来期から、住んでいる町内の自治会の副会長に。
自治会運営にも、経営思考は必要です。
これまで関わってこなかったからこそ見えるもの
これまで仕事が優先で地域活動がままならなかったことから
自治会活動にはほとんど関わらずにやってまいりました。
しかし、年齢的なこともありますし、
比較的時間の融通が利きそうになってきましたので、
副会長就任の要請を承諾しました。
副会長は次期会長になるのが決まっているとのことで、
会長になった時に困らないよう、主体的に取り組んでいこうと思っています。
これまであまり、自分の町内に関心をもったこともありませんでしたが、
せっかくの機会ですので、
どんな歴史があって今どうなっているのか、
現在町内が抱えている諸問題も含めて、いろいろと調べて行こうかなとも思っています。
生まれた時からここに住んでいます(税理士修行中の6年間だけは飛んでます)が、
自治会役員としては新参者です。
いきなり副会長ですが、正直右も左もわかりません。
しかしだからこそ、地域の在りようや、自治会の在りようを、
真っ新な視点で見ることができます。
おそらくどっぷり漬かってしまっている人とは全く異なった立場で考えることができるので、
その視点から、いろいろな提言ができるでしょう。
これは企業でも同じことです。
会社の問題点が一番見えるのは、新入社員です。
しかし往々にして新入社員は発言権がなかったり、弱かったりしますので、
その意見が生かされることはとても少ないのが現実です。
また既存社員の視点から見れば、
現実が何もわかっていないくせに言いたいことだけ言うというのは、
これまでその組織に力を尽くしてきた先達に、とても失礼なことだとも思います。
実際私が新入社員のとき、私は空気が読めない人でしたので、
会議でその会社の問題点をなんの配慮もなく指摘して、
思いっきり白い目で見られました。
その内容自体、今でも間違っていなかったと思っていますが、
配慮が欠けていて周囲を不快にさせたことも間違いありません。
だからこそ、新入の意見が取り入れられる機会というのはとても少ないわけです。
しかしだからといって、その貴重な意見をそのまま埋めてしまうことは、
非常にもったいないことでもあるのです。
だからこそ経営者は、
新入社員からそういった声を拾い上げることができる「仕組み」を作る必要が
あると思います。
仕組みがあれば、新入社員の言葉は
「空気の読めないもの」とはなりません。
その貴重な「新参者」の新しい視点を経営改善に生かすことができるのです。
今日の三役会で時期自治会長が私に、そのようなフリをしてくださいました。
とてもありがたいことだと思っていますし、せっかくですので、
いろんな提言をさせていただけたらなとも思っています。
「副」でも自分の行動次第で、いろいろ変えることができる。
どんな組織でもそうですが、
「副」という立場は、仕事をしないでおこうと思えば
いくらでもそのように振舞うことができます。
「副会長」というのは、実は結構明確な仕事が少ないケースが多く、
副会長が仕事をしなければ、その分、
会長とその下の「班長」「グループ長」などが頑張る、ということになります。
しかしだからといって何もしないのは、無能の「副」です。
副会長、というのは企業経営に置き換えると、
副社長であったり、専務であったり、
いずれにしても、その会社のNo.2です。
No.2の仕事は何かというと、Topの補佐です。
補佐というの、Topに何かあった時に代わりにTopの役割を果たす、
ということだけではありません。
もちろんそれも重要な仕事ですが。
Topは、方針を示すことが仕事。
No.2はTopのその方針を正しく理解し、そのうえで部下との調整役を果たす、
というのが最も大きな仕事です。
その意味で、仕事は探そうと思えばいくらでも探すことができますし、
TopがTopの仕事をいかにやりやすいようにするか、というのが
No.2の腕の見せ所なのです。
さらにはTopに一番近い位置でいろんな提言ができる立場ですから、
ちゃんと仕事をすれば、自分の行動次第で
大きな変化を起こすことも可能です。
逆に、変化を起こしたいと思うのであれば、
それができる立場(会長や副会長など)になるのが一番です。
「うちの地域は全然ダメだ」と文句ばっかり言わず、
本当に変える必要があって、変えたいと思うのであれば、
それを変えられる立場になるか、または完全に外部で行動を起こして変化を起こす、
ということをすればいいのだろうと思います。
入るを量りて出ずるを為す。
町内会も、非常に小さな予算ですが、予算があります。
予算というのは、企業でいうところの財務計画です。
基本的に「入る」に関しては町会費とあと若干外部から入ってくる定額のものですから、
ほぼほぼ確定しています。
ですから、「町会費」が高い、という声にこたえるには、
出費の方に目を向ける必要があります。
そこに目を向けたことのない組織には、
これまでなんの疑問も持たずに、なんとなく惰性で支払っているものが必ずあります。
そしてそこに目を向けない限り、会費を減らすこともできなければ、
剰余金を増やすこともできないのです。
企業経営もまったく同じ。
確実に入ってくる、という金額をまず前提として、
その範囲内で支出を考える、という思考をもたなければ、
赤字の会社はずっと赤字のままです。
経費の一つ一つを見直しているときにも、なんとなく
「あれもいるなぁ、これもいるなぁ」
という考え方ではまったく経費の削減は進みません。
「絶対に、この金額内に抑え込むのだ!」という強い意思をもって、
工夫を重ね、常識を疑い、ときには身を削る思いで取り組むからこそ、
経費は削減されます。
赤字の会社を改善するための順番は必ず、「出を為す」から始まります。
これができない会社は、改善されることはありません。
逆に自治会は「経費を減らす」という思考しか持てない組織ですから、
何か別の形で収入を増やすことができないか、
という視点も持つべきかなと思っています。
それが実現できれば町会費を減らすこともできますし、
町内自体の活性化にもつながると思うのです。
その組織内の常識にとらわれず、
常に柔軟な視点で物事を考えるクセを身に着けたいものです。
経営者はとにかく自分の業界の常識にしばられがちです。
そんな常識をふりほどいてくれるのが、新参者をはじめとする外部の意見です。
ぜひとも、そういった声を拾い集めることができる環境と仕組みを整えましょう。
そしてそれ以前に、
そんな声に耳を傾けることができる度量を身につけましょう。