昨日のブログでは、N-NOSEを紹介しつつ、
経営者にとって健康面についてお話ししました。
小零細企業の経営者は自己の健康維持を考えると同時に、
万一のことが起きたときのリスクヘッジを考える必要があります。
今日は実際に万一のことがあったときへの備えについて.。
会社の借金をなんとか・・
まず考えないといけないことは、会社の借金について。
経営者に万一のことがあり、
その事業を後継者が引き継ぐにも、
その会社を畳むにも、
多額の借金を残したまま逝ってしまう、というのは
経営者としては大きな心配どころの一つだろうと思います。
自分自身は先に旅立ってしまうわけですが、
残された人たちのことを考えず、後は野となれ山となれ、
というわけにはいきません。
そんな心配を極力抑えるために、
経営者は自身に万一のことがあった場合に、
その借金がチャラになる、または気にならない程度の残額にできるよう、
備えておくことが大切です。
その会社の大黒柱たる経営者をなくしてしまったとき、
その後継者が、極めて重い借金を背負って
大きなマイナスの状態でスタートすることは、
決して好ましいことではありません。
ですから、小零細企業の経営者は、
まずは会社を受取人とした保険に加入しておくようにしましょう。
ただそれなりの規模になり、借入金もそれなりの金額となってくると、
保険金でそれを賄うのは非現実的となってきます。
そんな規模感の会社は
経営者に何かあっても、何事もなかったかのように経営を維持できる仕組みを
整えておく必要があります。
その後もちゃんと事業を通してこれまでと変わらない利益を確保できるようであれば、
借入金自体、恐れるものではありませんから。
残された者の収益確保をなんとか・・
小零細企業の場合、特に社員数が5人くらいまでの会社や事業だと、
経営者自身のその事業自体に与える影響力が
とてつもなく大きいことも多いだろうと思います。
「その経営者がいるからこそ、保たれている」
という会社、ありますよね。
かく言う私の会社もそうですが。
まぁ、資格がある人しかその事業をしてはいけない、という
税理士という事業の特殊性でもありますが。
ただ資格が不要なコンサルティングの場面でも、
結局私以外にはできないわけであって。
こんな会社の場合、
代表に万が一のことがあると、その瞬間
その会社の社員全員が路頭に迷うことになってしまいます。
社員の生活を守る経営者の責任を考えると、
こういうわけにはいけません。
ですからこういった経営者への依存度の高い会社の場合、
できるだけ早急にその依存度をさげるようなことを
考えて実行に移していく必要があります。
自身が経営者である私も、それは常に考えていて、
あと2年もすれば、現状の粗利益の1/3は、ある日突然私がいなくても
維持できる状態になる計画です。
できたらこれを最低でも50%くらいまでにはもっていきたいなと思っています。
自身の依存度を下げる方向性としては、
・社員教育と育成を通して、経営者の抱えている仕事を他の人ができるようにする、
・既存事業をちょっと変化させて、誰でもできるような仕組みを整える、
・経営者しかできない仕事以外の仕事を新たな事業領域としてつくりあげる、
おそらくこの3つくらいだろうと思います。
さて皆さんの会社では、このどれが最も近道でしょう?
残された家族の生活をなんとか・・
経営者保証ガイドラインなるものが数年前にできたとはいえ、
まだまだ基本的に中小企業経営者は、自社の借り入れについて、
連帯保証人となっていることが一般的かと思います。
こんなのが一般的なのは、日本くらいらいしいですけどね。
有限責任である株式会社である必要がありませんから、
意味の分からない仕組みです。
しかしこれが現実である以上、
その状況に対応するほかありません。
先に掲げたように、保険金でその借金のほとんどを賄える状態であれば
大きな問題ではありませんが、
借入金の金額が大きすぎる場合、
それを保険金で賄うという手段はとりにくくなります。
保証人としての地位は、
相続によってその相続人に引き継がれますから
経営者が亡くなる➡会社を畳む➡借金が保証人である相続人に行く
ということになってしまいます。
こうなると、その借入金の額にもよりますが、
相続自体を放棄せざるを得ない状況に追い込まれます。
結果として相続人には何も残されない状態となり、
目も当てられない状態になってしまうのです。
ですから、保険金でまかなえないような金額の借り入れを有する場合には、
万一の場合相続放棄をすることを視野に入れて、
相続人を受取人とする保険に、
個人で加入するようにしましょう。
経営者が亡くなったことにより個人が受け取る保険金は、
民法上相続財産ではありませんから、
相続放棄をしたとて、保険金はちゃんと入ってきます。
相続放棄をすることで確かにいろんなものを失ってしまいますが、
少なくとも保険金を確保した「プラス」の状態で
その後の生活を送ることができるのです。
このように、経営者に万一のことがあった場合には、
その影響は計り知れないものがあります。
ぜひこのリスクを念頭において、
自身に何かがあったときにどんな事態が想定されるかを考え、
上記を参考に様々な手段を事前に講じておかれることをオススメします。