」という意味に近い「社員管理」というのは時代錯誤になっていくでしょう。
今の会社の中に、無駄な業務はありませんか?
社員さんが自分の本来の業務以外のことに手を煩わせてしまって本来業務に手が回っていない、
ということはありませんか?
人と人との交わりは大切ですが、人と人とが出会った場所に無駄な仕事「ムダムダモンスター」が生まれます。
人と人が関わりすぎることでそこに本来不要な業務が勝手に形作られるのです。
そうであれば、社員一人一人の業務を明確に切り分け、
その業務だけに専念してもらうことの方がはるかに企業としても効率的になっていきます。
(人と人との交わりの大切さを完全に否定しているわけではありません。あくまで「効率」の問題であり、人とのリアルな接点とコミュニケーションはこれからも絶対的に必要なことです。)
現状すべての書類がペーパレスになっているわけではありませんから、会社に誰一人不要ということはありませんし、工場などの現場仕事は工場内でやるほかありません。
しかし営業担当なども含めて、相当の業務が実は「会社に来なくても」できてしまいます。
そこは常識という名の見えない壁をいかに取り払う努力を経営者が行うか、ということが大切です。
その環境が整うことで自由に働くことができるようになれば、そこに優秀な人材は集まります。
逆にいうと、優秀な人材を求めるのであれば、そういった社内改革を行っていくことが求められる、ということです。
業種によっては、小零細企業でも十分可能なことです。
今時無料でいろんなツールを手に入れることができますから、そこは工夫の見せ所なのです。
より優れた人材の確保のためにも、そういった社内改革にもっと目を向ける必要がある、
そんな時代が環境の変化により一瞬で到来してしまったことを肝に銘じて、
労務改革を行っていきましょう。
少しずつ少しずつ。
この小さな歩みがとても大切です。