優良顧客は、めちゃ大事

企業にとって最も大切な経営資産は「ヒト」です。
そして、その次に重要な経営資産は、「優良顧客」です。

私はこの店の、優良顧客です。お店側がどう思っているかは、わかりませんが(笑)。

なぜ優良顧客が大切か

ドラッカーが定義付けしているとおり、
事業の目的は「顧客の創造」です。
そしてその「顧客」の中から「優良顧客」(=ファン)を作り上げていくことが、
小零細企業にとっては、とても大切です。

多くの経営者や事業をされているかたが体感されている通り、
顧客を獲得する、というのはとても大変な作業です。
以前のブログでも書いていますが、
普通の一般生活者が顧客となってもらうためには、
一定のステップをあがってきてもらう必要があります。

 ①生活者の中から、自社の扱う商品の消費者が現れる
 ②消費者の中から、自社の商品を提供したい人が絞り込まれる(=ターゲットを定める)
 ③ターゲットに働きかけて、見込み顧客になってもらう
 ④見込み顧客を、顧客(契約・購買完了)とする

このうち①は事業者側から働きかけるものではありません。
②は自ら定義づけをするものです。
問題はここからです。
③と④のステップをクリアするために、
企業は多くのプロモーションを行い、
発信を行い、
販促物・広告物を作成し、
プレゼン資料を作成し、
プレゼンを行います。
ここに多大な労力と時間とお金を要するのです。
特に③に使わなければいけない労力は膨大です。

ただ、「優良顧客」がいると、全く話しが変わってきます。
優良顧客はリピーターとして、
①~④のステップをすっとばして、
ふたたび自ら「顧客」となってくれるのです。
一人の新規顧客を一から生み出すことを考えると、
これほどありがたいことはありません。

また優良顧客は、「見込み顧客」を連れてきてくれます。
いわゆる「紹介」「口コミ」です。
先ほどお話しした通り、
①~④のステップの中で最も労力と時間とお金を要するのが③です。
この③をすっ飛ばして連れてきてくれるのですから、
これまたこれほどありがたいことはありません。
しかもこの過程で③まであがってきたくださった方は、
信用ある人の紹介のもと見込み客となっていますから、
④に移行する確率も非常に高いものです。
場合によっては何もしなくても自然と④になってくれます。

ですから、優良顧客は、
最強のコストカッターでもあり、
最高のタイムクリエイターでもあるのです。

小さい会社だからこそ、大切。

この「優良顧客」、
さきほど「小零細企業にとって大切」というお話しをしました。
もちろん規模の大きい会社にとっても大切なわけですが、
小零細企業にとっては、もっと大切です。
なぜなら、小さい会社や事業者は、
先ほどの③④工程にかける時間とお金がそれほどないからです。
特にお金という面では顕著ですよね。

逆に優良顧客をたくさんつくっておくと、
③④にほぼ力を割くことなく自然と売り上げが上がり続ける、
というステージにのぼれます。
だからこそ、「ファン」を一人でも多く作り出すことが、めちゃ大事なのです。

そして、小零細企業は
経営者と顧客との距離が非常に短いのが特徴でもあり、
強みでもあります。
消費者がその会社との直接の接点を持つのは、
その会社の最前線で働いている社員さんです。
そして小さい会社は、
経営者のその事業や商品にかける思いを
直接その最前線の社員に伝えることができます。
ですから商品を購買する顧客に対してほぼダイレクトに、
経営者の思いを届けることができるのです。

しかし大きい会社ではそうはいきません。
例えばある大企業の経営者がテレビに出ていて、
その経営者が本当に素晴らしいことを語っていて、
「この人の会社のお店に行ってみたい」と思って実際に行ってみたら、
社員の対応のマズさに愕然とする、
という経験をされたこと、ありませんでしょうか?
少なくとも、私はあります(笑)。
どこの会社とはいいませんが、複数あります。

そんな意味で小零細企業の方が、
その会社のファンを作りやすい環境が整っているのです。
つまり、「優良顧客をより作りやすい」というのは、
小さい会社にとっての、明確な強みなのです。
これを放棄する手はありませんよね。

優良顧客を「培養」するために

ですから、先の①~④のステップの先に、
⑤顧客を優良顧客にする。というステップを設けましょう。
そして③④以上に、
この⑤を充実させることに徹底的に力を注ぎましょう。

そのためにはまず、
自社にとっての「優良顧客」というものを定義する必要があります。
どんな方が理想の優良顧客なのか、ということが定まっていないと、
それをどのように生み出していくのかという手段が定まりませんから。

会社によってその定義はいろいろあるだろうと思いますが、
「リピーターになってくれている」ということと
「新規顧客を連れてきてくれる」というのは
欠かせない要素です。
しかしまれに、
自分の会社の届けたい価値をちゃんと理解していないにも関わらず、
新規顧客を連れてきてくれる方もおられます。
でも、よくわかっていない方が連れてくる新規の見込み客は
自社の届けたい価値に共感できない方である可能性が高いですので、
ミスマッチが生じてしまいます。
ですから、ただ「紹介してくださる」というだけが
優良顧客の定義でもありません。

優良顧客の定義は、
「ターゲット」の定義に近いものがあります。
そもそもターゲットとは、
自社がお届けする商品・サービスを通して提供しようとしている価値を正しく、
「自分にとって価値がある!」と認識してくださる方であり、
自社が価値を届けたいと思っている人そのものなわけですから。

それだけに入口の「ターゲット」というものはとても大切です。
ターゲットとは、自社が描く理想の顧客像です。
そんな人が顧客となってくれるからこそ、
その方は優良顧客となりえます。
顧客がターゲット外の人で満ち溢れていたら、
いっこうに優良顧客は増えてはいかないのです。

ですから、まずはしっかりとターゲットを定めましょう。
それは自分たちの思いを本気で届けたいと思う方であり、
その思いをちゃんと受け止めて喜んでくださる方です。
イメージがしにくいようであれば、オススメの方法があります。
今いるお客様の中でそれに近い、たった一人の人を決めてください。
おそらく一人くらいはいらっしゃるだろうと思います。
小さい会社だと、全員がほとんどのお客様の顔を認識していますから、
この「たった一人の特別なお客様」を共有することができます。
これは大きな強みです。
そしてその人が喜ぶだろうことをイメージして
いろんなことをどんどん企画をしていくのです。

どうすれば、その方が喜んでまた来てくださるだろう?
どうすれば、その方が喜んでファンであり続けてくださるだろう?
どうすれば、その方が喜んで新しいお客様を連れてきてくださるだろう?

具体的な「一人」が定まっていると、
とても考えやすいのではないでしょうか。


社員さんがいるような会社であれば、
これを経営者一人が考えるのではなく、
社員さんを巻き込んで考えてみてください。
小さな会社でも、顧客との接点をもつのはその最前線で働く社員さんなのですから。

ただ一つ注意点は、
だからといって③(見込み顧客をつくる)と④(顧客をつくる)のステップを
ないがしろにしていいという意味ではありませんからね。
ただ、そこに血道をあげるよりも、⑤(優良顧客をつくる)ことに
情熱を注いでいただけたらと思います。

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