せっかく小零細企業の経営者なのですから、
自分が心から愉しいと思える事業をすることが大切だと思っています。
論語の教え
論語に次のような一説があります。
「子曰く、これを知る者、これを好む者に如かず
これを好む者、これを楽しむ者に如かず」
例えば、ある仕事があるとして、
その仕事の内容を知っているだけでその仕事に取り組んでいる人は、
その仕事を好きでやっている人にはかなわない。
そしてその仕事を好きなだけでやっている人は、
その仕事を心から楽しんでやっている人にはかなわない。
そんな意味です。
論語の中でも特に私の好きな一説です。
どうせやるなら、愉しみましょう。
そして愉しくないのなら、それは事業にしない方がいいのかもしれません。
だって、それを楽しんでいる人にかなわないわけですから。
「技術で世界一になる」
この言葉は、かの本田宗一郎によるものです。
この言葉、これだけを聞くとめちゃストイックなものに聞こえます。
しかし、本田技研で本田宗一郎の参謀として
共に本田技研を育て上げた経営者、藤沢武夫は、その著書で
「同時にそこに、ストイシズムはない」
と語っています。
ちなみにこの著書は、「経営に終わりはない」という本です。
興味があればぜひ。
話しを元に戻すと、
本田宗一郎は「技術で世界一」を目指しながらも、
それはストイックでもなんでもなかったということですよね。
ただそれが好きだから、
ただそれを誰よりも愉しんでいるからそれを実現できたんだろうと思います。
イチローだって、現役時代(今もでしょうが)、
ストイシズムの権化のようなイメージでしたが、
結局誰よりも野球が好きで野球をうまくなりたくてしょうがなかったんでしょう。
本人に聞いたわけではありませんが(笑)
ストイックをはき違えない
「ストイック」という言葉にはいろんなニュアンスがありますが、
どちらかというと少なくとも日本では、
そこに「苦行」的な意味合いが強く含まれているように思います。
でも仕事をストイックなものにしてはいかんと思うのです。
せっかく小零細企業の経営者で、
ある程度自分の考えることを事業とすることができる立場にいるわけですから。
2代目3代目の方で
「そんなことではなく、自分はこの仕事しか選べなかったんだよ」
という方もいらっしゃるとおられると思いますが、
その「業界」のなかでも、
それを自分の愉しめる形に変換していく方法はいろいろあろうかと思います。
今の仕事を続けている中で自分自身や自社が持っているリソースを活かして、
自分が、会社が、もっと愉しめる形があろうかと思うのです。
楽をする、手を抜くということではない!
しかし「愉しむ」というのは、楽をする、という意味ではありません。
どんな仕事であっても、それが仕事である以上、
もちろんそこに苦労はあります。
そして仕事だからこそ真剣に取り組まなければなりませんし、
自分が愉しめることだからこそ、誰よりもそこに真剣に没頭できるのではないかと思います。
それを愉しんでいるが故に苦労を苦労と思わず、
自然なものと受け入れて取り組めて乗り越えられる。
会社全体がそんな思いであふれた事業をやっていくことができるのが、
理想なんじゃないかと思っています。
経営者自身が、会社の今ある形で経営に邁進することそのものを愉しむことができていれば、
それがベストです。
しかしそれが苦しくてつらいだけのことなのであるならば、
少しでも愉しめる形に変換しましょう。
もちろん今の自社のリソースを活かすことができるというのが前提であり、
それ自体に「社会性(社会に求められるもの)」が伴っていることが
もっと前提ではありますが。
それらの前提をクリアできるのであれば、
人生を、つらくて苦しいだけのものにする必要はないと思うのです。
「これを好む者は、これを愉しむ者に如かず」
結果として、
それが事業の成功につながる道なんだろうと思います。