生前贈与にオススメの品。

いよいよ今年もあと残すところ半月。
事実上あと10日ほどのイメージですね。
贈与税の非課税枠を利用した今年の贈与、
もう終わらせてますでしょうか?
当然ですが1日でも遅れると、今年の非課税枠は使えなくなりますので、
お忘れなきよう。

ということで今日は税務ネタです。
相続対策としての生前贈与でオススメのものについて。

まずは現預金。

贈与税の非課税枠を活用した節税として、
もはや一般的なものと化してしまった、現預金贈与。
やはり手軽にできるのが一番ですよね。

不動産などは登記が必要であるなど、贈与に手間とお金がかかりますし、
現金のように贈与する金額の調整が難しくもあります。
細かく贈与することもできなくもないですが、
あまり現実的ではありません。

現預金は当然1円単位で贈与の金額を調整できますから、
そのご家庭それぞれの財産状態に併せて
どの程度の贈与を進めるのか、柔軟に対応できます。

現金に限った話しでもないのですが、
非課税枠が110万円だからといって、
その枠内に収める必要はありません。
自身が亡くなった時の相続税を試算してみて
30%とかいう税率になるのであれば、
15%くらいの税率の範囲で贈与税を支払ってでも
どんどん贈与を進めてしまった方が得、
という考え方もできます。

そのためにはまず、自身がどれだけの財産を保有していて、
どれだけの相続税になる見込なのか、
その概算を行っておくことが前提となります。

ただなんとなく贈与をするのではなく、
現状を把握した上で明確な方針とゴールをもって、
少しずつ贈与を積み重ねましょう。

価値が上がるもの。

生前贈与は基本的に、相続対策として行われるものです。
その視点に立つと、贈与政策にも時間軸をもった考え方が
大切であることがわかります。

「今現在」だけでなく、
将来相続が発生したときにどれだけの効果を発揮するか、
という視点です。

例えば、放っておいても価値がさがる財産があります。
こういったものはひょっとしたら、相続が発生するようなときには
価値がほとんどなくなっているかもしれない。
そんなものは生前贈与しても、効果が薄いですよね。
まぁ極端な話しですが。

ということは逆も然りで、
価値が上がるものはそのまま置いておくだけで、
どんどんと自身の財産を増やす結果となります。

放っておいても価値が高まるわけですから、
こんなにありがたいものはないわけですが、
こと、相続対策の観点から考えたら、厄介です。

例えば、安定収入のある不動産管理会社の同族株式。
毎年着実に利益が積みあがっていきますから、
その分着実に株価は高まっていきます。

このような財産は自分の手元で増やすのではなく、
相続人の手元で増えるべきです。

ですので、放置しておいても価値が高まるような資産は、
積極的かつ優先的に生前贈与を進めましょう。

収益を生むもの。

そしてもう一つ、生前贈与にオススメの品は、
それ自体が収益を生むものです。
いわゆる「収益物件」ですね。

高額の配当を生み出すような株式・投資信託も
これに該当します。

こういった資産が生み出す富は、
その資産を所有している人に帰属するのが一般的ですから、
その資産を持って放置しているだけで、
自身の資産が増えていくのです。

前述との違いは、その資産そのものの価値が高まるか、
別の収益を生み出すか、です。

これも普通に考えたら、こんなにうらやましいことはありません。
しかしこれも相続対策の観点だけで考えると困ったもので、
毎年現金を100万ずつ贈与しても、
この資産が毎年200万の収益を生み出す、みたいなことになって、
毎年頑張って贈与を繰り返しても、無駄とはいいませんが、
何やってんだか、という気分にさせられます。

前述の本体の価値が高まる資産と同じく、
これも自分の手元にあるから自分の財産が増えるのであって、
相続人の手元に渡れば、相続人の財産を増やしてくれます。

毎年200万の収益を生むような財産であれば、
その財産を相続人に移転しておくことで、
毎年200万円の贈与を無税で行うのと同じだけの効果があるということです。

ということでこういった資産も
優先的に生前贈与で次の世代に移してしまうのが大事です。

相続時精算課税という制度、みなさんご存じでしょうか。
あまり細かいお話しはここでは割愛しますが、
2500万円まで贈与税がかからない形で財産を移転できるしくみです。

相続が発生したときに精算されますので基本的に相続対策にはなりませんが、
今日ご紹介した後者2つの性質を持つものは、
相続時精算課税と組み合わせることで相続対策につなげることができます。
暦年課税との選択になってしまうのがキビシイところですが、
よくよく計算してみると、あえて相続時精算課税を選択した方が
相続対策になるような方もおられるでしょう。

ぜひ、こんな視点も持ちつつ、
生前贈与を活用していただけたらと思います。

今年の税制大綱で、来年以降の生前贈与のあり方が、少し変わることとなりました。
その辺りはまた明日以降のブログにてゆっくりお伝えできればと思います。

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