5年後10年後のB/Sを描いてみる。

いつもお話ししている通り、
会社はお金がなくならない限り、
つぶれることはありません。
だからこの先どんな状況になったとき、財務状態はどうなるのか、
知っておく必要があります。

BSを描いてみる。


このブログで何度か、貸借対照表(以下、B/S)の計画の立て方について
お話ししたことがあるかと思います。
 →「貸借対照表は方程式」

そこでお伝えしているとおり、
今後どのような事業展開を考えているか、
それがある程度明確になっていれば、
利益(または赤字)がどれだけならば、どんな財産状態になるか
ということが、
結構高い精度で導き出すことができます。

もちろんその経過で大きな貸し倒れをくらったり、
大きなトラブルが発生するなどした場合には話しが変わってきますが、
通常運営できている状態での財産状態予測は
わりとできるものです。

会社の利益が財産状態をつくる。

会社は利益を出さないといけません。

なぜ利益を出さないといけないかというと、
利益を出しただけ会社の財産状態が良くなって、
潰れにくい会社になるから。

会社の利益は、社員を守るための原資なのです。

そしてまた、その利益でもって次の投資を行い、
さらに利益が出る会社へと変革していくことで、
安定した財産状態を築き上げていくことが出来ます。

つまり利益は、
将来への投資と財産状態の改善のために必要であるといえます。

ですから、思い描く財産状態に持っていくためには、
どれだけの利益が必要か、ということがわかっていなければ、
利益が出なかったら不安だし、
利益が出てもその利益で足りるのか不安なのです。

だから、P/Lだけでなく
B/Sの計画を立てることが大切であると、
いつもお話ししています。

売掛も在庫も借入もなく、
たいした設備投資も必要ないような事業の場合は、
B/S計画は特に必要ないかと思います。

利益が出れば、その分勝手にキャッシュが増えていきますから。

しかし具体的に何年後にどんなキャッシュ状況になるのか知りたければ、
やはりB/S計画を作成することをオススメします。

目先を追わない。

過去から現在にかけて盛大に赤字を垂れ流して、
近い将来資金が尽きる、という会社は
もちろん目先の売上(というか、利益)を
求める必要があります。
そうでないと、即死してしまいますから。

しかし、今の業績は決して良くなくとも、
すぐさま会社の財産状態が逼迫するようなことにならないのであれば、
焦って目の前の問題ばかりに囚われるのはよくありません。

これは
「ちょっと力をぬいてさぼってゆったりしていいよ」
という意味ではありません。

会社の業績が思わしくなく、
会社の内情もいたるところに問題だらけの場合は、
どこから手を付けて良いのかわからなくなります。
それだけに、
今目の前に現れた問題が出てきては叩き、出てきては叩き、と
モグラタタキ状態になってしまいがちです。

これでは常にマイナスの状態をゼロに近づけているだけで、
会社は一向に前へと進んで行かないのです。

マイナス要素を目立たなくしているだけですから、
当然と言えば当然ですよね。

しかしこうやって多くの問題が顕在化する会社には、
本質的な大問題がそこに潜んでいます。

そしてこの大問題を解決するには、
どうしても時間がかかるケースが多いのです。

本来はこの「大ボス」を退治することが良いのですが、
それでは時間がかかりすぎる、ということなのであれば、
その一歩手前の「中ボス」問題にとりかかりましょう。

一般的に言う「なぜ」を繰り返して最終的にたどり着く大問題の、
一歩手前です。

中ボス問題を相手にしてザコ問題が発生しにくい状態にしたうえで、
時間をかけて最終的に大ボス問題を片付けにかかるのです。

ですからまずは、自社は本質的な問題の解決のために、
どこまで時間をかけることができるのか、
知ることが大切であると思うのです。

会社が問題だらけだけれども、
赤字を5年くらい垂れ流しても問題ない、ということであれば、
今の赤字を埋めるためにあくせく売上を稼ぎにかかるよりも、
3年くらい掛けて根本的な問題を駆逐し、

自然と売上が発生する仕組み作り、
仕事の収益性があがる仕組み作り、
会社全体が同じ方向を向いた組織作り、
といったことに、
腰を落ち着かせて取り組んで、
会社の全体の最適化を図っていくことの方が
大切なのです。

いつもいっているように、
小零細企業は経営資源が乏しいですから、
あれやこれや、全て手を付けて
解決することなどできません。

ですからまずは、
今後の会社の状況を財務的にも理解して、
どのような順序で
どのようなことに取り組んでいくのが良いのか、
ということが求められます。

そのためにもまずは、5年後イメージのB/S計画を、
ぜひ作成いただけたらと思います。

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