会社は世の中の変化とともに、
自身の事業内容を変化させる必要があります。
今日はその外部環境のとらえ方について。
外部環境は、ビジネスシナリオの入口。
世の中は10年前に比べて、
ものすごい勢いで変化を続けています。
ですから10年前と同じビジネスの在り方が今通用するかというと、
それは難しいわけです。
そんなわけで、経営者は日々、自社の世の中の時代の流れを正しくつかんで、
自らの事業領域(ビジネスドメイン)を変化させていく必要があります。
外部環境と内部環境を正しく把握して、
こうした事業領域を決定する作業を、
「ビジネスシナリオの作成」と呼んでいます。
私の経営コンサルの師匠である、故 池田重樹氏の提言です。
逆に言うとビジネスシナリオの作成は、
時代の環境に合わせて自らを変化させていくべく、
事業のマイナーチェンジや
将来の事業領域の種や芽を見つけ出すことを
目的としています。
事業領域は社会の変化に応じて
その姿を徐々に変えていく必要があるわけですから、
ビジネスシナリオを考えるにあたって、
最初に外部環境を分析することは非常に大切です。
日頃仕事に追われて(または興味がないため)
社会の動静に意識を向けていない経営者もたくさんいてますが、
それではいかんですよね。
社会の動静はビジネスを変化させるための元になるものですから。
さてそれでは、
ビジネスシナリオを考えるための外部環境は
どのようにして考えたらいいのでしょうか。
次の3つの視点に切り分けて考えると、
とてもわかりやすくなります。
・社会、経済分析
・業界業際分析
・消費者生活者分析
これらについて、ひとつずつ
細かく解説してまいります。
社会・経済分析
社会経済分析とは
広く社会がどのように変わっているのか、
いまどのようなことが社会に起きているのか、
これを書き出していただくことが目的です。
「分析」というと大げさですが、
この段階ではまず、それぞれの項目について、
とにかく数多くだしていただくことです。
3つのテーマの中でこれが一番難しくて、
普段新聞を読んだりニュースを見たりしておかないと
なかなか出てくるものではありません。
ビジネスシナリオを考えるときには、
今実際に行っている事業内容に振り回されない
自由な発想を持つことが大切。
だから外部環境分析も、
あえて今の自社の事業領域には全く関わりがないだろうということも含めて
広い範囲であげていただくのがベストです。
自分一人でなかなかできない場合には、
複数の人で出し合って共有するのが一番かと思います。
今の自社の事業領域に関係なく、とはいいつつも、
やはり自分の仕事まわりで社会経済をとらえてしまいます。
通常誰だって自分の仕事周りについて最も興味があるでしょうから、
これは当然のことです。
ですので他業界の方が出した社会経済分析はとても興味深いものとなります。
業界業際分析
次に業界業際の分析です。
皆さん、自社の業界について
深く勉強・研究・調査されているでしょうか?
自社のことばかりに目が行って、
あまり他社や業界全体のことに対して目が行っていないかもしれません。
また業界団体などに加入していても、
その団体自体の主義主張があったりしますから、
近視眼的になったりすることもあります。
業界で何が起こっているのか。
どんな業界になってしまっているのか。
またはどんな業界になっていってしまうのか。
これらのことを改めてよく考えてみましょう。
そして「業際」とは自分の業界の周辺です。
自分の業界と完全に重なるわけではないが、
自分の業界と接点のある業界のことです。
なぜこれらのことを考える必要があるかというと、
近い将来自社に影響を及ぼしてくる可能性があるからです。
外部環境分析の手法の一つに
5F(ファイブフォース)というものがあります。
自社に影響を与える5つのもの、という意味です。
・売り手
・買い手
・新規参入者
・既存競合
・代替品(サービス)
の5つです。
このうち「既存競合」というのが業界です。
それ以外が業際となるものです。
この切り口でそれぞれがどのような動きをしているのか、
よく観察して考えてみましょう。
消費者生活者分析
これは比較的わかりやすいかと思います。
一般社会におけるあまねく人々。これが生活者です。
そして購買活動・消費活動を行っている主体者が消費者です。
生活者(=一般社会の多くの人々)は、いまどんな状況におかれているのか。
そして、どんなことを考えているのか、考えるようになってきているのか。
消費者についても同じことです。
消費者は今どんな状況におかれ、
それによってどんな思考の傾向にあるのか。
そしてどんな消費の傾向にあるのか。
潜在的・顕在的にどういうことを求めているのか。
こういったことをどんどんあげていきます。
これも自社の業界周りだけにとらわれない方がいいと思いますので、
複数の人で出しあった方がいいでしょう。
社員さんがいらっしゃる会社は、
ぜひ社員さんを巻き込んで彼らの意見を聞いてみてください。
社会が求めるものは、なんでしょう?
こうして外部環境が一通りあがってきたら、
これらの情報を元に、
・今、社会は何を求めているのか、
・どういったことを求めるようになるのか
という、「社会の要請」「使命」を導き出していきます。
たとえ経営者自身のやりたい事業でも、
それが社会から求められるものに合致していないと、
それはビジネスとはなり得ません。
だからこそ、外部環境をつぶさに観察し、
それが自社にどのような影響を与えるかということを
真面目に考えなければいかんのです。
時代は少しずつですが動いています。
一ヶ月単位では目に見えなくとも、
半年単位・1年単位では間違いなく遷移いています。
少なくとも年に一度は外部環境を分析する時間をつくりましょう。
経営計画を策定する時などは、まさに良いタイミングです。
ちなみに余談ですが、今日は私と、私の尊敬する人 落合博満氏の誕生日。