小零細企業で働くことのメリット。

どうも小零細企業というものは、就職する場を選ぶにあたって、
大企業に比べて敬遠されがちです。
確かに実際にいろいろ問題はあるのでしょうが、逆にメリットもあります。

小零細企業で働くメリット

小零細企業という言葉は私が勝手に使っているだけですから、
明確な定義があるわけではありません。
社員・パート割合にもよりますが、経営者一人でやっているところから、
大体社員20~30名くらいまでの規模の会社のイメージです。

そんな企業で社員・パートとして働くことのメリットは、次のようなものです。

ちなみにこれらは、ベンチャー企業で働くメリットと、ほぼ一致します。
ベンチャー企業は、最初は小零細企業からのスタートですから。

・責任ある仕事を任される

小零細企業は人的資源が乏しく、
常に人材不足の状態になっているところがほとんどです。
ですから社内での責任ある仕事を任されることが普通にありますし、
その会社が取り組む新規事業に関わらせてもらえることもしばしばあります。

特に新規事業は、その会社内で誰も経験していないことですから、
経験者も入社歴の浅い人もスタートラインはほぼ同じであるため、
希望すれば関わらせてもらえる可能性大です。

・仕事の全体に関われる

大企業では組織が完全にできあがっており、
その中で効率化を図るため、それぞれの役割が細かく細分化されています。
そのため仕事の断片にしか関わることができず、
その全体像が目に見えにくくやりがいにつながりにくいところがあります。

しかし小零細企業はそこまで細分化するほど人がいませんので、
結果として一人の人が垣根を越えていろんな仕事に関わります。

例えば経理業務は一から十まで全てに関わることも多いでしょうし、
会社によっては総務までが業務範囲であることも普通にあります。

仕事の全体像を把握したうえで業務を進めることができるため、
やりがいにもつながりますし、
いろんなノウハウ・技術を習得することができます。

・自身の意見で経営に影響を与えられる

小零細企業では経営陣との距離感が近く、
組織内での問題や課題に対して意見具申したときに、
それがそのまま採用され、ときには
その会社の経営自体を動かすほどの影響力を与えらることができたりします。

また新規事業に関わってその事業がその会社の事業の柱として育てば、
一社員の立場で、その会社の屋台骨の一部を支えることができるのです。

入社2年や3年で、大企業においてはこんなことはまず絶対に起こり得ません。

・経営者との距離が近い

大企業では社長の顔を見ることはありませんし、
もし見たとしても遠くの方から眺める程度ですが、
小零細企業では、常に経営者と一緒にいます。

今や時代錯誤かもしれませんが、
会社の飲み会の席では経営者と一緒に飲みかわしますし、
昼食が一緒のこともあります。

距離感が極めて近いため、
経営者自身の言葉や考え方に直に触れることができますし、
会社の方針を経営者から直接知ることもできます。
また、その会社の中での自身の役割や、
組織の中で何を求められているのか、ということを
明確にした中で業務を行うことができます。
もちろんその経営者がそれを明確に把握していれば、という前提ですが。

ひるがえって、デメリット。

これまで小零細企業のメリットを挙げてきましたが、
これらのことは裏返してみると、
全てデメリットとなり得ます。

責任ある仕事を任される
→何も教わってないのに能力を超える仕事を押し付けられる。
仕事の全体に関われる
→専門性が薄れるため特定の分野に特化したプロフェッショナルになりにくい。
経営に影響を与えられる
→経営者の器が小さいと逆に何もできない。
経営者が近い
→考え方が経営者と合わなければ、地獄。

これらに加えて、経営基盤・経営資源が乏しいため、
経営自体が不安定であることが多いのが一般的です。
今時大企業でも倒産することは普通にありえますが、
まだまだ安定感では大企業の方が圧倒的に優れています。

また、給与が大企業に比べて低い会社が多く、
福利厚生も充実していないことが多いでしょう。

結局こういった安定感や金銭的側面が、
小零細企業不人気の最大の原因だろうと思います。

経営者はどう考えるか。

それでは小零細企業の経営者はこれを受けてどう考えるか、
ということが問題です。

まずは、これだけのメリットがある、
ということを認識すること。

就職活動をしている側と同じように、
会社側も自身が小零細企業であることを卑下していることが多いです。

「うちみたいな小さな会社には誰も来ないよ」
という言葉をよく耳にします。

確かに誰も来ないかもしれません(笑)。
大企業に比べて安定感は大きく欠けていますから。
しかし、商品を売るために商品の魅力が伝わらないといけないのと同じで、
自分の会社を選んでもらうためには、
自社で働くことの魅力が伝わらないことには話しになりません。

ですから、まずは自分の会社で働くこととどんないいことがあるのか。
自社には、大企業にはないどんな魅力があるのか。
それを整理して、ちゃんと伝えられることが大切です。

そして逆に、
上記のような様々なデメリットがあるというのも
これまた事実です。
したがって、自社を選んでもらうためには、これらのデメリットが生じないように
社内整備をしたり、社風を作り上げたりすることが大切です。

そもそも経営者自身が、
聞く耳をもったちゃんとした経営者であることが求められます。

これらのことがちゃんとできておらず、さらには給与もよそよりも低いにも関わらず、
「なんでうちの会社は求人しても誰も来てくれないんだ」
と文句ばっかり言っている経営者がたまにいてますが、
それはしっかりとわが身を振り返ってくださいということでしかありません。

金銭的な面や安定感で大企業に勝つことはできません。
しかし逆に言うとそれ以外の部分では大企業を凌駕することができるのです。
確かに小零細企業の雇用環境は厳しいですが、
それをただ嘆くのではなく、
「自分の会社が選ばれる理由」
というものを作り上げて明確に発信することができれば、
ちゃんと人は集まります。

大企業のような融通の効きにくい組織では働けない、優秀な人材が、
まだまだこの世の中にはたくさん埋まっていますから。

タイトルとURLをコピーしました