業種によって、考え方も異なるでしょうが、
顧客や見込顧客がどんな相手でも、売上さえあがればそれでいい、
ということではありません。
スクリーニングをかける。
事業の目的は顧客の創造ですから、
顧客が増える(=売上があがる)ことは
基本的には喜ばしいことですし、
ありがたいことです。
しかし、顧客がどんな人であれ、
誰にでもとにかく売れれば良いということではありません。
こう表現すると、非常に上から目線に聞こえてしまいますが、
その事業にとって理想の顧客というものはありますし、
逆に顧客にしたくない相手というのもいるわけです。
どんな事業であれ、
ターゲットとなる消費者はいるでしょうし、
ターゲットを定めておくことは必要です。
そしてそのターゲットにできるだけ近い顧客に
自社の商品やサービスを提供することが、
大切であるということが、いろんな側面からわかります。
理想の顧客が近づいてきて、
関わりたくない人は去って行く、
そのような仕組みを作ることのメリットを3つ掲げてみました。
メリット1 成約率があがる
昨日のブログは、
顧客培養の観点から営業プロセスを考え直すことで、
いかに見込顧客から成約にいたる精度を高めるか、
というお話しでした。
しかしそもそも最初の見込顧客の段階で、
ちゃんと自社の商品やサービス、
その独自性・特徴とそれによって得られる価値を
正しく理解している状態になっていれば、
その時点でほぼほぼ、
その会社が選ばれているも同然です。
商品が売れるためには、
その商品を消費者が購入する「理由」というものが必要です。
同じようなものを作っている会社はほかにもあるのに、
なぜうちの会社から買う必要があるのだろう、
ということです。
その理由が正しく相手に伝わっていない状態であると、
そこにミスマッチを抱えた消費者がやってきます。
自社から購入する「理由」が乏しければ、
最終的には、その「理由」は「価格」に求められるようになります。
つまり「安いから買う」ということになってしまうのです。
そこまでしてムリに成約したとしても、
そこからは適正な利益を出すことが困難になり、
働けど働けど、もうからない会社になっていきます。
またそもそもミスマッチが生じているわけですから、
最初から成約率は低くて当然なのです。
逆に自社の提供したい価値・特徴・独自性が
相手にちゃんと伝わっていると、
成約率は必然的にあがります。
すると無駄な見積を何度もする必要もなく、
効率よく売上をあげていくことが可能となるのです。
メリット2 顧客との関係強化につながる
不思議な話しですが、
その会社の商品・サービスをよくわかっていないのに、
顧客と成約に至ることがあります。
まずは売り手側がその情報を明確に発信していないこと、
そして買い手側が、自分の求めているものを
ちゃんと認識できていない状態であることなどが、
そんな事態に陥る主な理由です。
買い手が
「どこから買っても、そんなに変わらないだろう」
という認識でしかないケースもあります。
しかし実際に仕事をはじめて見ると、
その過程で買い手は、
自分の求めているものが徐々にはっきりとわかり始めます。
そして売り手が提供しようとしてる商品サービスが、
自分の求めるニーズを満たさないことに気がついたりするのです。
これが所謂ミスマッチ。
買い手が求めているものを売り手が提供できない状態です。
こんな状態で顧客と売り手との間に
適切な関係・正常な関係・深い関係を築きあげることが
できるわけはありません。
買い手が自分のニーズを変化させることはありませんから、
やむなく売り手側が折れるカタチになることもあります。
しかしそれは本来売り手が提供したいものではなかったりしますし、
そもそも提供しようと思っていない価値ですから、
商品・サービスの品質が低く、
顧客にとっての満足度が低いものとなってしまいがちです。
もちろん売り手も不本意ですし、
顧客との関係が長くつながり続けるような事業だと、
その関係自体がストレス以外の何ものでもない、
という状態になってしまうのです。
ですから逆に、顧客との関係を強固なものにする事業を展開したいのであれば、
最初の段階から自社の提供するものを正しく理解したうえで
購入いただくことが大切です。
その会社の提供したいものと、
買い手のニーズが合致していれば、
互いの関係性は最初から強いものとなり、
その後もその関係性は勝手に深まっていくのです。
メリット3 利益率があがる
スクリーニングを行った結果、
その会社からモノを買ってくださる顧客は、
全てが完全にそうとは言えませんが、
「その会社・そのお店だから買う」
「その会社・そのお店から買いたい」
という思いになってくださっている可能性が高いものです。
自社の考え方や思いなどを丁寧に伝えたうえで、
それに共感をおぼえて買ってくださるわけですから、
当然そうなります。
すると、商品を選択するときの条件・要素として、
「価格」の重要性が相対的に低下します。
もちろんその価値に対して支払える金額の上限はありますから
青天井と言うわけにはいきません。
しかし、
「多少高くても、あなたから商品を買いたい」
ということになるので、
利益率を高めることが可能になります。
どんな会社でも、結局しっかりとした利益を出すためには、
一人当たり一時間当たりの粗利益をどれだけ稼ぐか、
ということがポイントになります。
そんな中、小零細企業がそれを実現しようと思っても、
原価を下げることには限界があります。
つまり小零細企業は、
自社の考え方・価値観を明確に発信し、
それに共感する顧客との関係性を高めて、買ってもらう。
その方向性しかないんじゃないかと思います。
価格はその会社が提供する商品価値に対して、
消費者がどれだけの価値を感じるのか、
その接点で決定します。
ですから自社の価値観に共感する人のところに商品を届けてこそ、
そのちょっとお高い価格が「リーズナブル」となるのです。
このように、いろんな角度から考えて、
顧客にスクリーニングをかけるということは大切です。
すこしおこがましい表現かもしれませんが、
顧客が商品を選ぶように、こちらも顧客を選ぶということです。
しかしそれは別に不遜な話しではなく、
そのような形でミスマッチを回避してこそ、
売り手も買い手も、双方幸せな関係を築くことができると思うのです。
この毎日更新しているブログや、
長々とした私のプロフィールも、
その目的の一つは、スクリーニングです(それがすべてではありませんが)。
これらにちゃんと目を通していただいたうえで
弊社を選んでくださる方は、
「未来創造マネジメントしかない」という状態で、
弊社に連絡をくださいます。
見込み顧客からの成約率は100%。
無駄な価格交渉などはありません。
これは私たちのような税理士・コンサル業だからこそ
ということもあるかもしれません。
しかしここまでではないにしても、
それぞれの業界ごとのレベルに応じて、
このような顧客との関係性を築くことは可能です。
ぜひそれぞれの業界ならではの形で、
売り手と買い手双方が幸せになれる関係性を築けるよう、
工夫をしていただけたらと思います。