自分は自分、ヨソはヨソ。

事業を行っていると同業他社の動向は気になるもの。
しかし、気にし過ぎる必要はありませんし、
気にし過ぎてはいけません。

競合分析は必要だが・・

どんな事業を行うにしても、
自社しかやっていないというような事業は、
まぁそんなにあるわけではありませんから、

同じような事業を行っており、
しかも規模も似通っているという、競合他社というものが
当たり前に存在するだろうと思います。

そしてその競合他社の存在は、
やはり自身の経営に多少なりとも影響をしていますから、
その存在を無視するわけにはいきません。

有名な経営分析手法である「3C分析」も
その3つのCのうちの一つは「Competitor(競合)]です。

そしてSWOT分析やビジネスシナリオを考える際に「外部環境分析」をするときにも、
その一項目として「業界・業際」分析は欠かせません。

そんな意味で、自社の経営を考えるにあたって
同業他社・競合がどのような状況にあるのか、
どういった動きをしているのかという分析はとても重要です。

しかしあくまでここで考えないといけないのは、
「分析」の対象に過ぎない、ということ。

自身がどのような戦略で事業を行っていくのか。
その方針を明らかにするうえで、
競合の存在と動向を考慮しなければいけませんが、
あくまで自分は自分であり、よその会社はよその会社です。

あまりその会社のことを意識しすぎても、
いいことは一つもありません。

自身でコントロールできる存在ではない。

私がこの仕事(税理士・経営コンサル)をしている中で、
わりといろんな経営者の方から、
「あの会社はこんなことをしていていいなぁ」
「あの会社はこんなことをしていてヒドい」
とかいう話しを聞かされます。

そしてその内容の多くはグチに過ぎなかったりします。

口には出さなくともそういったことを考えている経営者さんは
多いんじゃないでしょうか。

しかしグチは所詮グチ。
「いいなぁ」と思って、自社の方針に合致するものであれば、
自社でもやればいいだけですし、
「ヒドいなぁ」と思うのであれば、
ウチはそれをやらなければいいだけです。

自社のやろうとしていたことを
先を越してやられてしまうこともあります。
「うちでやろうと思っていたことなのに!」
ともちろん感じることだろうと思います。

しかし問題は、
やろうと思っていたのになぜ自社ではやらなかったのか、
ということ。

出来ることなのに先にできなかったのであれば、
そのようなことを口にするのは
自身の行動力不足を周りに知らしめているだけです。

そして資金力や人材力など、自社では出来ないことなのであれば、
どっちみち出来なかったことですから、
他社を羨ましがっても意味のないことでしょう。

いずれにしても他社の行動というのは、
こちらでコントロールできるものではありません。
コントロールできないものに対して一喜一憂したり、
負の感情をいだいたりしたところで、
何か問題が解決するわけではなく、
むしろそんな考えを抱いてしまっていること自体がマイナスです。

「ヨソはヨソ」と割り切って
眼中に入れないようにすることが大切です。

真似されることも普通にある。

自社の商品を真似されることだってあると思います。
確かに真似されてそれで儲けられたら腹が立つでしょうが、
それが法に反したことでない範囲であれば、
真似されることは、最初から想定されていることです。

法に反したものであれば法的手段に訴えれば良いですし、
そうでないものは、当然のものとして
最初から想定しておくべきことなのです。

むしろヨソが真似してきたということは、
その商品自体が素晴らしいものであったり、
可能性のあるものだから真似してきたわけですから、
それは喜ばしいことですよね。

ですから自社がその商品を開発したことに対しては
先駆者としての誇りをもち、
真似する他社が出てきても自社はさらに進化してその先を走り続けるのだ!
というふうに考える方が健全です。

もちろん特許や商標に関わるようなことで、
それを真似されることが自社の経営に大損害を与えたり、
存亡に関わるようなことなのであれば、
事前に商標登録を行うなど、
一定の防衛策はとっておいてしかるべきですし、
それは一会社の危機管理として
当然に行っておくべきことかと思います。

同じ土俵で闘わない

同業他社が自社よりも資金的にも人的資産的にも強者である場合、
それに対して真っ向勝負を挑むことは良いことではありません。

自社には自社なりの、闘い方があるはずです。
闘うからには、自身が勝てる土俵のうえで闘うこと、
自社独自の土俵を作り上げることが大切です。

これが「独自性」と呼ばれるもの。
そしてその独自性を発揮した事業を行っていくというのが、
自社の「方針」であるはずです。

そしてこの自社なりの独自性や方針を構築するために、
同業他社・競合がどのような状況なのか、
どんなことを考えているのか、
どんな行動に出ているのか、
ということを分析する必要があるのであって、
方針が構築されてしまえばあとはその方針に則って経営するだけです。

その後も競合に意識が行きすぎるあまり方針がゆらぐことは、
単なるブレであり、全く良いことではありません。

どうしても競合の土俵は「青い芝」に見えてしまいます。
しかしブレブレでいろんな方向に手を伸ばすことは
一番やってはいけないこと。

ブレそうになったら、
自分の土俵はどこだったのか、
自身はどこで闘うべきだったのか再確認して、
自分の進むべき方向へ補正するようにしましょう。

冒頭に書いた通り、競合分析は大切です。
しかしそれは、自社の強みや独自性を最大限生かすために行っているもの。
それ以上でもそれ以下でもありません。

自身の持つ方針が日々ブレないよう、
他社の動きは広い心で受け止めるか、
それができないようであれば、
視界にいれないようにすることが大切なのです。

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